サル痘とは?名前の由来、症状などを保健師が解説
- 2022/8/31
- 病状・症状
暑い日が続き、新型コロナ感染者も高止まりしている毎日ですね。
新型コロナウイルスに続いて、「サル痘」も世界的に流行しており、感染症の勢いは留まるところを知りません。
異状な暑さや豪雨被害も続いており、まさに地球規模で気候変動が起こっています。
今回は「サル痘」がどんな病気かをわかりやすく解説していきます。
「サル痘」とはどんな病気?
最近ニュースでよく報道されているサル痘は、サル痘ウイルスによる感染症で、最初に発見したきっかけが動物のサルであったためこのように呼ばれています。
サルからリス、ネズミ等を介して人に感染します。
もっとも新しい感染症というわけではなく、始めに見つかったのは1970年のザイールで、今から52年以上も前です。
その後、アフリカ等の熱帯地域、さらに2003年にはアフリカから輸入されたペットがサル痘に感染し、そこから数十人の飼い主に感染が広がった事例などがあります。
サル痘はかつて恐れられた疫病「天然痘」に似ており、実際に罹患(りかん)した時に現れる症状もよく似ています。
大きく違う点は、天然痘は死に至る可能性が20~50%にも及ぶ病気であるのに対し、サル痘は数%ほど(10%程度)とそれほど高くありません。
サル痘に感染したらどんな症状になる?
サル痘を発症すると、新型コロナウイルス同様に発熱や頭痛、強いだるさといった症状があらわれます。
時には首筋に流れるリンパ節が腫れることもあります。
サル痘は、ウイルスに感染してから発熱などの症状が出るまで平均して12日間ほどあり、新型コロナウイルス第7波で急拡大したBA5にくらべると発症するまでの期間は長いことから、感染していることに気が付かず、他の人に移してしまう場合もあります。
感染すると、熱やリンパ節などの腫れの症状が出た後、水ぼうそうの時になるような水膨れが顔や手のひら、足の裏に出現しはじめ、やがて全身に広がります。
発疹や水膨れができてかさぶたが消えるまで3種間ほどかかり、自然治癒をたどる経過となります。
どうすればサル痘を防げる?
サル痘にかかれば、その症状に合わせた解熱剤等の対症療法しかありません。
この点は現在の新型コロナウイルスの軽症者などの対応と同様です。
皮膚などに発疹がある時には綿などの肌に優しい素材を衣類として選択し、水ぼうそうをかき破らないようにすることが大切です。
また天然痘のワクチン接種は一定の予防効果があるものの、ではインフルエンザのように常に流行る感染症ではないため、ワクチンそのものがかかりつけ医や近所の診療所には備蓄されておらず国が保管していることから、一般的な接種は不可能です。
新型コロナウイルスと同様に基本的な感染対策、マスクの着用、手洗い・うがいなどの励行、手指消毒はどの感染症対策においても基本となるため、これらの感染予防行動をとるよう心がけましょう。
さらに海外渡航がこの先可能となったとしても、旅行先を選ぶ際にサル痘の流行しているような地域は避けることも一案です。
サル痘が発生しているような地域に行かなければいけない場合は、サルはもちろん、リスやネズミなど媒介となる動物に触らないように、またそれらの肉に触ったり食べたりしないようにしてください。
2022年5月7日以降、欧米を中心とした各国から渡航歴のない方の発症例が報告されています。
人から人への感染がなかった1970年当初と異なり、現在は皮膚病変や接近した対面での会話などで感染が確認されています。
また感染者が使ったシーツなどの寝具を介して移った事例もあるようです。
症例の割合としては若年の男性が多いです。
死亡者はアフリカのような常にサル痘が見られるような国では3例の報告があり、日本国内では、人から人に感染した例として、本稿執筆時点で4例の報告が上がっています。
ちなみに現時点で確定診断ができるのは、国立感染症研究所に限られています。