
東京労働局は職場におけるメンタルヘルス対策等の自主的な取組を促すため、「メンタルヘルス対策等自主点検」を実施し、2025年2月18日に実施結果を発表しました。
実施の詳細は以下となります。
【実施期間】
2024年9月30日から2024年10月31日まで
【自主点検対象事業場】
(1)自主点検対象事業場
東京労働局管内の常時使用する労働者数10人以上の事業場から3,500事業場が抽出され、このうち、事業場廃止・移転等を除いた2,896事業場が対象となりました。
(2)回答事業場
上記のうち回答があった事業場は579事業場、有効回答率は20.0%でした。
調査の目的
本調査の目的は、「第14次東京労働局労働災害防止計画の『労働者の健康確保対策の推進』の項目に定めているアウトプット指標の状況を把握するため、また、各事業場の職場におけるメンタルヘルス対策等の自主的な取組を促すため」とされています。
この、「アウトプット指標」とは、「労働者の健康確保対策の推進」の項目に定めているものであり、以下が該当します。
(1)メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を2027年までに80%以上とする。
(2)50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合を2027年までに50%以上とする。
(3)必要な産業保健サービスを提供している事業場の割合を2027年までに80%以上とする。出所元:厚生労働省 東京労働局「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果について」
これらのアウトプット指標に対する取り組みの実施状況を把握することが本調査の目的ということです。
第14次東京労働局労働災害防止計画とは
2023年3月に厚生労働省が策定した「第14次労働災害防止計画(全国計画)」 を踏まえ、管内の労働災害の更なる減少に向けて、2023年度から5年間にわたり重点的に取り組む事項を定めたものです。
本計画では、計画期間中に、死亡災害及び休業4日以上の死傷災害を5%以上減少させることを基本目標とし、事業場が取り組むべきアウトプット指標、及び同指標に定める項目を実施した結果として期待される事項がアウトカム指標として設定されています。
出所元:厚生労働省 東京労働局「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果について」
自主点検実施結果
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は 91.7%であり、第14次東京労働局労働災害防止計画のアウトプット指標である「2027年までに80%以上」を上回る結果となりました。
2023年度の自主点検結果は89.4%です。
取組内容(複数回答可)をみると、「メンタルヘルス不調者の相談体制を整備している」が83.8%と最も多く、次いで、 「ストレスチェックを実施している」が74.3%、「メンタルヘルス不調者を医療機関等へ取り次ぐ体制の整備」が73.9%となっています。
ほとんどの項目で60%以上を示している中で、「心の健康づくり計画を策定している事業場」の割合については 38.9%にとどまっていることがわかります。

出所元:厚生労働省 東京労働局「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果について」
ストレスチェックを実施している事業場の割合
ストレスチェックを実施している事業場の割合は全体で74.3%、そのうち50人未満の小規模事業場においてストレスチェックを実施している事業場の割合は51.2%であり、 第14次東京労働局労働災害防止計画のアウトプット指標である「2027年までに50%以上」を上回っている結果となりました。
また、2023年度の自主点検結果では47.2%であったため、今年度で指標の数字を超えたこととなります。

出所元:厚生労働省 東京労働局「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果について」
産業保健サービスの提供を行っている事業場の割合
必要な産業保健サービスを提供している事業場の割合は88.1%であり、第14次東京労働局労働災害防止計画のアウトプット指標である「2027年までに80%以上」を上回りました。
前年度の自主点検結果は87.8%です。
取組内容(複数回答可)をみると、「定期健康診断結果に基づく保健指導を実施している」が 77.6%と最も多く、次いで、「食事、運動、睡眠等の健康に関する教育の実施」が66.5%、 「治療と仕事の両立支援に取り組んでいる」が56.5%という結果となりました。

出所元:厚生労働省 東京労働局「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果について」
今後の取り組み
厚生労働省 東京労働局は今後の取り組みについて以下のように述べています。
ストレスチェック制度の実施を含むメンタルヘルス対策の徹底を図るため、引き続き集団指導、個別指導等あらゆる機会をとらえ、『労働者の心の健康の保持増進のための指針』の周知を図るとともに、ストレスチェックの実施のみならず、結果の集団分析及びこれを活用した職場環境改善の取組をさらに促進するため、産業保健総合支援センターによるメンタルヘルス対策に係る支援(研修、訪問支援等)の利用勧奨や50人未満の小規模事業場に対する地域産業保健センターの利用勧奨など、引き続き行ってまいります。
出所元:厚生労働省 東京労働局「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果について」
さいごに
このように今年度のメンタルヘルス対策等自主点検では、第14次東京労働局労働災害防止計画のアウトプット指標の各数字を上回っていることがわかりました。
このほかにもストレスチェックや健康診断への取り組み状況についてさまざまな調査結果が確認できたのでぜひ見てみてください。
<参考>
厚生労働省 東京労働局「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果について」