○○するだけで業務電話やWEB会議に集中できる!
- 2021/1/12
- メンタルヘルス
皆さんこんにちは、精神保健福祉士の笹井です。
風が冷たい今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
新型コロナが猛威を振るい、出社もままならず、ご自宅が仕事場になった方も多いのではないでしょうか。
電話やWEB会議を使用することも多くなりましたね。
集中ができればよいのですが、ご自宅で集中してというのが難しい方も多いかもしれません。
そこで今回ご紹介するのは、ついつい眠くなってしまう業務電話やWEB会議に集中する方法です。
刺激に人は慣れてしまう
人間は刺激を受けると、それに対して反応を起こします。
しかしある刺激がくり返し提示されることによって、その刺激に対する反応が徐徐に見られなくなっていくことが知られています。
その現象を「馴化(慣れ)」と言いますが、馴化は特に報酬をもたらすわけでも、有害なわけでもない中立的な刺激に対して生じやすいことが特徴です。
自分の家のニオイは気にしたことがないけれど、他人の家ではどうも気になる……
こんな経験したことはないでしょうか?
あれは、自分のニオイは有害なく常にありふれたものであるため、馴化が生じ、ニオイを感じなくなっているのです。
眠くなってしまう業務電話やWEB会議も、自分にとって有害・有益なものでないと脳が判断したとたんに馴化が始まってしまいます。
解消方法はなんでしょう
業務電話やWEB会議を刺激に富んだものに変化させることは難しいですよね。
こちらが何かしなければなりませんが、おおっぴらな行動は難しいでしょう。
ここで、簡単な解決方法があります。
それは、メモ帳とペンを使うことです。
イギリスのプリマス大学研究チームは40名の被験者に対し、電話を聞き名前や場所を後から思い出すという実験を行いました。
その結果、電話中に落書きをする被験者はしない被験者より29%もよく思い出すという結果がでたといいます。
研究者は落書きが電話中に空想をめぐらすことを防止し、現実の課題に集中することに効果をあげたとしています。
人間が集中できる時間には限界があり、ずっと同じ刺激を受けていると集中力がもたなくなり、空想や妄想をして、現実から逃避した思考を持ちやすくなります。
しかし、線を引く・絵を描くなどの単純作業をしていると、空想妄想している暇がなくなるので会話に集中ができるようになる、ということです。
皆さんの中で、長電話中にメモに落書きをしてしまう人はいないでしょうか?
キャラクターの絵を描く人もいれば、仏教の曼荼羅のような幾何学模様を描く人もいらっしゃるかと思います。
実はあれ、心理学的な効果があったのです。
ストレスを表出するためにも落書きしよう
落書きすることには、ストレスの表出にも意味があります。
超有名な心理学者ユングのエピソードを見てみましょう。
ユングは、師匠のフロイトの理論の違いから師匠と決別をすることになりましたが、師匠との決別に心を痛めたユングは精神を病みました。
ユングは回復の過程で、自己を表現するために無意味な絵を描くようになります。
他の精神病の患者も、回復期に円を用いた図形を書くことを知っていたユングは、円形の図形を描くことで、自己治癒を促すために自分自身を統合しようとしている心の働きが、表出されたと解釈するようになり、それをもとに人類の心理の共通性や、心の働きについてさまざまな理論が発表しました。
ユングの解釈はさておき、無意味な図形を描くことは、ストレスを表出させる行動であったことは間違いありません。
さて皆さんいかがでしょうか。
電話やWEB会議のときに、ペンとメモ帳で落書きするだけで、自己表現をしながらストレスを表出ができ、集中力が高まるやもしれません。
あたらしい生活様式を生きる労働者として、ぜひ活用したいですね。
それでは皆さん、またお会いしましょう。