花粉症対策は「症状が出る前」が鍵|産業保健師が教える職場でできるセルフケア

冬の終わりごろから本格的に始まる花粉症。
多くの人が鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状に悩まされます。
花粉症は命に関わる病気ではないものの、集中力の低下や睡眠障害を引き起こし、仕事の生産性を下げる代表的な要因とされています。
そこで今回は、働く人が職場で快適に過ごすための花粉症対策を整理します。

花粉症ってなに?

そもそも花粉症とは、目や鼻から入ってくる花粉が原因で起こるアレルギー反応をいいます。
つまり、花粉に対するアレルギーです。

発症のメカニズム

花粉が体内に入ると、からだがそれを異物と認識し、この異物(抗原)に対する抗体を作ります。
個人差はあるものの、数年から数十年かけて花粉をくり返し浴び、抗体の量が増加すると、くしゃみや鼻水、目のかゆみや涙目などの花粉症の症状が出現するようになります。
まだ花粉症になっていない方が、花粉をできるだけ避けることで、将来の発症を遅らせることも重要です。

花粉はいつ多くなるの?

花粉症の約70%はスギ花粉症だと推察されており、スギ花粉については2~4月頃に飛散します。
昼前後と夕方に多く飛散し、特に以下のような状況になると、花粉が多くなります。

・ 気温が高い晴れの日
・ 風が強く、空気が乾燥している日
・ 雨上がりの翌日

花粉症対策

自分でできる花粉症予防は、下記のような項目があります。
鼻や目に花粉が付着しないように対策しましょう。

◎花粉症対策のセルフケアチェック
□花粉飛散情報に注意する
□花粉の飛散が多いときの外出を控える
□花粉の飛散が多いときは窓や扉を閉めておく
□外出時に眼鏡やマスクを使用する ※花粉症用マスクが息苦しく感じる方は、通常のマスクに湿ったガーゼを挟み込むのも効果的
□帰宅時は衣服や髪をよく払ってから入室する
□洗顔・うがいを行う
□掃除を励行する
□表面がけばけばとした毛織物のコートの使用を避ける(ウールなど)

反対に、花粉症を悪化させるNG習慣は下記となります。
鼻の粘膜を傷つける行動や、免疫力を下げる行動は控えることをおすすめします。

□睡眠不足
□ストレス
□喫煙
□過度なアルコール摂取

上記を踏まえ、企業として下記のようなことに取り組めるとよりよいですね。

□花粉症に対する健康教育を行う
□空気清浄機の設置
□消耗品の準備(ティッシュやマスクなど)

治療や受診のタイミング

治療方法

花粉症の治療には、対症療法と根治療法があります。

① 対症療法

・ 点眼薬、点鼻薬などによる局所療法
・ 内服薬などによる全身療法
・ レーザーなどによる手術療法

これらの薬剤を用いる治療法は以下の薬物の作用によって、花粉症の症状やQOL(クオリティオブライフ)の低下をやわらげようとするものです。

(1) 花粉症などアレルギーの病気のときに体内で増えているアレルギーの細胞を抑える
(2) アレルギーの細胞から症状の原因となる物質(化学伝達物質)が放出されるのを制限する
(3) ヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質が神経や血管に作用するのをブロックする

薬剤を上手に使い分ければ、花粉が多い年でも約5~6割の患者さんが大きな副作用もなく、花粉症の症状がほとんど出現せずに、高いQOLを保ったままで花粉飛散の季節を過ごせることがわかっています。

② 根治療法

・ 舌下免疫療法
・ 原因抗原(花粉など)の除去と回避
・ アレルゲン免疫療法(減感作療法)

ご自身にあった治療法を見つけるためにも医療機関に相談しましょう。

受診のタイミング

毎年花粉症の症状が出る方は、花粉が本格的に飛散する1週間前までには医療機関を受診し、薬を用意しましょう。
花粉が飛散し始めた時期や症状がごく軽いときから薬の使用を開始することで、症状を抑えることができます。
今まで花粉症と診断されていなくても、鼻水やくしゃみなど花粉症と思われる症状が出た方は、早めに医療機関での診断を受けましょう。
なお、本稿執筆時点での2026年スギ花粉飛散開始時期は下記のとおりです。

地域飛散開始予想時期
秋田3月上旬
仙台2月下旬
新潟2月下旬
金沢2月下旬
松本2月下旬
東京2月中旬
名古屋2月中旬
大阪2月中旬
広島2月中旬
高松2月中旬
福岡2月上旬

参考:一般財団法人日本気象協会「2026年 春の花粉飛散予測(第2報)」
<参考>
・ 環境省、厚生労働省「花粉症対策 スギ花粉症について日常生活でできること(PDF)」
・ 厚生労働省「的確な花粉症の治療のために(第2版)(PDF)」

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藤居 真央株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学病院の消化器外科病棟に看護師として勤務後、不妊治療専門クリニックで体外受精などの生殖補助医療に携わる。看護師としてのキャリアを重ねていくなかで「もっと早く自分の身体、健康に意識してくれていれば」の想いが強まったことから、ドクタートラストに入職。産業保健師としてセミナーや保健指導、産業医導入企業へのフォロー介入など、多方面で活動中。得意分野は「女性の健康」「生活習慣病」「がん(特に消化器系)」など。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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