人材の確保と定着、従業員のエンゲージメント向上が重要~経団連「人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」~

2025年1月21日、一般社団法人日本経済団体連合会は「2024年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」を公表しました。
これは、春季労使交渉・協議の結果や、人事・労務に関するトップ・マネジメントの意識・意見などを調査するため、1969年から毎年実施している調査です。
今回の調査は、2024年9月から11月にかけて行われ、328社から有効回答を得ました。
企業の人事・労務に関する最新の動向を把握するために実施され、その結果、賃金改定や働き方の変化、エンゲージメント向上の取り組みについての実態が明らかになりました。
以下では、「2024年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」(以下、本調査結果)をわかりやすく解説します。

賃金改定

本調査結果によると、2024年の賃金改定における妥結額の単純平均は、昇給分が7,130円(2.14%)、ベースアップ分が10,546円(3.17%)、合計で17,676円(5.31%)でした。
2024年の賃金改定では、平均昇給率が5.31%と過去30年で最高水準となりました。
特に、従業員の生活を支えるための「ベースアップ」が重視されており、昨年に引き続き賃金の底上げが続いています。
2024年の賃金改定にあたり特に考慮した要素は「物価の動向」が56.7%で最も高く、次いで「人材の確保・定着率の向上」50.8%、「世間相場(社会、業界、グループ関連企業等)」35.1%でした。
企業の多くは物価上昇への対応だけでなく、少子高齢化が進む中での優秀な人材の確保と定着をより重要視しています。

2024年の賃金改定にあたり、特に考慮した要素(2つ)
出所:一般社団法人日本経済団体連合会「2024年人事・労務に関する トップ・マネジメント調査結果」

特に若年層への賃金配分を手厚くする企業が増えており、「一律定額のベースアップ」に加えて、「30歳程度までの若手層への重点配分」を行う企業も多いのが特徴です。

ベースアップの具体的な配分方法(あてはまるものすべて)出所:一般社団法人日本経済団体連合会「2024年人事・労務に関する トップ・マネジメント調査結果」

大卒初任給

月例賃金について、労働組合などの要求と関係なく会社の施策として実施したのは、「定期昇給の実施、賃金体系の維持」が最も多い72.9%、続いて「初任給の引上げ」64.3%、「基本給のベースアップ」56.0%でした。
大卒初任給の水準は、「20万円~25万円未満、25万円~30万円未満」が91.9%を占めています。
また、大卒初任給の改定頻度については、最も多いのが「必要に応じて」の76.0%、続いて「毎年行なっている」18.7%、「2~3年ごと」1.9%、その他が3.4%です。
半数以上の企業が、必要に応じて大卒初任給の水準を改定していることがわかります。
採用市場においては、大卒初任給の引き上げが加速し、過去3年間で93.5%の企業が初任給を引き上げています。
その理由として最も多いのが、「人材確保」85.5%、続いて「他社引き上げに伴う影響」40.4%、「既存社員のベースアップ」35.4%です。

大卒初任給引上げの有無(過去3年間)出所:一般社団法人日本経済団体連合会「2024年人事・労務に関する トップ・マネジメント調査結果」

従業員のエンゲージメント

従業員の人材育成やエンゲージメント向上に課題が浮上しています。
社員のエンゲージメントについて、本調査結果によると、最も多いのが「高い層と低い層がある (まだら)」で58.8%、続いて「全体的に高い状況にある」21.6%、「わからない (調査していない)」10.7%、「全体的に低い状況にある」8.8%となりました。
半数以上の企業で、エンゲージメントが高い層と低い層が混合しているまだらの状態だということがわかります。
また、エンゲージメントが低い層で、最も多いのが「中堅層」45.3%、続いて「ミドル非管理職」31.8%、「若手層」28.0%です。
多くの企業が「中堅層のモチベーション低下」を懸念し、スキルアップ施策の拡充やワーク・ライフ・バランスの改善に取り組んでいます。

社員のエンゲージメントについて出所:一般社団法人日本経済団体連合会「2024年人事・労務に関する トップ・マネジメント調査結果」

エンゲージメント向上のために実施している具体的な施策として、最も最も多いのは「育児、介護、病気治療と仕事の両立支援」87.5%、続いて「企業理念・事業目的の浸透」84.9%、「 eラーニングの導入・充実」84.2%です。
高齢社員に対する教育・研修制度を設けていると答えた企業は51.2%、今後の導入を検討している企業は13.1%です。
具体的な研修内容としては、最も多いのが「キャリアプラン」で77.0%、続いて「コンプライアンスやハラスメント対策」36.8%、「デジタルスキル向上」29.7%となりました。
テレワークの普及や副業解禁など、新たな働き方を導入する動きも進んでおり、企業は多様な人材が活躍できる環境づくりを模索しています。
今後も、企業では従業員の意見を取り入れた賃金改定や働き方の変化、エンゲージメント向上の取り組みが求められます。

<参考>
一般社団法人日本経済団体連合会「2024年人事・労務に関する トップ・マネジメント調査結果」

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須賀 実咲株式会社ドクタートラスト 精神保健福祉士

投稿者プロフィール

大学で臨床心理、福祉を専攻し、福祉介護業界に勤めていました。自立支援や就労支援も経験し、生活での悩みや環境について強い興味関心があります。
日常の健康や不安に向き合える機会や、きっかけになれる情報を発信していきます。
【保有資格】精神保健福祉士
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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