【保健師が解説】第7波到来の夏をどう過ごす?新型コロナウイルス対策

2022年7月以降、全国各地で、新型コロナウイルスの新規感染者数が増加に転じ、感染が急速に拡大しています。
2022年2月にピークを迎えた第6波の減少ペースが緩やかななかで、第7波を迎えましたが、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、「感染者数が第6波のピークを超えることは覚悟しておいたほうがいい」と警戒感をあらわにしています。
では、私たちは、新型コロナウイルス第7波のなかでどのように生活をするべきなのでしょううか。
今回は疑問点をわかりやすく解説します。

なぜ感染者はこんなにも増えている?

現在、新型コロナウイルスが急増し、第7波が引き起こされている背景には以下の要因が複合的に重なったことが考えられています。

・   ワクチン接種後の時間経過
・ 行動制限緩和による人流の増加
・ エアコン使用による室内換気の低下
・ BA.5系統の感染性の高さと免疫逃避のしやすさ
・ BA.5系統よりもさらに感染性の高いBA.2.75の感染確認

BA.5系統は、オミクロン株の亜系統であり、以前流行していたデルタ株とくらべ、重症化しにくいという特徴があると言われていますが、重症度や潜伏期間については、いまだ情報が十分ではありません。
また、BA.2.75については、過去の変異株とくらべあまりに異質であるともされており、日本国内の現時点では、重症者数や死亡者数については、ゆるやかな増加にとどまっていますが、今後は注意して経過を追う必要があります。

「新型コロナウイルス」対策に対するさまざまな声

新型コロナウイルスが流行し始めて、2年以上が経ち、感染者のピークが何度も来ていたなかで、私たちも、徐々にWithコロナな生活に慣れてきています。
また、それに伴って流行当初にくらべると、全体的に政府や自治体の対応に不満が募る、あるいは感染に対する危機感が低下するなどして、「正直、感染者になったからって何が悪いの?」「ワクチンを打って、重症化しないはずなのに、対策は変わらないのはおかしい」「陽性になったからって、少し休めば大丈夫でしょう」と、さまざまな声が聞かれています。
何度も繰り返される新型コロナウイルスの感染のピークと行動制限に対して、そろそろ「通常の生活」を取り戻したい、という思いは、共通のものでしょう。

基本的な感染対策の再点検と徹底を

社会経済活動が継続されているなか、今後医療体制のひっ迫が深刻になった場合には、行動制限を含めた強い対策が必要となる可能性もあると言われています。
すでに大阪府では、独自の自粛要請基準を満たしたことから、医療非常事態宣言を出し、重症化リスクの高い65歳以上の高齢者に不要不急の外出自粛を求めています。
これから、経済活動を止めずに行動を制限されない生活、つまり通常の生活を続けることを目指すのであれば、「医療のひっ迫をいかに防ぐか」が鍵であり、それぞれが感染しない/感染させない工夫をしていく必要があります。

(1)行動制限の緩和≠基本的な感染対策の緩和

第6波のピークアウトに伴い、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言などが解除されました。行動制限の緩和とともに、私たちの日々の基本的な感染対策も同時に緩和され、大人数での社内イベントの開催や、飲食を伴う会食の機会の増加など、基本的な感染対策の緩和も広がりつつあります。
なお、政府は7月29日、都道府県単位で独自にBA.5対策強化宣言」が出せるしくみを導入すると発表。
これは早期のワクチン接種の呼びかけや高齢者・基礎疾患のある人の混雑した場所への外出自粛などを都道府県単位で呼びかけるものです。
あわせて、全国一律での「行動制限は考えていない」とメッセージが出されていますが、これはあくまで「まん延防止等重点措置や緊急事態制限のような行動制限を課すことは考えていない」という意味合いであり、基本的な感染対策をしなくていい、というわけではないことを注意しなければなりません。
必要なシチュエーションでのマスク着用、3密などの感染リスクの高い場面を避けるなどの対策は、引き続き行っていきましょう。

(2)夏の時期の感染対策 (帰省シーズンこそ気をつけよう)

感染のピークだった2020年、2021年の夏を過ごしたことで、「今年の夏こそは」とお盆の帰省や花火大会などの夏のイベントへの参加などを検討している人も多いでしょう。
実際に、新型コロナウイルスの影響で中止となっていた京都・祇園祭での3年ぶりの山鉾巡行では、見物に14万人も訪れたようです。
今後、感染状況によっては、お祭りの実施も中止を検討されるかもしれませんが、私たちも下記のシチュエーションには注意が必要です。

・ 職場などでの納涼会(大勢の集まるイベント)
・ 帰省先での同窓会/飲み会
・ 体調不良時の無理な外出や帰省 など

旅行や移動自体が、感染リスクを高めるというわけではありません。
食事などを通して、飛沫が飛び交う環境に長時間身を置くことが、感染リスクを高めます。
ただ、夏は、飲み会シーズンであり、お酒が入ると、どうしても自然と声が大きくなったり、いつもなら気にしていることも気にならなくなる可能性があります。
せっかくの夏。
感染急増にて行動制限、とならないように、なるべく少ない人数で、飛沫を飛ばすような大声を出さないなど気をつけて過ごしていきましょう。

<参考>
・ 新型コロナウイルス感染症対策分科会「第7波に向けた緊急提言(PDF)」(2022年7月14日)

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原田 佑紀子株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院やクリニックで看護師として、さまざまな疾患をもつ働き盛りの年代の患者様を間近で看護させていただくなかで、からだとこころは密接に関係している、と強く実感しました。
「病気」に目を向けるだけではなく、病気になることで揺れ動くこころや生活を支え、健康に働くことをサポートする役割になりたいという思いから、産業保健師として活動しています。皆さんの「知りたい」最新の産業保健の情報を伝えられたらと思います!
【保有資格】看護師、保健師、人間ドック健診情報管理指導士、睡眠健康指導士上級
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