30代なのにもう閉経?意外と知られていない早発閉経

皆さんの中で、月経が周期的にこない、3か月以上来ていない方はいらっしゃいませんか?
もしかするとその症状、早発閉経かもしれません。
閉経を迎える年齢は50歳前後のイメージがあるかもしれませんが、40歳未満でも自然と閉経になる方もいらっしゃいます。
その割合はなんと、30歳未満の1,000人に1人、40歳未満の100人に1人。
決して他人事とは言えない数字です。

そもそも早発閉経って何?

早発閉経とは「早発卵巣不全」といって、40歳未満で卵巣機能が低下して無月経(月経が3か月以上ない)となった状態を言います。
40歳未満で自然と閉経になり、月経がなくなるということです。

早発閉経の症状

初期症状に月経不順がみられることが多いです。
月経不順とは、以下のような状態をいいます。

・ 月に2回月経が来る
・ 月経が2日以内で終わる、もしくは8日以上続く
・ 月経周期が24日以内と短い、もしくは39日以上と遅れがち

月経がなくなる前後からさまざまな更年期障害の症状が現れる場合もあります。
具体的な症状としては以下が見られます。

・ 顔のほてり、のぼせ、発汗、ホットフラッシュ
・ めまい、頭痛、動悸、倦怠感、肩こり、手足の冷え
・ イライラ、情緒不安定、不眠、意欲の低下

そして最終的に、無月経(月経が3か月以上ない)の状態となります。

早発閉経の原因

早発閉経は、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の量が早期に低下することが原因です。
その原因の75~90%は原因不明とされているものの、10~15%程度は下記が原因といれています。

① 自己免疫疾患:甲状腺炎、副甲状腺機能低下症、白斑、悪性貧血 など
② 染色体異常:ターナー症候群 など
③ 医原性:卵巣の手術、化学療法、放射線照射 など
④ 感染性:水痘、結核、サイトメガロウイルス、ムンプス卵巣炎
⑤ その他:糖尿病、喫煙 など

早発閉経になるとどんな影響があるの?

早発閉経になると、以下のような影響があります。

不妊症

早発閉経とは先述したように、40歳未満で閉経することをいいます。
つまり、卵巣機能の低下により卵胞が発育しなくなる、排卵しなくなるということです。
そのため、受精ができず不妊に悩まれる方も少なくありません。
早発閉経の生涯にわたる自然妊娠率は約5~10%といわれています。
ただ、ホルモン補充療法などの治療によって卵巣機能の改善、排卵が再開されれば妊娠できる可能性もあります。
この確率を少しでもあげるために、40歳未満で月経不順がある方は早めに婦人科を受診しましょう。

さまざまな病気のリスク上昇

(1)心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)

女性ホルモン(エストロゲン)には、血管の柔軟性を維持する作用や血圧上昇を抑える作用などあります。
早発閉経により女性ホルモンの分泌が著しく低下することで、脂質異常症や動脈硬化が進行し、心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)のリスクが上昇します。

(2)骨粗しょう症

女性ホルモン(エストロゲン)には、骨からカルシウムが引き出されるのを防ぎ、骨密度を保つ作用があります。
早発閉経により女性ホルモンの分泌が著しく低下することで、骨からカルシウムがどんどん引き出され、脆くなり、骨折しやすい「骨粗しょう症」になりやすいです。

早発閉経により上記のような病気のリスクが上昇するため、妊娠希望の有無にかかわらず、早期に治療を開始することが大切です。

さいごに

月経と聞くと人によっては煩わしく、月経が来なくても気にならない方もいらっしゃるかもしれません。
もしくは、忙しい毎日を送られていて、ストレスで遅れているだけと思っている方もいるのではないでしょうか。
しかし、その裏には早発閉経のような病気が隠れている場合もあります。
将来後悔しないためにも、改めて月経周期や月経に関するトラブルがないか振り返っていただき、気になる症状がある方は早めの婦人科へ受診されることをおすすめします。

<参考>
・ 女性の健康推進室ヘルスケアラボ「早期閉経」
・ 一般社団法人日本内分泌学会「早発卵巣不全」

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藤居まお株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院の消化器外科病棟に看護師として勤務後、不妊治療専門クリニックで体外受精などの生殖補助医療に携わる。看護師としてのキャリアを重ねていくなかで「もっと早く自分の身体、健康に意識してくれていれば」の想いが強まったことから、ドクタートラストに入職。産業保健師としてセミナーや保健指導、産業医導入企業へのフォロー介入など、多方面で活動中。得意分野は「女性の健康」「生活習慣病」「がん(特に消化器系)」など。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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