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- 夏だ!(安全に)飲め飲め!~医療職が伝える、飲んでも飲まれない飲み会のススメ~
夏を迎え、暑い日が多くなりましたね。
熱中症を防ぐため、政府からマスク着用の考え方や着用不要の場面も提示されました。
そんな緊張感が和らぐ近頃、ささっと家に帰り、布団に入るのはもったいないような気になる人もいるのではないでしょうか?
日々お仕事を頑張っている皆さん、暑い日は冷たいビールやサワーといったお酒をグイっと飲みたくなるかもしれませんが、欲望のままにお酒を飲んでしまうと大変なことになるおそれがあります。
この記事では
・ 飲み会による健康問題
・ 近年の急性アルコール中毒者の状況
・ 幹事と参加者全員で気をつけること
についてお話しいたします。
飲み会による健康問題
足はふらつき、吐き戻し、ろれつは回らず意思疎通も困難……。
飲み会あるいは深夜の飲み屋街でこのような所謂‶つぶれた″人、さらには一緒にいる人も笑って「飲みすぎだよ~」などと、特に心配する様子がない場面を見かけたことはありませんか?
一見、楽しい飲み会で少し飲み過ぎただけ、それすらも楽しい出来事の一つになるような気がするかもしれません。
しかし、この時からだの中では何が起きているのかを考えてみましょう。
アルコールは、胃や小腸などの消化器官で吸収され、ほとんどが肝臓で代謝されますが、代謝されずにそのまま全身の血管を巡って、脳や他の臓器に達するものもあります。
アルコール血中濃度が低い時には、脳の理性や判断力をつかさどる部分がわずかに麻痺し、気分がよくなります。
しかし、アルコールの血中濃度が上昇するにつれ、脳内の身体活動をしたり生命を維持したりするのに必要な部分にまで影響し、死に至ることもあります。
近年の急性アルコール中毒者の状況
ここ最近はまたコロナ新規感染者数が増加していますが、政府は特に行動制限を行う考えはないと発表しており、今年は昨年より飲み会がしやすい状況になりそうですね。
そこで、まずは日本のおよそ11%の人が住む東京に焦点を当てて、急性アルコール中毒による搬送者数とコロナの状況に関したお話をします。
※令和2年4/7~5/25:緊急事態宣言
平成30年から令和2年の東京消防庁管内での急性アルコール中毒による救急搬送者数をみると、平成30年と令和元年は、クリスマスや年末にあたる12月に次いで8月、7月と夏に搬送者数が多いことが分かります。
しかし、令和2年は新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い外食時の飲酒が難しかったためか、搬送者数は減っています。
今年の夏は、冒頭に述べたコロナに関する状況やコロナ慣れにより、令和元年までと同じように飲み会をする人が増加する可能性があります。
またそれと同時に、急性アルコール中毒者の増加も懸念されます。
幹事と参加者みんなで気を付けること
アルコール中毒や、それに関連するトラブルを防ぐためには、飲み会に参加する全員が気をつける点があります。
ここでは、すぐに実行できる対策として3つご説明します。
◆ 空腹で飲まない
アルコールは、約20%は胃で、約80%は小腸で吸収されます。
そして、吸収速度は小腸のほうが速いため、空腹で飲酒するとすぐに小腸にアルコールが到達し、急激に血中のアルコール濃度が上がります。
また、胃壁にも大きな刺激となり、胃炎などを引き起こす可能性がありますので、飲酒前には必ず何か食べ、空腹で飲み始めないように互いに注意しましょう。
◆ 飲酒を強要しない
アルコールの代謝能力は人それぞれです。
すぐ赤くなるけど酔いが長引かない人、なかなか酔わないけど二日酔いになりやすい人などいくつかのタイプがあります。
これは、アルコール代謝にかかわる遺伝子の違いによるもので、本人の意思やトレーニングでどうにかなるものではありません。
「場がしらける」と断りにくい雰囲気を出したり、ゲームに一気飲みを取り入れたりすることはやめましょう。
◆ 酔いつぶれた人を放置しない
酔っている状態は、普段より冷静な判断ができなかったり、動作も思うようにいかなかったりします。
誤って階段から転落したり、踏切内に立ち入ってしまったり、普段なら避けられるような事故も避けられなくなる恐れがあります。
また、つぶれた人を1人で寝かせておくのも危険です。
吐物を詰まらせ窒息したり、脳の呼吸中枢が麻痺することで呼吸自体が止まってしまったりする可能性もあります。
睡眠と昏睡状態の区別が難しいこともありますが、
・ 普段より大きないびきをかいている
・ 呼吸が大きくなったり小さくなったりと波がある
・ 起こしても反応がない
といった状況の際はかなり注意が必要ですので、応援を呼んだり、場合によっては救急車を呼んだりし対応しましょう。
最後に、またコロナの新規感染者数が増え、飲み会開催に対し心配する人や反対する人もいるかもしれません。
しかし、飲み会が普段とは違うコミュニケーションの場となることも事実です。
参加者やその周囲の人が安心でき、安全な飲み会にするために、幹事のみでなく参加者全員が少しずつ意識をして、素敵な飲み会にしましょう!