歯ぎしりや食いしばりは、別名ブラキシズム(口腔内悪習慣)と呼ばれ、多くのデメリットがあります。
基本的に無意識に行われており、睡眠時にギリギリと音を立てるケースもありますが、大半は音の出ない「食いしばり」をしていると言われています。
通常、歯と歯を噛み合わせるのは食事の時のみです。
ところが、日常的に歯を噛み合わせていると、歯や歯茎、全身にさまざまな影響が及びます。
歯ぎしりの種類は3タイプ
・ グラインディング
上下の歯を強くかんだ状態で、左右にこすり合わせるタイプ
・ クレンチング
上下の歯を強い力で噛みしめる、食いしばりタイプ
・ タッピング
上下の歯をぶつけ合って、かちかちと音を出すタイプ
単独で起きるケースと、3つのタイプが複合的に起こるとケースがあります。
主な原因はストレス
なぜ、無意識に歯ぎしりをしてしまうのか……考えられる原因をご紹介します。
① ストレス
歯ぎしりの主な原因は、ストレスによるもの。
歯ぎしりは「中枢性のストレスに対する生体の防御反応としての生理的な現象」であることがわかっています。
人はストレスを感じると呼吸が浅くなりますが、緊張状態にあったり何かを我慢していると、無意識に歯を食いしばります。
また、日中に溜め込んだストレスにより睡眠が浅くなり、頬の筋肉が緩むことで歯ぎしりが起こるとも言われています。
② 歯並び
歯並びが悪いと、噛み合わせが一定せずに歯ぎしりしやすくなります。
噛み合わせは年代によって変化するため、そうした噛み合わせの変化に対応・調整しているとも考えられます。
③ 喫煙
喫煙者は、歯ぎしりする割合が高いと言われています。
ニコチンは体内に取り入れられてから、30分程度で半分が体内から抜けていきますが、この状態がニコチン離脱、つまり禁断症状となり、心が落ち着かない不安定な状態となります。
起きている場合は、次の一本を吸うことで安心が得られますが、就寝中はそれができないために不安を抱え、歯ぎしりが起こると考えられます。
歯ぎしりによる悪影響は?
・ 歯表面のエナメル質がすり減り、虫歯の原因となる
・ 歯および歯茎に負担がかかる
・ 顎や頭の筋肉が酷使され、肩が凝る
・ 顎や口元の疲労感、頭痛
・ 強い圧迫により歯と歯周組織の間に隙間ができて歯周病を発症しやすくなる
歯ぎしりをしないための対策
・ 「歯ぎしりをしない!」と紙に書き見える場所に貼っておく
歯科医師によると、これが最も効果のある方法だとか。
逆に、これくらい常に注意をしていなければ、無意識に歯ぎしりをしてしまうと言います。
・ マウスピース
歯科治療の一つで、就寝時にマウスピースを装着することで歯への負担を軽減させる方法です。
保険適用の場合、費用は5,000円程度です。
・ 食事をよく噛む
歯に噛む刺激が伝わると、脳細胞が活性化されます。
一定のリズムを保ちながら噛むことで、脳の神経伝達物質であるセロトニンが分泌されます。
セロトニンの分泌が促進されることで興奮系と抑制系の分泌量のバランスが取れ、緊張感や集中力を高めることができ、そのことが疲れを取る深い睡眠につながります。
・ 精神的ストレスを溜めない
一番難しいことではありますが、睡眠が浅くなるほどのストレスを溜め込まないよう、発散方法を工夫してみましょう。