まだまだ遠い脱マスク!マスク生活による頭痛、口腔トラブルを予防する3つの方法を保健師が解説

コロナ禍でマスクを着用するようになってから、「頭痛が増えた」「口臭が気になるようになった」など体の不調や変化が増えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
株式会社ロッテの調査によると、マスクを習慣的に着用するようになり、3人に1人が体の不調・変化を感じています。
一方、約半数の方がマスク着用の習慣化が引き起こす症状について「何も知らない」と回答しました。
体の不調や変化は感じているけれども、習慣的なマスク着用との関係についてはまだまだ知られていません。
そこで今回は、マスクの習慣的な着用によりどのような健康リスクが増加しているのか、そして、こうした健康リスクを防ぐ方法をわかりやすく解説します。

マスクによる不調~口腔トラブル、頭痛~

マスクによる不調の筆頭には口腔トラブル、頭痛が挙げられます。

① 虫歯や歯周病、口臭など口腔トラブルの増加

マスクをしていると、口腔内は乾燥しにくいと思っていませんか?
通常、私たちの口腔内は十分な唾液量を保っており、唾液の作用により口腔内の歯垢や食べカスを洗い流し、また殺菌作用もあるなど口の中を清潔に保つ役割を果たしています。
しかし、マスクにより口呼吸になることで、唾液量が減少しこれらの作用が低下、口腔トラブルが起きやすくなっています。

ゼネラルリサーチ株式会社が実施した「マスク時代における唾液力」に関する調査によると、「口腔環境が悪化している患者がとても増えている、増えている」と回答した歯科医師は87.1%でした。
また歯科医師の半数が「コロナ禍前とくらべて口腔環境や唾液の量と質が低下した患者は50%~70%増加した」と回答しています。
実際に株式会社ロッテの調査結果では、約44%の方が口呼吸になったと感じると回答していました。
マスクにより息苦しさを感じ、つい呼吸のしやすい口で呼吸するようにり、それに伴い唾液の分泌量が低下、結果的に虫歯や歯周病、口臭などの口腔トラブルが増えたと考えられます。

② 頭痛

マスクによる不調の2つ目は頭痛です。
原因の一つには、酸素不足が考えられます。
実際に、マスク着用時の酸素量は通常より約13%減少、二酸化炭素は通常の約30倍に増加するという報告もあります。
吸い込む酸素量が減り血液中の酸素濃度が下がると、より多くの酸素を供給しようと脳の血管が拡張、拡張した血管の周囲にある神経が刺激され、頭痛が起こりやすくなると考えられます。
酸素不足以外にも、マスクのひもが耳に負担をかけ、首や肩の凝りにつながり頭痛を起こす方、その他にもマスク着用によりさまざまなストレスを感じ頭痛を起こす方もいます。

マスク不調の予防方法

以下では、マスク不調の予防方法を3つ紹介します。

① マスクを着用する場面、着用しない場面のメリハリをつけましょう

感染予防対策のために適切にマスクを着用することは大切ですが、マスクによる健康リスクを下げるために「着用しない時間」も大切です。
厚生労働省は、「屋外で人との距離(2m以上を目安)が確保できる場合や、距離が確保できなくても、会話をほとんど行わない場合」「屋内で、人との距離(2m以上を目安)が確保できて、かつ会話をほとんど行わない場合」は、マスクを着用する必要がないとしています。
ついつい場面を問わずマスクを常に着用しがちな私たちですが、場面に応じて適切なマスクの着脱を行いましょう。

② 口呼吸ではなく鼻呼吸を意識

先述したように、マスク着用時間が伸びたことにより、口呼吸の方の割合が増えました。
口呼吸により唾液量が減少し、さまざまな健康リスクが増加します。
ふとしたときに、口がきちんと閉じられているか、鼻で呼吸ができているか意識してみてください。
すでに口呼吸が癖になっている方は、すぐに鼻呼吸に戻すのは難しいかもしれませんが、何度も鼻呼吸を意識することで習慣となります。

③ こまめな水分補給

口腔内の乾燥を防ぐために、鼻呼吸を意識するだけでなく、水分補給も意識してください。
唾液のもととなる水分が不足すると、より唾液の分泌量が低下してしまいます。
水分補給の主なポイントは下記2点です。

・ 水分補給のタイミングは「喉が渇いた」と感じる前から
・ 飲み物はカフェインレス

マスクを着用していると呼気に含まれる水分によって湿度は高くなることから、喉の渇きを感じにくく、普段よりも水分補給の量・回数が少なくなりがちです。
また、カフェインの入った飲み物だと、利尿作用が高くなり口が渇きやすくなります。
唾液の分泌量が気になる方は、できるだけ水などカフェインレス飲み物を摂取してください。

さいごに

まだまだコロナ禍が続いており、マスク生活も長くなってきましたね。
感染予防のために必要なマスク、マスク生活による健康リスクを少しでも減らせるよう
今日学んだ予防方法をぜひ実践してみてください。
マスク越しではない皆さんの笑顔を、1日でも早くみられることを願っております。

<参考資料>
・ 株式会社ロッテ「マスク着用の習慣化による体の不調・変化に関する調査を実施。約半数がマスク生活のもたらす健康リスクを「何も知らない」一方、3人に1人がその症状を実感!」
・ ゼネラルリサーチ「【コロナ禍のマスク着用で唾液力が大幅に悪化】唾液の量と質の低下による健康リスクとは?歯科医師1,065名が考える唾液力を高める方法が明らかに!」
・ Fernando Pifarrea、Diego Dulanto Zabala、Gonzalo Grazioli、Ignasi de Yzaguirre i Maura「COVID-19 and mask in sports」(Apunts Sports Medicine,Volume55,2020)
・ 厚生労働省「屋外・屋内でのマスク着用について(PDF)」

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藤居まお株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院の消化器外科病棟に看護師として勤務後、不妊治療専門クリニックで体外受精などの生殖補助医療に携わる。看護師としてのキャリアを重ねていくなかで「もっと早く自分の身体、健康に意識してくれていれば」の想いが強まったことから、ドクタートラストに入職。産業保健師としてセミナーや保健指導、産業医導入企業へのフォロー介入など、多方面で活動中。得意分野は「女性の健康」「生活習慣病」「がん(特に消化器系)」など。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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