脱衣場と浴室の寒暖差に気を付けて!ヒートショックの予防方法4つ

10年に1度と言われる大寒波が日本を覆うなど、本当に寒い2023年の幕開けとなりました。
皆さまの地域でも交通機関の不具合があったり、積雪で渋滞となったりさまざまな支障がでたのではないでしょうか。
私の住む奈良でもかなり強い風と吹雪が舞い、屋外に置いてある自転車やバイクがなぎ倒されるほどの勢いでした。
自然の力に恐ろしさと畏敬の念を感じながら過ごしていました。

ヒートショックとは?

こう寒くなってくると血圧も血管を収縮させて高血圧になる傾向が高くなります。
年間の最低気温がもっとも低くなる1月末から2月にかけては、運動する機会も少なり温かい季節にくらべてぐっと血圧が上がります。
こういった血圧が高くなる季節におこりやすいのが「ヒートショック」です。
「ヒートショック」とは、気温の低い屋外(大きなお家であれば室内でも寒いですね)から温かい屋内への移動や、温かい部屋から寒い部屋への移動などによる急激な環境温度の変化によって、血圧が上下に大きく変動することをきっかけとして起こる健康被害の総称です。

ヒートショックの起きやすい場所は?

「ヒートショック」が起こりやすいタイミングはいつだと思われますか?なんとなく想像がつくかと思いますが、もっとも起こりやすいのが冬場の入浴時です。
銭湯などでは温かいことも多いですが、一般家庭の脱衣場には暖房がない場合がおおく、家の中でも最も寒い場所のひとつです。
こうした環境で入浴のために衣類を脱ぐことで、身体の表面から体温が逃げてしまい血管が縮こまり血圧が急上昇します。
そして、入浴時温かい湯船に入ると今度は血管が開いて血流が豊富に流れ、血圧が一気に下がります。
こうした血圧の変動の急激な変化により、脳虚血や失神、心筋梗塞、脳梗塞の発症リスクが高まります。
湯舟でこのような状態になってしまうと、結果として湯船でおぼれてしまう、低体温で命にかかわることもあります。
会社の健康診断で高血圧や脂質異常などの動脈硬化のリスクがある方や、肥満傾向の方もヒートショックの影響を受けやすいので意識して対策を心がけてください。

ヒートショック予防対策はどんなものがある?

ヒートショックの予防は、室内同士の気温差を小さくすることがポイントです。

① 脱衣場の中を入浴前から温めておく

家庭用のファンヒーターなどで入浴前に暖めておきましょう。また、お風呂場のドアを開放し、浴槽の蓋は取り、湯気などの熱気を脱衣場に流すようにして脱衣場の温度を上げておいてください。
浴槽に向けて温かいシャワーを出しておき、湯気が発生しやすい状態にしてそのまま。
お風呂場のドアも開放しておくのも1つの方法です。

② 脱衣場所を工夫する

脱衣する時に、脱衣場ではなくたとえば温かいリビングで脱衣してからすぐに浴室へ移動する、もしくは、脱衣場ではなくお風呂の洗い場で、脱衣するのがいいです。
また、洗い場で脱衣するときは、お風呂の蓋などはとり、浴室も温かくしておきましょう。

③ 浴槽へは足先から徐々に

いきなり入るのではなく、シャワーやかけ湯で足先から徐々にお湯をかけて身体の表面温度を温めてから湯船につかりましょう。
湯の温度は41℃以下でぬるめをこころがけ、上がる時にはゆっくりと上がってください。
長湯や急激な移動は血圧の変化を急降下になるため、脳貧血のような状態になりやすいです。

④ 入浴前後は水分補給

アルコールではなく、水やお白湯、お茶、アルカリイオン水などの水分を前後にとって脱水予防をしましょう。
冬場は特にのどの渇きを感じにくくなるため意識して飲みましょう。アルコールは一時的に血圧を下げてしまうので、摂取直後の入浴は避けましょう。

※番外編

高齢のご両親がいらっしゃる方は、入浴はできるだけ昼間の明るい時間帯に済ませ、入浴前後にメールや電話などで知らせてもらう等安全に入れるようにお声がけ頂けると安心ですね。
お仕事をされている皆さんは毎日お風呂に入る方が多いかと思いますが、高齢者の方は毎日入浴されない方も多く、週に2~3回という方の割合が多いですので、ご本人様のペースを大切におおらかに見守りましょう。

脱ぐときの場所と入浴の場所の温度差を極力小さくして、お風呂の時間を楽しくリラックスしたひとときにしていきたいですね。

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IKAZAKI MIZUKA保健師

投稿者プロフィール

看護師として病院勤務後、人工肛門ケアの認定看護師資格取得のため、アメリカ・クリーブランドクリニックに留学。帰国後、専門外来、市町村の保健師として母子保健を担当したのち、介護離職を経験する。復職後は、子育てをしながら、産業保健師として働く世代の方へ保健指導を行う。また、介護と子育てのダブルケア経験を活かすため、在宅介護のスペシャリストである介護支援専門員の資格を取得。
現在は、「地域包括支援センター」で、介護予防のための健康づくり、ダブルケア、8050問題、認知症など地域で暮らす高齢者のあらゆる相談を受け付ける業務を保健師として担っている。

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