手足口病とは、夏に流行しやすく、特に1~5歳の子どもがかかりやすい感染症です。
2024年は、特にいつもより流行時期が早まっていることから、早めの対策が必要です。
手足口病の発生状況
夏に流行しやすいと前述しましたが、2024年は特に例年にくらべ流行の時期が早く、大阪府では警報レベルを超えています。
大阪府以外でも、同様に警報レベルを超えている地域があります。
どの地域の方も、今年は特に早めに感染症対策を取っていただくことをおすすめします。
手足口病とは?
以下では、手足口病の症状や予防方法などを解説します。
① 症状
手足口病に感染してから3~5日後には以下のような症状が出ます。
・ 発疹:特徴として、口の中や手足などに水疱性の発疹ができます。口の中や喉にできた発疹により、喉の痛みや食欲不振がでることもあります。
・ 発熱:発熱は、3人に1人の割合でみられます。高熱にならないことがほとんどで、高熱が続くことも通常はありません。
・ 合併症:まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。高熱が続く、発熱が2日以上続く、ふらつき、呂律が回らない、呼吸がしにくいなど、普段と異なる症状がありましたら、すぐに医療機関を受診してください。
通常の症状は数日で治まることが多いです。
ただ、子どもは症状を口で説明するのが難しいため、大人が注意深く経過を観察し、合併症などの症状の悪化に注意する必要があります。
② 感染経路と予防方法
手足口病の主な感染経路は以下3つです。
飛沫感染;咳やくしゃみなどによって飛んだ飛沫に含まれる病原体を吸い込み感染すること
接触感染:感染している人の皮膚や粘液に触れたり、病原体がついたドアノブや手すりなどを介して間接的な接触により、病原体が付着し感染すること
糞口感染:便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染すること
予防方法としては、手洗いうがいの徹底、排泄物を適切に処理し、処理後は手洗いをすることです。
ただ、衛生観念が未発達な乳幼児の集団生活施設では、施設内感染の広がりを防ぐことは難しいです。
大人を介して感染を広げないために予防を徹底することは大切ですが、乳幼児たち自身が予防方法を徹底することは難しいでしょう。
③ 治療方法
手足口病にはワクチンや特効薬などなく、対症療法が主な治療法です。
対症療法とは、出現している症状を緩和させ、苦痛を和らげる治療法です。
手足口病の場合、発熱に対しては解熱剤、喉の痛みに対しては鎮痛剤などがあります。
発熱時や喉の痛みで飲水量が減ると、脱水に陥りやすくなります。
こまめな飲水を心掛けたり、柔らかく飲み込みやすい食べ物を選ぶ、水分量の多い果物を与えるなど、乳幼児たちが食物・水分摂取をしやすい工夫を行ってください。
いつまで休む必要があるの?
働いている方が特に気になるのは「いつまで保育園や幼稚園を休む必要があるのか」ですよね。
手足口病には定められた出席停止期間(感染したら○○日間休まなければならない)がありません。
こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」によると、登園目安を「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」としています。
多くの乳幼児施設ではこちらを目安にしていることが多いですが、施設によって独自の登園ルールが存在する場合もあります。
たとえば、「解熱して24時間経過してから登園可能」などです。
必ず通っている施設の登園基準を確認してください。
子育てをしている皆さま、毎日本当にお疲れさまです。
お子さんと皆さんが日々健康で過ごせるように、ぜひ参考にしてください。
<参考>
・ 大阪府「【警報レベル超え!】手足口病が例年より早く流行しています」
・ こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)(PDF)」58頁
・ 厚生労働省「手足口病に関するQ&A」
・ 国立感染症研究所「手足口病とは」