政府は2023年4月29日午前0時以降、すべての入国者について「有効なワクチン証明書、出国前検査証明書の提示は不要」と発表しました。
新型コロナウイルスの5類緩和に伴い、改めて外国人入国や雇用、多様化に向けての活動に力を入れていく様子が見られます。
また、厚生労働省は6月1日からの1カ月間を「外国人労働者問題啓発月間」とし、外国人労働者問題に関する積極的な周知・啓発活動を行っています。
外国人労働者との大きな壁として言語が存在します。
言葉が理解できない分、コミュニケーションや理解のすれ違いが通常より起きやすい環境です。
今回の外国人労働者問題啓発月間を機に、より過ごしやすい職場環境への理解を深めるきっかけになれば幸いです。
外国人労働者問題啓発月間とは
日本の外国人労働者の就労状況を見ると、派遣・請負の就労形態での雇用が多く、雇用が不安定な場合や、労働・社会保険関係法令が遵守されていない事例などが見られます。
また、新型コロナウイルス感染症の水際対策の緩和により、今後、外国人労働者が一層増加することが見込まれます。
この月間を通して、事業主団体などの協力のもと、事業主や国民を対象に、労働条件などルールに則った外国人の雇用や外国人労働者の雇用維持・再就職援助などについて積極的な周知・啓発活動を行っています。
主な内容
・ポスター・パンフレットの作成・配布
・事業主団体などを通じた周知・啓発、協力要請
・各種会合における事業主などに対する周知・啓発
・個々の事業主などに対する周知・啓発、指導
・技能実習生の受入れ事業主などへの周知・啓発、指導
・留学生就職支援窓口の周知
・労働条件などの相談窓口の周知
相談窓口
外国人労働者の方からの相談に的確に対応するため、厚生労働省では「外国人労働者向け相談ダイヤル」「労働条件相談ほっとライン」などで、13言語(英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、ミャンマー語、ネパール語、韓国語、タイ語、インドネシア語、カンボジア語(クメール語)、モンゴル語)により、労働条件などの相談を受け付けています。
違法な時間外労働・過重労働による健康障害・賃金不払残業などの労働基準関係法令に関する問題について、専門知識を持つ相談員が、法令・裁判例をふまえた相談対応や各関係機関の紹介などを行っています。
電話相談は、労働者・使用者に関わらず誰でも無料で利用できます。
匿名でも利用できるため、安心して相談ができるのが特徴です。(祝日、12月29日~1月3日を除く)
参考:厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」
職場におけるハラスメントや解雇などのトラブルに関する多言語での相談では「総合労働相談コーナー」で行っています。
また、雇用側にも外国人特別相談・支援室が存在し、外国人労働者の雇用についての相談も受けられます。
1人で悩まず、第三者に相談することで問題解決の1歩へとつながることでしょう。
多様性のある働きやすい職場に
言語や書面は外国人労働者との目に見える有効なコミュニケーションの1つです。
しかし、言語を理解するためにはお互いの言語を1から理解する必要があるなど、勉学に時間を有します。
そんなときに、利用できる窓口を知っておくことで問題解決のために迅速な行動をとれます。
また、今の時代は翻訳などの性能も上がっているので、システムやアプリの利用なども検討してみてください。
私たちがすぐ行動できることとして、言語などの難しい部分でのコミュニケーションだけではなく、お互いが目に見えない部分でのコミュニケーション(表情や動き、行動等)を意識することで現在の職場環境の雰囲気も改善していくことでしょう。
言語が通じない不安の中での、暖かい雰囲気の職場は外国人労働者の安心感へとつながります。
多様性の現代で、さまざまな国の人々が共存する会社が増えていくのもそう遠くない未来なのかもしれません。
<参考>
・厚生労働省:「外国人労働者問題啓発月間」
・厚生労働省:「労働条件相談ほっとライン」
・厚生労働省:「水際対策」