自宅でくつろいでいるのに、脈が急に速くなったり遅くなったり、一瞬止まったようになったり……。
こんな症状があれば、それは不整脈かもしれません。
不整脈の多くは、突然命に関わるものとはなりません。
しかし、重症化すれば突然死や脳梗塞のリスクを高めるものもあります。
不整脈の種類
1 期外収縮
拍動が本来のタイミングより早く起こり、血液を送り出す働きをする心室に十分な血液がたまる前に心臓が収縮し、血液を送り出してしまうことです。
脈が飛んだように感じますが、実は健康な人でも起きていてもおかしくない現象です。
2 心室細動
脈が速くなる頻脈性不整脈のうち、重症化した心室細動は特に注意が必要です。
規則的な収縮によって血液を送り出していた心室の筋肉が細かく震えるようにけいれんを起こし、血液を送り出す機能が失われた状態になります。
心臓のポンプ機能が働かず全身に血液を送り出せなくなると脳は虚血状態となり意識が消失します。
心室細動が自然におさまることは稀ですので、そのまま続けば死に至ります。
心室細動が起こりやすいのは心筋梗塞や心筋症などもともと心臓に持病がある人が多いですが、なかには突然起こることもあります。
3 心房細動
頻脈性不整脈のうち、60歳以上に多く加齢に伴い増える危険な不整脈の代表です。
強い動悸と胸部違和感を自覚することもあります。
心室細動のように心停止を起こすわけではありませんが、心臓に大きな負担がかかり疲弊し、心臓機能が低下すれば心不全につながります。
また、心房のけいれんによって心房内の血液がよどめば血栓ができやすくなります。
その血栓が脳で詰まると脳梗塞の原因となります。
4 徐脈性不整脈
脈が遅くなる不整脈は、拍動リズムが遅くなったり間隔があくなどした場合にめまいや失神を起こす可能性があります。
その場合、転倒や命に関わる重大な事故を引き起こす危険もあります。
AEDで救命率2倍に
9年間に約800人もの命が、自動体外式除細動器(AED)を一般市民が使用し救われた、との研究結果を京都大学予防医学の教授らがまとめ、米医学誌に掲載されました。
病院以外で心停止し救急搬送された件数のうち、偶然居合わせた市民によって心臓マッサージなどの救命措置ではなく、AED使用によって命を救い社会復帰に至った件数を、発症から応急措置の状況の記録から分析し報告しています。
AEDが使われなかった場合と比べた社会復帰率は1.99倍に上ります。
この研究結果から、倒れている人がいる場合、まずは救急車を呼びAEDを持ってくることが重要であることになります。
AEDを使ったことがない人でも、AEDは心室細動と心室頻脈の場合のみ電気ショックが必要だと判断しますので、使用者が判断を迫られることはありません。
また、不整脈は危険なものもありますが、適切な処置をすれば命に関わる事態を最小限に食い止めることができます。
年に一度は心電図検査を受けることが大事です。
法律では、事業者は「常時使用する労働者」に対して健康診断を実施しなければならないと定められています。
働いている人は、定期健康診断の法定項目に心電図が含まれていますので、上手に活用し早期発見を心がけたいものです。