令和6年版男女共同参画白書の公表~令和モデルの実現に向けて~
- 2024/8/30
- WOMAN
2024年6月、内閣府は「令和6年版男女共同参画白書」を公表しました。
男女共同参画白書とは、男女共同参画社会基本法に基づき作成している年次報告書です。
男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。(男女共同参画社会基本法第2条)
出所:内閣府「男女共同参画社会とは」
「令和6年版男女共同参画白書」のテーマは「仕事と健康の両立~全ての人が希望に応じて活躍できる社会の実現に向けて~」です。
以下では、「令和6年版男女共同参画白書」の要点をわかりやすく解説します。
男女共同参画社会における「令和モデル」
すべての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会「令和モデル」の実現に向けて、基盤となるのが「健康」であるとされています。
前年度(令和5年版)の「男女共同参画白書」でも「令和モデル」は取り上げられており、「健康」との関連性が強く見受けられます。
令和モデルとは
「男性は仕事」「女性は家庭」という、いわゆるサラリーマンの夫と専業主婦から成る家庭を前提とした制度、固定的な性別役割分担を前提とした長時間労働や転勤を当然とする雇用慣行等を「昭和モデル」だとすると、「令和モデル」とは、職業観・家庭観が大きく変化する中、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会への変革が実現した姿のこと。
出所:内閣府「令和5年版男女共同参画白書」
日本では「男性は仕事」「女性は家庭」という文化が根強く残っています。
先入観や固定概念を早急に変えることは難しく、時間がかかります。世間に「令和モデル」が提唱されてきても、いまだに私たちのイメージとしては存在しているのではないでしょうか。
また、「令和モデル」を全ての人に実現するためには、女性と男性では、健康課題の内容も課題を抱えやすい時期も異なるため、それぞれに適応した健康等の理解・支援等が求められます。
「仕事や家庭」と「健康」
「健康上の問題で仕事、家事等への影響がある者」は年齢が高くなるほど多いのが現状です。
また、年を重ねるとともに、「若い頃よりも動きにくくなった」、「病気やけがをしやすくなった」などと健康への課題は増えるものです。さらに、団塊の世代が後期高齢者に差し掛かりつつある現在、認知症への対応も含め、仕事と介護の両立も重要な課題とされています。働きながら介護をしているワーキングケアラーが増加する中、介護の課題を個人で抱えるのではなく、社会全体で支えていくことが必要となります。
また、男女別でみると女性の割合が大きく、特に女性がキャリアを継続し、キャリアアップをしていくには、仕事と家事、育児の両立支援に加えて、女性特有の症状の理解・支援等も求められます。
女性特有の健康課題も含め、共働き世代も増えてきたことによる「健康問題」が及ぼす仕事や生活の影響は今後も大きくなっていくと考えられるため、対策が重要です。
女性が健康課題を抱えながらも働きやすいように、柔軟な働き方や仕事と家庭の両立を実現できる社会は、男性も含めたすべての人々にとっても働きやすい社会になることが期待できます。
さらに、歳をとるにつれて、患う可能性のある病気やけがなども増えるのと同時に、自らの健康状態の自覚を強く持ち始めるようになります。
また、年齢が上がるにつれて陥りやすいものの一つが生活習慣病です。
生活習慣病は2型糖尿病やがん、心筋梗塞や脳卒中などの循環器病も含まれます。また、多量飲酒や肥満により肝炎や肝硬変が引き起こされたり、糖尿病や高血圧から慢性腎不全へ進行し透析が必要になったりします。
これらは命にかかわる病気に発展しかねないため、早期発見が重要となります。食習慣や運動習慣の見直しとともに体調不良時の迅速な受診や定期受診が大切となるでしょう。
しかし、実際には「健康」が後回しにされているのが現実で、気になる症状への対処法として「休暇・休憩をとる」「市販の薬やサプリメント等を飲む」「病院等に行く」を挙げる割合も高いですが「特に対処していない」とする割合も3~4割を占めています。
まとめ
「仕事が忙しいから」「家事、育児、介護が忙しいから」と自身の健康を後回しにしていませんか。
昭和モデルから令和モデルになったりと家庭の変化を著しく変わります。
「健康」を意識しながら生活するためには、それぞれが生活にあった選択ができる柔軟な環境整備が必要です。
寿命が延び、長く働くことが必要となる中、今後も「仕事」と「健康」の両立は欠かせない課題となるでしょう。
監修:中森チカ(ドクタートラスト 保健師)
<参考>
・ 内閣府「男女共同参画白書」
・ 厚生労働省eヘルスネット「生活習慣病とは?」