消費者庁と農林水産省、環境省、そして全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会は、毎年12月から1月にかけて「おいしい食べきり」全国共同キャンペーンを展開し、食品ロス削減の推進と啓発に取り組んでいます。
このキャンペーンでは、外食時には適量を注文して食べきることに加え、テイクアウトの利用増加を踏まえ、テイクアウト時の適切な量の購入や家庭での食べきりについても啓発を進めています。
外食時には残さず食べることが重要ですが、環境省では消費者庁や農林水産省と連携し、どうしても食べきれない場合には、自己責任の範囲で食べ残しを持ち帰る「mottECO(もってこ)」の取り組みを推進しています。
この「mottECO(もってこ)」とは、環境省が、2020年10月に、飲食店での食べ残しを持ち帰る行動を表す新たな名称として選定しました。「mottECO」には、「もっとエコにしよう」「食べ残しを持って帰ろう」というメッセージが込められています。
食品ロスとは?
食品ロスとは、本来食べられるはずなのに捨てられてしまう食品のことを指します。日本では2022年度に、家庭から約236万トン、事業者から約236万トン、合計約472万トンの食品ロスが発生したと推定されています。
家庭で発生する食品ロスは、主に以下の3つに分類されます。
① 食べ残し
食卓に出された食品のうち、食べ切られずに廃棄されたもの。
例:お皿に半分ほど残ったチャーハンなど
② 直接廃棄
賞味期限切れなどの理由で使用されず、手つかずのまま廃棄されたもの。
例:未開封の野菜、おにぎり、魚の切り身パック、卵パック、納豆パックなど
③ 過剰除去
野菜の皮などの不可食部分を取り除く際、必要以上に除去された食べられる部分。
例:厚くむき過ぎた野菜の皮など
食品ロスを減らすために一人ひとりができることとは?
食品ロスを減らすためには一人ひとりが意識することが大事です。
買い物、調理、保存、外食、食べきれない場合のそれぞれのケースについてご説明します。
① 飲食店で食事をするとき
自分自身や家族が食べきれる量を注文しましょう。
どうしても食べきれない場合は、お店の方の説明を聞き、持ち帰りを検討することで食品ロス削減につながります。
「mottECO(モッテコ)」ロゴマークがあるお店では食べ残しの持ち帰りを推奨しています。持ち帰る際は、お店からの注意事項をしっかり確認してください。
参照:環境省「『mottECO』活用事例等」
② 買い物をするとき
買い物前に冷蔵庫の中を確認し、食べきれない量を買いすぎないように注意しましょう。
すぐに食べるものについては、賞味期限や消費期限の長さではなく、商品の陳列棚にある前から順に購入することを心がけてみてください。これは「てまえどり」と呼ばれ、食品ロス削減のアクションとして、スーパーなどでポップを見かけることがあるかと思います。
③ 調理をするとき
食べられる分だけを作るようにしましょう。
食材が余った場合は、使い切りレシピを活用する方法があります。
Google、Yahoo、Bingなどで「使い切りレシピ」と検索してみてみると、さまざまなウェブサイトで使い切りレシピを公開しています。
④ 保存をするとき
食べきれなかった食品は冷凍保存などの傷みにくい方法を検討しましょう。
また、保存した食品を忘れないように冷蔵庫の中を整理し、見やすく配置する工夫を行いましょう。
⑤ 外食をするとき
食べきれる量の注文を心がけ、もし残った場合にはドギーバッグなどで持ち帰ることが可能かお店に確認しましょう。
特に、忘年会などの宴会では食べ残しが多く出がちです。乾杯後30分間は席を立たずに料理を楽しみ、お開き10分前になったら自分の席で再度料理を楽しむ「3010運動」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
参照:環境省「3010運動普及啓発用三角柱POP ダウンロードページ」
⑥ 食べきれないとき
買いすぎて食べきれない場合や贈答品が余った場合は、フードドライブを検討しましょう。
フードドライブとは、家庭で余った食品を集め、地域のフードバンクや生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設など、食品を必要とする団体や施設に寄付する活動のことを指します。
お住まいの自治体でフードドライブが行われているかは、自治体のホームページなどで確認することが可能です。
参照:環境省「フードドライブ実施の手引き」
食品ロスを減らすことへのメリット
食品ロスを削減することでごみの量が減り、それに伴い運搬や焼却の際に使用される化石燃料の消費も抑えられます。その結果、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を削減することが可能です。
一人ひとりの日々の意識と行動で地球環境の改善へとつながりますので、この機会に食品ロスについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。
<参考>
・消費者庁「外食時の食べきり」
・農林水産省「外食における食品ロス対策」
・環境省「食品ロスポータルサイト」