9月24日~30日は「結核予防週間」です~私たちも他人事ではない理由~
- 2023/9/22
- 病状・症状
結核とは
厚生労働省にでは、毎年9月24日から30日を「結核予防週間」と定め、地方自治体や関係団体の協力を得て、結核予防に関する正しい知識の普及啓発などを行っています。
正しい知識が結核対策の第一歩です。
この機会に、「結核」について学んでみましょう。
結核は、結核菌によって発生する日本の主要な感染症の一つです。
医療が進歩し栄養状態や生活水準が良くなるにつれ、かつて「亡国病」と恐れられていた結核は「薬を飲めば治る病気」になりました。
1年間の新登録患者数は年々減っており、日本は「低蔓延化」を達成しました。
これは、国や結核予防会をはじめ、たくさんの組織や民間団体などの協力のもと、長い年月をかけて結核対策を続けてきた成果です。
しかし、今でも毎年新たに10,000人以上の患者が発生し、約2,000人が命を落としている現状があり、油断は許されません。
また、結核を発病した人の約4割が80歳以上の高齢者と言われていますが、結核は感染してから発病するまで数カ月から数十年と潜伏期間が長く、気づかないうちに感染していた結核が、自分の免疫力が低下した時に発病することもあります。
結核は空気感染をすることも特徴的です。
結核を発病している人から拡散した結核菌は、30分程度は空気中を浮遊するといわれているだけでなく、通常の不織布マスクでは通り抜けてしまいます。
そのため、引き続き地道な取り組みが必要です。
結核の症状
結核の症状は、長引く咳、たん、微熱、全身倦怠感などが挙げられ、結核が進行すると咳やくしゃみによって周囲の人への感染リスクが高くなることから、早期発見・早期治療が重要と考えられています。
時に自覚症状がなく、健康診断でレントゲン異常を指摘されて見つかることもあると言われています。
自覚症状だけでは特徴的なものがなく、早期には目立たないことが多いため、ふつうの風邪と見過ごされることが多く、特に高齢者では気づかないうちに進行してしまうことがあるようです。
結核を発病しても、早期に発見できれば重症化を防げるだけではなく、大切な家族や友人等への感染拡大を防ぐことができます。
BCGワクチン
BCGワクチンとは結核予防のためのワクチンです。
赤ちゃんが結核に感染すると症状が重くなりやすいといわれているため、BCGワクチンは法令により「生後1歳になるまで」のなるべく早い時期に接種します。
一般的には「生後5ヵ月から8ヵ月に達するまで」に接種しますが、お住まいの地域によってはもっと早い時期に接種することもあります。二の腕にかすかに残る「あと」は、こどもの頃に受けたBCGワクチン接種の痕です。
BCGワクチンを接種することにより、小児の結核の発病を52~74%程度、そして重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度罹患リスクを減らすことができると報告されています。
また、予防の効果は10~15年ほど続くと言われています。
結核予防会の活動
結核予防会とは、1939年に閣議決定により設立された公益財団法人です。
結核予防会では、国民の結核に対する正しい理解を得て「結核のない世界」をつくるため、様々な活動を行っています。
その活動の一つとして、「複十字シール運動」による募金活動が挙げられます。
募金に協力するともらえる「複十字シール」には、健康を願うメッセージが込められています。
そのシールを使うことにより、運動の輪が広がります。
シールは、毎年新しい図案で発行されているそうです。募金活動を行うとともに、病気への理解を広め、予防の大切さを伝えています。
また、収益金は、結核予防の普及啓発活動、全国の結核予防団体の事業支援、開発途上国への結核対策支援、結核等の調査研究の活動に活用されています。
毎年9月24日~30日の「結核予防週間」では、結核予防会において、周知ポスターやパンフレット等を作成・配布するとともに、「全国一斉複十字シール運動キャンペーン」として全国各地で街頭での募金や無料結核検診・健康相談等を実施して、結核予防の大切さの普及を図っています。
早期発見・早期治療は本人の重症化を防ぐためだけではありません。
大切なご家族や職場等への感染の拡大を防ぐためにもとても重要です。
「結核予防週間」を機に、結核についての正しい知識を身に付け、「結核のない世界」を目指しましょう。
<参考>
・ 厚生労働省「結核(BCGワクチン)」
・ 厚生労働省「2022年 結核登録者情報調査年報集計結果について」
・ 公益財団法人結核予防会「結核予防週間」
監修:佐藤せな(ドクタートラスト 保健師)