「イクメン」が新語・流行語大賞を受賞、厚生労働省が「イクメンプロジェクト」を発足させた2010年から早くも13年が経ちました。
今では、男性が育児に参加している様子をSNSなどで見聞きすることも増えましたね。
「男性も育児に参加してほしい」という願いは企業にも浸透してきており、厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」によれば、2021年度の男性の育児休業取得率は13.97%でした。
2010年時の同取得率が1.38%であったことを踏まえると、育休を取得する男性の人数は漸次的に伸びていることがうかがえます。
また、育児・介護休業法の改正により、2022年10月には産後パパ育休制度が創設されるなど、男性の育児参加への期待はますます高まっています。
そこで今回は、「正社員で働く男性の育児参加状況」をみていきましょう。
そもそもイクメンとは?
調査結果の内容に入る前に、「イクメン」とはどのような人を指すのでしょうか。
厚生労働省のイクメンプロジェクトでは下記のように定義しています。
子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のこと。または、将来そんな人生を送ろうと考えている男性のこと
厚生労働省「イクメンプロジェクトとは」
この定義の背景には、パートナーから促されて渋々応じながら参加するというネガティブな印象はなく、自ら子育てに参加したいという積極性・主体性があると感じられます。
男性の育児時間と育児内容
さて、いよいよ本題となる調査結果の内容になります。
今回は厚生労働省が出した「令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業 労働調査 結果概要」にある、男性正社員(N=1,000)の育児参加状況について見ていきます。
(令和3、4年度の調査では、男性正社員の育児参加状況についての調査は行われていませんでした)
男性正社員の育児参加について、4割以上の人が「1時間以上」は育児に参加できていると回答していました。
一方で、「30分未満」と回答した人も2割以上いたことから、男性正社員にとって仕事がある日の育児に充てられる時間には差があることがうかがえます。
また同調査の「仕事がある5日間における育児内容別頻度」のうち「おむつの交換やトイレの助け」、「遊ぶ」、「泣いたときや機嫌の悪い時にあやす」の項目では、「5日」と回答した人が最も多く、おおむね4割以上でした。子どもへ向けられた直接的な育児活動は、積極的に行われていることがうかがえます。
一方、「保育所等への送り」、「保育所等への迎え」、「育児に関する予定の管理」、「育児に関する情報収集」の項目では「0日」と回答した人が最も高く、おおむね5割以上となっていました。
子どもに向けた直接的な活動にくらべると、子どもを取り巻く環境の調整や、育児に向けた事前準備については十分に取り組めている男性が少ないようです。
イクメンとして何ができるのか?
今回ご紹介した調査結果から、確保できる育児時間が少ないなかでも、積極的に子どもに働きかけている男性が多いことがわかりました。
一方で、保育所への送り迎えを担うことは難しいようでした。
この点については仕事の業種によって大きくことなる可能性がありますが、時短勤務制度などを取り入れている企業でない限り、個人の力で調整しにくい部分なのかもしれません。
では、子育てに関する予定の管理や情報収集についてはどうでしょうか?
今はスマホ一つあれば、予定を立てたり、調べたいことを検索することが可能な時代になりました。
調べた内容を、すぐに他者へ共有することもできます。
子どもへの直接的な関わりだけではなく、その準備段階として積極的に子育てに関する予定の管理や情報収集を行っていくと良いのかもしれませんね。
また、集めた情報はぜひパートナーと共有してみてください。
パートナーの育児に対する心配事を分かち合ったり、悩み事に寄り添える場面が増えるかもしれませんよ。
最後になりますが、子育てに関する情報として役立つ資料をご紹介します。
厚生労働省イクメンプロジェクト「父親の仕事と育児両立読本~ワーク・ライフ・バランス ガイド~(令和4年度版)」
これからも、より多くの「イクメン」が育児のなかで活躍できますように!(自戒も込めて)
<参考文献>
・ 厚生労働省「育児・介護休業法について」
・ 厚生労働省「令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業 労働調査 結果概要」