不調をどう捉える?私ってHSP?~心身のサインを受け止めて自分の人生を生きよう~
- 2022/4/13
- メンタルヘルス
4月、新しい季節がやってきました。
筆者は今年のスギ花粉症状がやっと落ち着きホッとしているところですが、一般的に季節の変わり目は体調を崩しやすい時期とされています。
一般的な原因は寒暖差が大きいことや職場異動など環境の変化によるストレスなど自律神経の乱れが挙げられ、人によっては体調が悪いために仕事のパフォーマンスが低下する、仕事ができない状態に陥ることさえあります。
体調が悪いとき、皆さんはどのように「不調」を捉え、対処していますか?
今回は、HSP(Highly Sensitive Person、ハイリーセンシイティブパーソン)という、生まれながらに周りの環境や人間関係に繊細になってしまう特徴をもつパーソナリティを含めて、身体から発せられる症状の捉え方、またそのセルフケア方法を皆さんと共有していきます。
身体に症状が出ることの意味~不調を“必要なサイン”と受け止める~
筆者が所属する企業の健康管理室には「仕事のことを考えてしまい眠れない日々が続いている……」「ミーティングが近づくと動悸がする……」といった症状を訴えて社員が相談に来られます。
相談内容や症状によっては医療機関の受診を勧めたり、就業上の制限をかけたりする場合もあります。
ときには体調不調が続いていたため、医療機関を受診したところ「適応障害」「うつ病」と診断がつき、休職になる社員もいます。
そして就業制限をかけることになった社員や、休職が必要と言われた社員の中には、同僚に負担や迷惑がかかると気に病む、あるいは「まさか自分がこうなるとは思っていなかった」と口にし、なかなか自身の状況を受け入れられない方もいます。
このように周りへの申し訳なさといった側面もあるためか、体調が悪いことや、病気になったことをネガティブな感情で捉えてしまう方が多いように感じます。
もちろん筆者もその気持ちはよくわかりますが、今の不調の状態や病気になってしまった状態から、健康な状態を取り戻すために出ているのが症状ともいえます。
つまり、症状が出ること自体は決して悪いことではなく「病気、症状を改善していくために必要なサイン」と捉えることができるのです。
仕事を休むことで心身ともに休息をとること、さらに「働きすぎていた、生活習慣が乱れていた」など生活や考え方を見つめなおすための時間をつくるという大きな意味もあると思います。
不調のサインをどう受け止めるか、どう行動するかが大事なポイントです。
適切なケアでエネルギー補給を~感度の高いアンテナを張るHSP~
ここ最近、HSPという特性によって周りの環境や人間関係に繊細になりすぎて、日常生活や仕事に影響を及ぼす例を聞きます。
HSPの人が抱えやすい悩みとして「たくさんのタスクをこなさなければならなくなると混乱してしまう」「生活の急な変化に弱く動揺してしまう」などが挙げられます。
仕事の場でもHSPは人一倍、感度の高いアンテナを張っているため、不調のサインが出ることは多いかもしれません。
人間関係でも、本人が思っている以上に疲れている場合もあります。
先日は、メンタル疾患でフォローしている社員が「同僚が叱責されているのを見ていたら体調が悪くなってきた」と健康管理室に来室されました。
自身も以前に上司から叱責された同じような経験があり、叱責されている同僚をご自身のことのように感じて体調が悪くなったようです。
また、休職中の社員が復職に向けて話し合いをしている際に「親が怪我をしてしまったことで1週間落ち込んでいた」といった話がありました。
これだけではHSPとは言えませんが、親や自身の周りの人の感情を読み取り、自身に重ねやすいということが特徴の一つで、統計的には日本人の5人に1人がHSPの気質を持っているとされています。
意外と多くの人がHSP、またはHSPの傾向があるといえますね。
また、HSPの気質を持つ人は「自身が悪いのではないか」と自身を責め、悪い方向に考えてしまいがちで、生きづらさを同時に感じていることも多いとされています。
他の人とくらべて感受性が繊細であれば、人一倍、不調のサインが出てしまうことも当たり前です。
こういった場合も、不調のサインを人とくらべるのではなく「必要なサインとして身体に症状に出ている」と捉えることが大切です。
専門機関でカウンセリングサービスを受けたり、周囲のサポートを得たり、適切なケアを受けることで、エネルギーも補給されていくでしょう。
病気中心の人生ではなく、あなた自身の人生を生きるために
現代社会はストレス社会といわれます。
持続的にストレスがかかりすぎる生活により交感神経が優位に偏り、さまざまな不調を起こします。
「身体に出る不調のサインは、今まで無理した生活を送っていたことに気づかせてくれ、回復過程に必要なサインだった」と思うことからスタートです。
まずは、今までの生活を振り返ってみましょう。
長時間労働、睡眠不足、運動不足、日光不足、食べ過ぎ、飲みすぎ……。
仕事や人間関係、その他の長く続く悩みや不安、不満など……。
思い当たることがあるかもしれません。
そして、不調のサインに気づいたら、セルフケアが大切です。
たとえば、頑張りすぎることをやめる、周囲に助けを求める、もしかしたら食べ過ぎ、飲みすぎなどストレス発散のためにやっていたことが、むしろ身体へのストレスになっていることもあるかもしれません。
ほかにも、副交感神経を優位にするため、適度な運動や入浴を心掛けましょう。
また、テレビをつければ暗いニュースが多く聞かれますが、笑いを生活の中に取り入れることも大切です。
不調や病気が中心の人生ではなく、あなた自身の人生を生きるために、不調のサインを必要なサインと受け止めることで違った視点が見えてくるかもしれません。