新入社員のワークエンゲージメントを握る鍵はコミュニケーションと業務環境にあり!

厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」によると、新入社員のおよそ3割が入社3年以内に離職しており、採用担当者にとって「新入社員の定着」は課題の一つです。
今回は、株式会社マイナビによる調査「新入社員のエンゲージメントと職場環境に関する調査(2021年)」の結果をもとに、新入社員は何にやりがいを感じるのかをわかりやすく解説します。

新入社員のやりがいはコミュニケーションと比例する

株式会社マイナビが2018年~2021年度入社のビジネスパーソンを対象にした「新入社員のエンゲージメントと職場環境に関する調査(2021年)」によると、「仕事にやりがいを感じる」と回答したうちの7割以上が、上司、先輩社員とのコミュニケーションについて「頻繁にあった・まあまああった」と回答していることがわかりました。


反対に、コミュニケーションが「あまりなかった・なかった」と回答した人は、「仕事へのやりがいを感じない」傾向が高いとわかりました。
また、カケハシスカイソリューションズが実施した調査によると、「新入社員がやりがいを感じている理由」で最も多かったのは「先輩や上司が頻繁に声がけしてくれる」で55.7%、このほかに「仕事ができるようなってきた(51.1%)」「仕事を任せられるようになってきた(42.0%)」などが挙げられており、上司や先輩社員とのコミュニケーションが仕事のやりがいにつながると判明しています。

入社直後はいきなり仕事を任されるのではなく、上司や先輩の業務を一部手伝うことが多く、外部の人と1人でコミュニケーションをとる機会も少ないため、上司や先輩からの感謝の言葉をかけてもらえたり、褒められたり、認められりすることに対してやりがいを感じる傾向が強いと考えられます。
また、「入社初期に自分の考えや想い、不安などを先輩や上司に伝えられる場があったか」という質問結果に対しても同じような傾向がみられました。
上司や先輩側からのコミュニケーションの頻度だけではなく、新入社員から発信がしやすいかどうかという点も意識する必要があります。

ツールや備品などの業務環境の環境への満足度がやりがいに影響する

マイナビの同調査によると、コミュニケーションのほかにツールや備品などの業務環境も仕事へのやりがいや会社の好感度に影響していることがわかりました。
「業務を行ううえで、職場(寮・社宅がある場合は住居も含む)のツールや備品などの業務環境が整っているか」という質問に対し、「整っている・まあまあ整っている」と回答した人のほうが、「整っていない」と回答した人にくらべ仕事のやりがいを感じている割合が多いようです。

一方、やりがいを感じないと答えた人の45.7%が「あまり整っていない・整っていない」と回答しており、ツールや備品などの業務環境への満足度と仕事のやりがいが比例していることがわかりました。
入社直後は経済的に余裕がない新入社員も多く、自己負担で備品をそろえる場合、より会社への不満が募りやすくなると考えられます。

コロナ禍で新入社員のやりがいに影響は?

「コミュニケーション」や「ツールや備品、業務環境」が新入社員のやりがいにつながっていることがわかりました。
しかし、これらの要素はどちらもコロナ禍によるテレワークや休業によって、多くの企業が体制を整えられず、課題とされた要素ではないでしょうか。
実際に、新型コロナウイルスが流行した前後の新入社員の仕事のやりがいについての回答をくらべてみると、新型コロナウィルスが流行した2020年はやりがいを感じると回答したひとが前年より 5.6pt減少しています。


2020年は4月から緊急事態宣言が発令され、体制が整っていないままテレワークや休業を行った企業が多かったことから、2020年に入社した新入社員にとっては、コミュニケーションが取りにくく、さらに業務環境も十分に満足できなかったため、やりがいを感じることができなかったと考えられます。
しかし、2021年の結果をみると「やりがいを感じる」と回答したひとは過去最高で80%にのぼりました。
2020年に行ったテレワークなどによるコミュニケーション不足や業務環境における課題を踏まえ、多くの企業が2021年にはある程度まで体制整備がなされたことが考えられます。
特に「テレワーク中のコミュニケーション」については、メディアなどでも大きく話題になり、多くの企業が例年以上に新入社員へのコミュニケーションやフォローに注力したと予想されます。

最後に、新入社員の仕事へのやりがいは「上司・先輩社員とのコミュニケーション」と「職場(寮・社宅がある場合は住居も含む)のツールや備品などの業務環境が整っているか」という2点に影響されていることがわかりました。
採用担当者にとって新入社員の定着を課題にされる方は少なくないと思いますが、以上の2つの要素について意識してみましょう。
いきなり、すべてを完璧に整えるのは難しいかもしれませんが、まずは年の近い先輩社員に相談しやすい環境を整えるなど、簡単に取り組めるところから始めてみるだけでも、新入社員のやりがいに好影響を及ぼすと考えられます。

<参考>
・ 株式会社マイナビ「新入社員のエンゲージメントと職場環境に関する調査 (2021年)」
・ 株式会社カケハシ スカイソリューションズ「[新入社員対象 意識調査]約8割の新入社員が仕事にやりがいを感じている。仕事にやりがいを感じるポイントは『先輩・上司からの声掛け!』」
・ 厚生労働省「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」

 

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信定祐希株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学卒業後、飲食業界に入社し、従業員満足度と顧客満足度のつながりが強さを実感してきました。お客さまを幸せにするためには、従業員自身の幸福度が高くないと実現ができません。しかしそれはどの業種においても言えることだと思っています。
ワークライフバランスを整え、活き活きとやりがいのある仕事ができる社会を目指して発信していきたいと思います。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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