いまから2年前のこと
今からおよそ2年前の2018年4月1日、障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わったことは皆さんご存知でしょうか。
参考:厚生労働省「障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わりました」
「合理的配慮」という言葉も有名ですね。
障害者が権利や自由を持って働けるよう、周囲が適切な対応を行うということですが、そのためにも障害者の方がどのような特性を持ち、どのような配慮を必要としているのか知る必要があると思います。
今回は、精神疾患のなかでも「統合失調症」がどういうものなのかをご説明します。
その状態像を知り、精神障害への理解を深めていきましょう!
精神障害者が向き合う精神疾患~統合失調症~
統合失調症の有名な症状には、他の人に見えないものが見える、聞こえないものが聞こえるというものがありますね。
妄想や幻覚と呼ばれます。
「人からずっと見られている」
「自宅からお金が盗まれている」
「自分を馬鹿にする声が聞こえる」
など、症状は多岐にわたります。
では、ここで突然ですが問題です!
妄想と思われる話をする方には、どのような対応をすれば良いでしょうか。
次の4択から選んでみてください。
1「本当ですか!それは大変ですね!」(肯定)
2「そんなものは見えない(聞こえない)ですよ」(否定)
3「そんなものが見えたら(聞こえたら)つらいですね」(肯定も否定もしない)
4「……」(無反応)
たとえば、「わたしは人間」というように、皆さんが現実のこととして認識していることを周りから「ちがう」と言われたらいかがでしょうか。
驚いたり反論したりしたくなりませんか?
つまり、選択肢2の「否定」は不正解です。
妄想や幻覚はその人にとっては現実ですので、真っ向から否定してしまうとコミュニケーションが途絶えてしまいます。
では、選択肢1の「肯定」でしょうか。
残念ながら違います。
全面的に信じてしまうと妄想を「応援」してしまうことになり、それが強まるなど病状に影響することがあります。
選択肢4の「無反応」は、人のコミュニケーションとして問題外ですね!
ですので、答えは選択肢3「肯定も否定もしない」です。
・ 「あなたは」見えるんですね。
・ それは「つらい」ですね。
相手の境遇を“理解”し、その気持ちを受け止める姿勢です。
ご自身で症状を自覚している方もいらっしゃいますが、気持ちの受け止めは共通します。
自分を理解してもらえるということは、障害に関わらず安心感に繋がるものですよね。
この他にも、無関係な出来事を関連づけて考える、さまざまな事柄が整理できないなど、統合失調症に基づく症状はあります。
しかし、それは一様ではないので、その方がどのような「現実」に向き合っているのかを考えるのが良いと思います。
この疾患を持つ方の良いところ
統合失調症の方の強みは「純粋」です。
自身の病気理解、受け入れが進むと、1日4回もの服薬を欠かさず、とても素直な心を持って行動する方が多いです。
(人によって服薬回数や内容は異なりますし、近年は処方薬の減量が進んでいます)
調子の悪い時はありますが、糖尿病や高血圧などと同様に症状の波はあるものです。
冷静に障害を理解したり、医療機関と連携したりすることで、純粋さ故の心強い労働力になってくれることでしょう。
医療機関のマメ知識
医療機関には「ソーシャルワーカー」という患者と医療をつなぐ専門職が常駐しており、「患者相談窓口」や「医療福祉相談室」といった部署に控えていることが多いです。
主治医へ直接話すことが難しい場合も、そちらを窓口として医療機関と協力し合うことが可能です。
本日は、統合失調症のお話でした。
ありがとうございました。