カサンドラ症候群とは
カサンドラ症候群とは、パートナーが発達障害(自閉スペクトラム症“ASD”)のため、上手くコミュニケーションを取ることが難しく、苦しんでいる状態を表します。
(※今回の記事では表現をわかりやすくするため「妻が夫の言動に悩んでいる」と定義します)
「カサンドラ」とは聞きなれない言葉ですが、これは古代ギリシャ神話に登場するトロイの王女を示します。
カサンドラは予言能力を持っていましたが、神「アポロン」から呪いをかけられた結果、周囲から予言を信じてもらえなくなってしまいました。
カサンドラ症候群に苦しむ妻は、夫の不満を周囲に打ち明けても、「良い旦那さんじゃないの。悩む必要なんてないよ」と返されてしまい、ますますストレスがたまってしまいます。
状況が似ていることから「カサンドラ症候群」と名付けられました。
正式な病名ではありませんが、夫の発達障害に悩む妻は少なくありません。
妻を悩ませる夫の言動
夫の言動は単なる性格の問題ではないかもしれません。
以下のようなことは思い当たりませんか?
・ 会話の行間を読むことが苦手
・ 人の言葉を勘違いしやすい
・ 曖昧な表現が苦手
・ 場の雰囲気にそぐわない行動をとる
・ 気に入ったものだけを食べ続ける
・ 自分のルールがある
・ 過度なこだわりがある
上記は数多くある例の一部です。
もしかすると、こういった言動は発達障害が関係しているのかもしれません。
カサンドラ症候群の症状となりやすい人
症状は人によってさまざまですが、以下のようなものがみられます。
・ 不眠
・ 抑うつ
・ 不安
・ そわそわする
・ 食欲低下
・ いつも疲れている
・ 動悸
・ めまい
・ 頭痛
そして、カサンドラ症候群は下記のような性格の人がカサンドラ症候群になりやすいと言われています。
・ 真面目
・ 几帳面
・ 完璧主義
・ 忍耐強い
・ 面倒見が良い
夫の言動を「私が我慢すればいい」「いつかきっと分かってくれる」と自分一人で受け止め、頑張ろうとする傾向があります。
しかし、時間が経つにつれて妻の我慢も限界を迎えてしまい、その結果こころとからだに不調をきたし、カサンドラ症候群になってしまうのです。
対処法
「もしかしたら自分はカサンドラ症候群かもしれない」と思った時の対処法をいくつかご紹介します。
◆病院を受診する(精神科、心療内科)
抑うつ、不眠などがある場合は、一度診察を受けることをおすすめします。
根本的な解決には至りませんが、体調を整えることも状況改善のための重要なポイントです。
◆発達障害者支援センターに相談する
発達障害者支援センターは、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、発達障害者とその家族からのさまざまな相談に応じてくれます。
詳しくは、お住まいの地域の発達障害者センターに問い合わせてみてください。
◆発達障害について理解する
発達障害について書かれた本などを読み、特性や関わり方について学んでみましょう。
夫のことを理解するためには、発達障害についての知識を正しく得ることがとても重要です。
◆自助グループに参加する
同じ問題を抱える人たちが集まり、お互いを理解したり支援をし合うグループのことを自助グループと呼びます。
一人で悩まずに、問題を乗り越えるためにこういったものを利用するのも有効です。
◆夫と距離をとる
環境によっては難しいかもしれませんが、夫と距離を取ることも対処法に含まれます。
しばらく別々に住んだりして物理的な距離を取ることで関わりの場を減らします。
※注意点※
夫を無理に精神科に連れていくのは控えましょう。
夫のプライドが傷つき、さらに夫婦関係が悪化してしまう可能性があります。
夫が自分の特性や症状を理解した上で病院の受診を促すと良いでしょう。
いろいろと書いてきましたが、お伝えしたい大切なことは「パートナーの言動で悩んでいる場合は一人で抱え込まない」ということです。
周囲の人が理解してくれない場合は、遠慮せずに専門家の力をぜひ頼ってみてくださいね。
既に体調不良を感じているようであれば、心療内科や精神科などの病院を、まずは受診することをおすすめします。