「最近、寝ても疲れが取れないんだよなぁ」
「週末たっぷり寝たのに、疲れが残っているんです」
このような症状に思い当たる方は多いのではないでしょうか。
日本人の疲労調査(厚生労働省 1998年疫学調査より)によると、日本人の60%が疲労を感じており、そのうち37%もの人が、半年以上も疲れたままの状態であることが明らかになっています。
私たちを悩ませるしつこい疲れを解消するには、ただ漠然と週末に寝だめをしたり、ゴロゴロ過ごすだけでは不十分です。
疲労が起こるメカニズムを知り、積極的に疲労にアプローチしてみませんか?
疲労を引き起こす物質「FF」
疲労は体に乳酸が溜まって起こる……と言われていたのは過去のお話です。
最新の研究では、疲労を引き起こす特定のタンパク質が明らかになっています。
日本の慈恵医大の研究グループが、マウスに激しい運動をさせた後にその血液を検査したところ、特定のタンパク質が通常の3~5倍にも増えていることが明らかになりました。
そのタンパク質が、「FF(ファティーグ・ファクター)」と呼ばれるものです。
この研究結果は国際的な学会で発表され、大きな話題となりました。
疲労分子FFは、ストレスやオーバーワークなどによって細胞が傷ついて活性酸素が発生する時に、体の中に発生します。
疲労分子FFに対抗するのは……
では、疲労分子FFが発生した場合は、どうしたらよいのでしょうか?
人間の体には、疲労から受けるダメージを回復させる機能がきちんと備わっています。
疲労分子FFに対抗する物質が、疲労回復物質FR(ファティーグ・リカバー)と呼ばれる物質です。
若いころは、疲労分子FFが体に出てくると、すぐに疲労回復物質FRが放出され、疲労が早く回復します。
しかし、年を重ねるとこの疲労回復物質FRの反応が鈍くなり、「最近疲れが取れなくて……」という状態に陥ってしまうのです。
FRを増やし、FFを下げるには?
疲労回復物質FRを増やすために必要な物質は、「イミダペプチド」と呼ばれ、主に鶏むね肉や豚肉、まぐろ・カツオ・イワシなどに多く含まれます。
中でも、鶏むね肉には多量のイミダペプチドが含まれるため、食材としては最もお薦めです。
忙しく調理の時間が取れなかったり、一人暮らしの方などは、サプリメントを活用するのも良いでしょう。
また、疲労分子FFを下げるには、血行を改善することが効果的です。
スポーツジムへ通う時間がなくても、いつもより多く歩いたり、就寝前に軽いストレッチを取り入れることで、血行は改善されます。
仕事中も、肩や首の疲れを感じたら、少し体を伸ばしてみると良いでしょう。
※熱い湯での入浴は、疲労分子を逆に増やしてしまいます。注意してください。
疲労を感じにくい人は「過労死」に注意!
日頃から疲労感を感じている人は、上記を参考に積極的に疲労へアプローチしていきましょう。
更に危険なのは、体や脳は疲労しているのに、仕事の達成感ややりがいから脳に興奮物質が増え、疲労物質が増えたという情報が脳に届かなくなってしまう状態です。
これは過労死の大きな原因にもなります。
激しい運動も、興奮物質を増やし、疲労感をマスクしてしまいます。激務の帰りにジムへ行ってスッキリするというのは、脳の一時的な錯覚です。
仕事量や仕事時間が増えているときこそ、カフェインや栄養ドリンクで疲れをごまかさず、帰宅したらじっくりと自分の体と向き合ってみてください。