出産後にメンタル不調になる?事前に知っておきたい産後ケアサービスをご紹介

皆さまのなかには、「産後うつ」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
産後うつとは、分娩後の数週間、ときに数カ月後まで続く極度の悲しみや、それに伴う心理的障害が起きている状態をいいます。

筆者は2年前に出産を経験したのですが、出産後、病院ではコロナ感染対策で誰とも面会できず、孤独と不安を抱えたまま退院。
夫と2人で初めての育児をスタートさせましたが、週に1度はわずかなこと(抱っこ紐がうまくつけられない、沐浴の際に赤ちゃんの目にお湯が入ってしまった等)がきっかけで涙が止まらなくなったり、乳腺炎が辛くて大泣きしながら産科に電話をしたりと、体力的にも精神的にもボロボロな毎日を送っていました。
当時の自分の状態が「メンタル不調」であったことは間違いないと思っています。

本記事で産後のメンタル不調について知っていただき、今後の皆さまの生活に少しでもお役に立てれば幸いです。

メンタル不調の具体的な症状(一例)

以下のような状態の場合、メンタル不調が考えられます。

■ 気分が落ち込む
何となく、ずっと気分が晴れないような状態が続く。

■ 意欲の低下
「あれしよう」「これしよう」と考えることが減る。何もしたくない。

■ 何をしても楽しいと思えない
以前は楽しいと思っていた事に興味が無くなる。億劫になる。

■ ふとしたきっかけで涙が出る
バリバリと働いている人を外で見かけ、突然涙が出る。

■ 睡眠不足、何度も目が覚めてしまう
夜泣きで何度も起こされ、眠れない日が続く。寝ても熟睡できない。

■ 疲れやすい
起きたときから「疲れた」と感じている。

メンタル不調になる原因

原因は人によってさまざまです。
例えば、以下のような点が原因として挙げられます。

・ 夫(パートナー)や家族からのサポート不足
・ 「自分でしっかりやらなきゃ!」と一人で家事や育児を抱え込んでしまう
・ 急激な環境の変化(眠れない、自分の時間が取れない等)
・ 想定外の妊娠だった
・ 授乳がスムーズにいかない、不快感がある

対策~周囲を頼ってみましょう~

1人で何とかしようと頑張らなくて大丈夫です。
誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが軽くなることもあるので、周囲を頼ってみてくださいね。
いくつかの機関やサービスをご紹介しますので、ご参考ください。

【子育て支援センター(子ども家庭支援センター)】

子育てをサポートするさまざまな情報が集まっています。
健康相談、育児相談、発達相談、保健師による家庭訪問、保育ママ、一時預かり、病児保育、ママサークル……さまざまな情報が入手できます。(自治体により異なります)
はじめての育児に取り組んでいる方や、情報をたくさん集めたいという方に特におすすめです。

【保健センター】

保健師を中心に、地域の健康に携わる職員が常駐する場所です。3~4ヶ月検診や歯科検診など、地域が行う赤ちゃんの健康診断を、この保健センターで実施しています。(自治体により異なります)
子供の発育や健康面について不安があり、専門家からのアドバイスを求める方に特におすすめです。

【産後ケアハウス】

授乳の指導や食事のお世話など、「産後ケア」に特化した施設です。
助産師が常駐し、授乳の方法、疲れにくい抱っこの方法などを教えてくれます。
日帰り利用も可能ですが、1週間ほど滞在する人もいます。
自宅ではゆっくりと休む時間や環境がない方に特におすすめです。

【ファミリーサポート】

地域の人たちが、赤ちゃんを数時間預かってくれたり、保育園の送迎を手伝ってくれたりする行政サービスです。
民間のベビーシッターは1時間数千円かかりますが、こちらは1時間数百円というリーズナブルさが大きな特徴です。
子育てを終えた50~60代の方々を中心に多くの協力会員が活躍されている印象です。
費用を安く抑え、自分の時間を持ちたいという方に特におすすめです。

【ベビーシッター】

たまには自分の時間も欲しいですよね。
美容院に行ったり、病院を受診したり……そんなときに便利な民間のサービスです。
1時間数千円からと少々お高めですが、お世話に慣れたシッターさんが、自宅のほか指定した場所で赤ちゃんを遊ばせたり、ミルクを与えたりしてくれます。
保育士や助産師の方々が多く登録している印象ですが、シッターさんの経験により、価格に変動があることも。
事前登録が必要なので、時間があるときに早めに登録しておきましょう。
病児保育専門のベビーシッター会社もありますので、仕事に復帰する前に登録を済ませておくと安心ですね。
保育士などの資格を持った人にお世話をおねがいしたいという方に特におすすめです。

【助産師外来】

授乳がうまくできない、乳腺炎で発熱、赤ちゃんがちゃんと育っているか自信がない……
こんな産後の不調と不安に応えてくれるのが、産婦人科などで開設している「助産師外来」や地域の「助産院」です。
助産師にマッサージをしてもらいながら、日頃の悩みを相談できるのが魅力です。
医療設備が整った場所で助産師と話をしたり、マッサージをのぞんでいる方に特におすすめです。

【子育てリラックス館(子育てひろば)】

家の中で子供とずっと一緒に過ごしていると、息がつまるという保護者の声も多く聞きます。
保護者が、子どもを連れて気軽に集まってリフレッシュしたり情報交換ができる場所で、全国各地にも同様の施設があり、各地域で名称もいろいろ違います。
親子でできる体操や工作など、さまざまなイベントも企画されています。
思い立った時に気軽に利用でき、保護者同士で交流を持ちたいと思っている方に特におすすめです。

これはあくまでも一例で、育児の心強いサポートは豊富にあります。
筆者もまだまだ育児に苦戦していますが、この記事が少しでもお役に立てますと幸いです。

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山本 千奈美株式会社ドクタートラスト 精神保健福祉士

投稿者プロフィール

精神保健福祉士の資格取得後は医療・行政・教育機関で対人援助業務を行っていました。
障害やさまざまな不調を抱える方々、そうでない方々も誰もがいきいきと「その人らしく」生活できる社会づくりを目指しています。読んだあとに少しでも「ほっ」と安心できるような情報を発信します。
【保有資格】精神保健福祉士、キャリアコンサルタント
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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