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- 職場復帰の目安が緩和! 8月11日更新版「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」
※2020年12月15日に更新版が公表されています。以下リンクよりご覧いただけます。
2020年8月11日、日本産業衛生学会と日本渡航医学会が共同発出している「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」が更新されました。
「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」は、職場で新型コロナウイルス感染症対策を担当している方向けのガイドで、5月に公開されました。
今回は更新内容のうち重要な部分について、わかりやすく説明します。
抗原検査が承認されたため「各検査方法の比較」を追加
新型コロナウイルス感染症の検査といえば「PCR検査」の印象があったと思います。
しかし最近では、「抗原検査」「抗体検査」など各検査法が注目されつつあります。
更新後の「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」では各検査方法の目的、対象者、長所、短所などをまとめた「各検査方法の比較」を掲載しています。
なお、「産業保健新聞」を運営するドクタートラストには、「社内で抗体検査を実施したい」とお問合せをいただくことがありますが、抗体検査は過去の感染の有無を評価するものであり、抗体の持続期間やその感染抑制力などに関することについては明らかとなっていないことも多いため、注意が必要です。
退院基準の見直しに伴い、「感染した従業員の職場復帰の目安」が変更
新型コロナウイルス感染症の患者などの取り扱いについては、2020年2月6日に発出された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取り扱いについて」で定められています。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取り扱いについて」は適宜改正が行われており、6月12日に退院基準が見直されました。
これに伴って「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」の「感染した従業員の職場復帰の目安」から、「事業者は職場復帰に際して、1週間程度の在宅勤務・自宅勤務を行わせてから出社させるのが望ましい」が削除され、以下のとおり変更されています。
感染した従業員の職場復帰の目安
職場復帰の目安は、次の1)および2)の両方の条件を満たすこと
1)発症後に少なくても 10日が経過している
2)薬剤*を服用していない状態で、解熱後および症状**消失後に少なくても72時間が経過している
*解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤 **咳・咽頭痛・息切れ・全身倦怠感・下痢など
症状が中等度以上だった場合や入院していた場合は、体力の低下などが懸念されるので、主治医と相談のうえ職場復帰を行うこと。
なお復帰後1週間程度は、毎日の健康観察、マスクの着用、他人との距離を2m程度に保つなどの感染予防対策を徹底し、体調不良を認める際には出社はさせないこと。
出所:「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」第3版
陰性証明書の注意点を明記
PCR検査では、100%正確に陽性を判定できないため、新型コロナウイルスの感染者に治癒後の陰性証明書を求めてはいけません。
体内のウィルス量が少なかったときや、検体の採取がうまくいかなかったときには陽性と判断されず、検査結果を待っている間に感染する可能性もあります。
しかし、クラスター発生や感染予防のため、イベントへの参加や出張、転勤などの際に、陰性証明書の提示を求めているケースが増えてきているのが実情です。
そこで、陰性証明書の取り扱いに関する注意すべき点について、今回まとめられました。
消毒用アルコールの濃度の幅が広まる
更新前の「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」では、新型コロナウイルス感染に関する消毒について、濃度70~80%のアルコールが有効されていましたが、8月11日の更新でアルコールの濃度が「60~95%」に変更されました。
これは濃度60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があることや、濃度70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えないという点を鑑みてのことです。
マスク着用、手洗い、アルコール手指消毒と、多くの人が日常生活で感染対策を実施していると思います。
このうち、アルコールでの手指消毒は特に手肌や爪へのダメージが大きく、繰り返し消毒すること手指の脂分を奪い、手荒れを生じさせてしまいます。
手荒れ防止のために、アルコール消毒後はこまめにしっかり保湿クリームを塗布するようにしましょう。
新型コロナウイルス感染症に関する情報は日々アップデートされています。
最新の情報をもとに、社内マニュアルの作成や感染者発生時の対応の検討をしていきましょう。
<参考>
一般社団法人日本渡航医学会、公益社団法人 日本産業衛生学会「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド第3版」