「忙しそうで話しかけづらい」若手の本音と、管理職とのギャップ

近年、多くの企業で若手社員の離職や不調への対応が課題となっています。
特に新卒・20代社員については、「突然出社できなくなった」「入社から数か月で退職してしまった」といった相談を耳にする機会も少なくありません。
実際に企業担当者さまとお話しする中でも次のような声が聞かれます。

・若手社員が気づいたらぽつぽつと辞めてしまう
・入社後すぐに仕事や人間関係がうまくいかず、長期休暇に入ってしまった
・以前よりもコミュニケーション面で配慮が必要と感じる

もちろん、離職や不調の背景は人それぞれ異なります。
一方で、企業側の体制や職場環境を見直すことで、防げるケースもあります。
今回は、若手社員への対応について、職場環境や安全衛生の観点から考えてみます。

「相談できる相手がいない」という課題

若手社員に関する相談の中では、「気づいたときには退職の意向が固まっていた」という話を聞くことがあります。
最近では退職代行の利用についても話題となっており、会社へ相談する前に退職を決断してしまうケースも見られます。
そのため、まずは「相談できる環境づくり」が重要です。
特に近年は、リモートワークやオンライン中心のコミュニケーションが増えたこと、また、以前と比べて業務外でのコミュニケーション機会も変化しており、社員同士が関係性を築くきっかけが減っていると感じる企業もあります。
そのため、上司としては「困っているなら言ってほしい」と考えていても、若手社員側は、「忙しそうで話しかけづらい」「何を相談してよいかわからない」「迷惑をかけたくない」と感じている場合があります。

また、業務上の質問だけではありません。

・このやり方で合っているのか
・評価されているのか
・この先もこの会社で働けるだろうか

などの不安を抱えたまま働いているケースもあります。
こうした不安に対応するためにも、定期的な1on1の実施、相談先の明確化、産業医や外部相談窓口の周知、衛生委員会での職場課題共有などの継続的な実施が求められます。
「不調になってから対応する」のではなく、早期発見と未然防止を目指す環境づくりが必要です。

また、企業によっては、新卒社員に対して短時間でも産業医面談を必ず実施しています。
「不調になったときだけ会う人」ではなく、普段から産業医の存在を知ってもらうことで、相談へのハードルを下げて、相談のしやすさにつなげていく取り組みです。

管理職と若手社員の認識ギャップ

若手社員への対応に悩む管理職の方も増えています。
「以前はこれくらい普通だった」「まずは経験して覚えるべき」という考え方や感覚は、若手社員とコミュニケーションを取る際のギャップになることがあります。
もちろん、経験を積むことは重要ですが、一方で若手社員は「何を期待されているのかわからない」と感じてしまう場合もあります。

・評価基準が不明確
・指示の背景説明が少ない
・フィードバックが不足している

などの状況では、不安や孤立感につながりやすくなる可能性があります。

最近では、ストレスチェックの集団分析結果を活用し、部署ごとの傾向を確認する企業も増えています。
たとえば、「上司の支援」「同僚の支援」「仕事のコントロール感」といった項目から、職場内コミュニケーションの課題が見えてくるケースもあります。
ストレスチェックを「実施して終わり」にせず、職場改善につなげることが重要です。

ほかには、ラインケア研修や管理職研修などを実施し、若手社員とのコミュニケーション方法や声掛けについて学ぶ機会を設けている企業もあります。
管理職個人の経験や感覚だけに任せるのではなく、企業として一定の対応方針やコミュニケーションの考え方を共有していくことも重要です。

離職防止のために企業ができること

若手社員の定着においては、「特別な施策」よりも、日々の小さな取り組みの積み重ねが重要になる場合があります。
例えば、以下のような取り組みです。

・定期的な1on1の実施
・質問しやすい雰囲気づくり
・業務の目的や期待値を共有する
・衛生委員会で職場課題を共有する
・ストレスチェック結果を職場改善に活用する
・研修機会の導入

また、管理職だけに負担を集中させるのではなく、人事担当者、衛生管理者、産業医などが連携しながら対応していくことも重要と考えられます。
若手社員の離職や不調は、本人の問題として捉えられてしまうこともあります。
しかし実際には、「相談しづらい」「孤立しやすい」「周囲へ頼りづらい」といった職場環境の課題が背景に存在しているケースも少なくありません。
もちろん、すべてを企業側だけで防げるわけではありませんが、一方で、不調が起きてから対応するのではなく、不調になる前に気づける職場づくりを進めていくことは、今後ますます重要になるのではないでしょうか。

また、若手社員の離職や不調は、企業にとって単なる人材流出ではなく、職場環境を見直す必要性を示すサインとして現れている場合もあります。
若手社員が安心して働ける職場環境を整えることは、離職防止にとどまらず、企業全体の生産性や組織力を高めるうえでも重要な取り組みです。
まずは、自社の若手社員がどのような不安や働きづらさを抱えているのか、現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

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西野 有哉株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

学生時代に寝不足から体調を崩した経験を通じて、健康の重要性を痛感しました。心身の健やかさこそが、豊かな生活と良い仕事の基盤になると考えています。
この想いから、働く人々の健康を支えたいとドクタートラストに入社。一人でも多くの方が健康で笑顔あふれる毎日を送れるよう、産業保健の現場から情報を発信してまいります。

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