学校休業等対応助成金が使えない?会社に申請を拒否されたときの個人申請方法

学校休業等対応助成金が使えない?会社に申請を拒否されたときの個人申請方法

オミクロン株による新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、幼稚園や保育施設、小学校などの休園・休校が相次いでいます。
今回はそういった保護者のための制度である「学校休業等対応助成金」の申請を会社に拒否されたときに個人で申請する方法をわかりやすく解説します。

休園・休校が過去最高に

厚生労働省の発表によると、2022年の2月3日に過去最高の777箇所が休園となりました。(2月10日時点)
子どもを持つ保護者は休園に伴って、急遽仕事を休まざるをえなくなっています。
なかには複数の子どもの園や学校が連続してお休みに……という方もいるかもしれません。
こうした新型コロナウィルスの感染拡大に伴う休園・休校により保護者が仕事を休まざるを得ない場合に利用できる助成金制度「学校休業等対応助成金」が2020年からはじまりました。

「学校休業等対応助成金」の申請を会社が拒否する?なんで?

「学校休業等対応助成金」は子どもが休園・休校となった保護者のための制度ですが、SNS上では「助成金の申請を会社に断られた」「申請するハードルが高い」など不満の声が募っています。
実際に2020年度分は確保された予算の4割弱しか小学校休業等対応助成金は使用されておらず、制度を利用できている人は多くないようです。
では、なぜ会社に相談したにも関わらず断られてしまうのでしょうか。
考えられる原因は大きく3つあります。

1. 事業主に認知されていない
2. ほかの従業員(有休などで工面している従業員がすでにいる場合など)との平等性を考慮して
3. 会社によっては就業規則の明記を変更する必要があり、社労士や弁護士に作成依頼するコストがかかる

1番大きな要因となるのは1の認知されていないことではないでしょうか。
そもそも制度の内容を会社側もよくわかっておらず、「うちの会社でも使えるものなの?」「申請手続きがめんどくさそう」と思っている企業担当者が多いかもしれません。
また、基本的に助成金の申請は事業主が行うものとなり、制度を利用するには労働者が事業主に助成金利用の働きかけを行わなくてはなりません。
こうした点からも個人が利用するにはハードルが高いという声が挙がっています。

「学校休業等対応助成金」の申請を会社に拒否された場合は個人申請も可能

学校休業等対応助成金の利用を会社に働きかけたが、話を聞いてもらえなかったり、断られてしまった場合には労働者個人が直接申請することが可能です。
利用条件は以下の通りです。

① 労働者が労働局に小学校休業等対応助成金の相談を行い、労働局が事業主に助成金活用・有給の休暇 付与の働きかけを行ったものの、事業主がそれに応じなかったこと
② 新型コロナウイルス感染症への対応としての小学校等の臨時休業等のために仕事を休み(※1、2)、その休んだ日時について、賃金等が支払われていない(※3)こと
※1 保育所等の利用を控える依頼への対応のためや、新型コロナウイルスに感染したおそれのある子 どもの世話をするために休んだ場合を含みます。
※2 休むことを事業主に連絡しておらず、当該休みを事業主が事後的にも正当なものとして認めていな い場合(いわゆる「無断欠勤」)は対象になりません。
※3 年次有給休暇を取得した場合は賃金等が支払われているものと扱います。
③ 休業支援金・給付金の申請に当たって、当該労働者を休業させたとする扱いとすることを事業主が了承すること。また、休業支援金・給付金の申請に当たって、事業主記載欄の記入や当該労働者への証 明書類の提供について、事業主の協力が得られること。
<出所元>厚生労働省「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口のご案内(PDF)」

さらに最近では、手続きの改善も進み上記の条件も一部簡略化されました。

① 労働者が労働局に小学校休業等対応助成金の相談を行い、労働局が事業主に助成金活用・有給の休暇 付与の働きかけを行ったものの、事業主がそれに応じなかったとき
⇒事業主との相談を経ずに、労働者から労働局に相談することも可能です。
③ 休業支援金・給付金の申請にあたって、当該労働者の休業扱いを事業主が了承するとき。また、休業支援金・給付金の申請にあたって、事業主記載欄の記入や当該労働者への証 明書類の提供について、事業主の協力が得られるとき
⇒現在、休業させたことの確認が事業主から得られなければ休業支援金による個人申請を行えない運用となっているのを改め、 労働局はまずは保護者の申請を受け付け、引き続き事業主に休業させたことの確認を行うことにします。
<参考>厚生労働省「大臣冒頭発言に関する参考資料(PDF)」

事業主と労働者ではどうしても後者のほうが弱い立場になりやすく、会社に助成金の相談をしづらい、休業を認めてもらうことや協力を依頼するハードルが高いなどの意見を受け、こうした条件緩和が認められました。
学校休業等対応助成金個人申請の流れは、まず労働者から相談窓口に連絡をします。
すると、労働局から事業主に小学校休業等対応助成金の活用の働きかけが行われます。
事業主がそれでも利用を拒んだ場合は、労働者の方から休業支援金・給付金の支給申請ができるよう、労働局から事業主に必要な協力の働きかけが行われます。
相談窓口の連絡先や詳しい内容はこちらのリーフレットで案内されています。

厚生労働省「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口のご案内(PDF)」 

助成金の利用を検討しているけど、会社にまだ相談をしていないという方も1度相談窓口に連絡してみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 厚生労働省「保育所等(※1)における新型コロナウイルスによる休園等の状況(PDF)」
・ 厚生労働省「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口のご案内(PDF)」
・ 厚生労働省「大臣冒頭発言に関する参考資料(PDF)」

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信定祐希株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学卒業後、飲食業界に入社し、従業員満足度と顧客満足度のつながりが強さを実感してきました。お客さまを幸せにするためには、従業員自身の幸福度が高くないと実現ができません。しかしそれはどの業種においても言えることだと思っています。
ワークライフバランスを整え、活き活きとやりがいのある仕事ができる社会を目指して発信していきたいと思います。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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