
一般社団法人日本能率協会は、新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に、仕事や働くことに関する意識調査を実施しました。
調査では、職場に対する期待や理想の上司像、キャリアに関する考え方など、新入社員の価値観の変化が明らかになっています。
本記事では、この調査結果を基に、新入社員が仕事や職場に対してどのような意識や期待を持っているのか、その背景や要因について解説します。
新入社員が求めていること
新入社員が自身の成長や働きやすさのために求めるものは、時代の変化に伴い多様化しています。
今回の調査では「自分の成長に向けて、上司・人事への期待」において、以下が上位に挙げられました。
1位:成長や力量に対する定期的なフィードバック
2位:ワークライフバランスをとれる柔軟な働き方ができる環境づくり
3位:キャリアや価値観・強み/弱みについての定期的な話し合い
これらの期待には性別による大きな差は見られませんが、高卒以外の学歴を持つ新入社員ほど「成長や力量に対する定期的なフィードバック」を重視する傾向が明らかになりました。
さらに、「理想の上司、先輩」については以下が上位に選ばれます。
1位:仕事について丁寧な指導をする上司・先輩
2位:仕事の結果に対するねぎらい・誉め言葉を忘れない上司・先輩
3位:部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩
これらの結果から、新入社員が重視しているのは「業務を通じた自身の成長」と「それに対する正当な評価」です。
上司や人事がこれらのニーズを的確に捉えることは、働きやすい環境づくりや人材育成において重要な鍵となるでしょう。
意識の背景
本調査結果にあった、「ワークライフバランスをとれる柔軟な働き方ができる環境づくり」を求める背景には、新型コロナウイルスのパンデミック後にリモートワークが広がり、柔軟性のある職場環境が一般化したことが影響していると考えられます。
これにより、新入社員は通勤時間を省き、プライベートやスキルアップのための時間を確保できる環境を当然のものとして期待しているようです。
また、本調査で挙げられた「成長や力量に対する定期的なフィードバック」や「キャリアに関する話し合い」、「成果をねぎらい、ほめる上司・先輩」への期待は、自身のキャリアアップを意識する新入社員が増えていることを示しています。
新入社員は、長期的なキャリアビジョンの明確化や自己実現を支援する仕組みを求めており、人事にはキャリアコンサルタント的な役割、上司には個別の成長目標を共に考えるメンター的な役割が期待されています。
新入社員の多くは、安定を求めるだけでなく、成長しながらもワークライフバランスを大切にする働き方を重視しており、これが今の時代の価値観を反映していると考えられます。
まとめ
本調査から働き方やキャリアに対する期待が多様化していることが明らかになりました。
特に、柔軟な働き方や成長を支えるフィードバック、成果を正当に評価してくれる環境への期待が高まっています。
これらの声は、職場の在り方や上司・人事の役割に対する重要な示唆を与えています。
企業が新入社員の声に耳を傾け、彼らの成長を支える仕組みを構築することは、長期的な組織の活性化にもつながるのではないでしょうか。
<参考>
・一般社団法人日本能率協会「『2024年度 新入社員意識調査』新入社員の上司・人事への期待は『定期的なフィードバック』『若いうちは進んで苦労すべき』と思う新入社員は4割で2人に1人以下」
・株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「『新入社員意識調査2024』の分析結果を発表」