【歯と口の健康~ホワイトニング~(1)】ホワイトニングは虫歯や歯周病予防につながる?6月4日~10日は「歯と口の健康週間」
- 2023/6/5
- 健康管理
2023年6月4日(金)~10日(木)は、「歯と口の健康週間」です。マスク着用基準が「個人の判断」となっている今、特に、これまでマスクで隠れていた歯や口の健康に対する意識が非常に高まっています。
歯と口の健康を保つためには、毎日のホームケアが欠かせません。 歯のケアのひとつであるホワイトニングは、見た目の美しさを保つだけではなく、虫歯や歯周病予防につながるケアとしても近年注目されていることはご存知でしょうか。
今回から「歯と口の健康~ホワイトニング~」シリーズで3回にわたって情報をお届けいたします。今回は「歯のホワイトニングと予防歯科」について解説します。
ホワイトニングと歯科治療の受診理由の違い
ホワイトニングは、歯の痛みなどの症状がきっかけで受診する歯科治療とは異なり、「歯を白くしたい」という理由で受診し、ケアを受けることができます。近頃では、気軽な身だしなみとしてホワイトニングを定期的に受けるなど、習慣化する方も増えています。
一方、現在日本で歯科健診が義務付けられているのは、1歳半と3歳の幼児、小学校から高校3年生までの全学年、そして特殊業務に従事する労働者のみとされています。
この年代やこれらの労働環境ではない成人は、歯科健診を受ける義務は法律で定められていません。そのため、2021年時点の「過去11 年間に歯科健診を受診した者の割合」は55.8%であり、歯科受診率が低いことが調査でも明らかとなっています。
痛みなどの症状がなければ歯科受診をしないという人の大半は、「虫歯でもないのに歯医者さんに行きづらい」という理由を挙げています。近年、「予防歯科」という考え方が広く受け入れられるようになってきた一方で、無症状で歯科を受診するハードルの高さを感じている方も少なくないようです。
全身の健康のキーポイントは歯の健康!
政府は国民全員に対し、毎年の歯科健診を義務付ける国民皆歯科健診制度を検討するなど、国内全体での歯科健診に対する見方が変わる可能性や企業内での対応が求められる見通しとなっています。
この背景には、さまざまな研究によって「歯科健診を通じて口内環境を良好に保てば、全身の健康維持につながる」という因果関係が明らかになり、歯科健診の重要性が注目されていることが関係しています。さらに、「歯の本数と噛み合わせ」についての調査によると、歯の本数が多く、噛み合わせが良いほど、医科医療費が少ない傾向があるとの報告もあります。
歯を失う原因は「歯周病」と「むし歯」に大別されますが、これらの病気は口の中の細菌が繁殖することによって引き起こされます。そのため、歯周病や虫歯を放置すれば歯を失うばかりか、周囲の神経が腐敗し、腐敗した細菌が血管を通じて全身へ巡り、さまざまなトラブルを引き起こすといわれています。
歯周病菌が原因で、顔の骨が変形することや、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病といった重度の生活習慣病を引き起こすこと、アルツハイマー病などの認知症のリスクを高めるなど、深刻な健康被害につながるという研究結果も示されています。歯科受診義務のない世代や労働環境の人は、全身の健康を保つためにも、「予防歯科」とされる定期的な歯科健診で歯の健康を保つ必要性があります。
なぜホワイトニングが「予防歯科」につながるの?
前述したとおり、近年ホワイトニングを受けるために歯科医院に定期的に通う方も多くなってきています。多くの歯科医院ではホワイトニングを行う前に、口の中の状態を確認し、状態に合わせて虫歯治療やクリーニングを行っていますが、その理由として、下記が挙げられます。
ホワイトニング前に必要なこと
①虫歯の治療
たとえば、虫歯によって黒くなっている部分は、ホワイトニングでは除去できません。そのため、ホワイトニング前に虫歯を除去し修復する必要があります。また、虫歯を放置してホワイトニングを行った場合、薬剤の刺激で虫歯による痛みが増加する可能性があります。
②クリーニング
ホワイトニングの薬剤は歯の内面に効いていきます。そのため、歯の表面の着色や汚れを落としてホワイトニングを行う方が、薬剤の効果が発現されやすくなります。
③古くなった被せ物や詰め物の確認
虫歯のほかにも、古くなって着色している被せ物や、劣化して着色の原因となっている金属などがある場合、ホワイトニング前に詰め替えが必要であるか、ホワイトニング後の歯の色に合わせて詰め替えるかなど歯科医師に相談するとよいでしょう。
まとめ
上記のように、ホワイトニングを行う前のケアとして、現在の口の中の状態を確認する必要があるため、ホワイトニングと定期歯科健診はセットで行われるということになります。白く美しい歯をキープするためのホワイトニングケアがきっかけとなり、歯の健康だけでなく全身の健康保持増進のための定期歯科健診も習慣づけることが期待できます。
受診のきっかけはそれぞれで構いません! 歯と口の健康週間をよい機会として、定期的な歯科受診を習慣化していきましょう。
<参考資料>
・全国健康保険協会「糖尿病も動脈硬化も肺炎も…歯周病(細菌)の影響は全身に及ぶ」
・日本歯科医師会「ホワイトニング お口の病気と治療」
・8020推進財団「歯を失ってしまう原因と対策」
・サンスターグループ「レセプト情報を用いた口腔状態と医科医療費に関する検討」
・厚生労働省「背景 1 目標項目の評価状況:歯科保健行動に関するウェブ調査の結果(令和3年)」