日本の労働生産性、OECD38か国中28位|生産性向上のカギは「安全衛生管理」にあり
- 2026/3/31
- 生産性向上

日本の労働環境において、「生産性の向上」は長年の課題ですが、その実態は数字として顕著に表れています。
2025年12月22日、公益財団法人日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2025」によれば、2024年の日本の時間当たり労働生産性は60.1ドルでOECD加盟38か国中28位でした。
主要先進国(G7)の中で最下位という状況が続いています。就業者1人当たりの労働生産性も29位と、前年からさらに低下しました。
これらの数値は単なる統計ではなく、現場の「仕事が終わらない」「特定の人に業務が集中する」といった構造的な課題が積み重なった結果です。
本稿では、この低迷を「安全衛生管理」の視点から紐解き、改善のヒントを探ります。
労働生産性の低迷が招く、現場の「負の連鎖」
なぜ、日本の生産性は低いのでしょうか。
要因の一つに現場の「属人化」と「非効率な残業」があります。
多くの職場では、特定のメンバーに業務が集中する状況が見られます。
「その人が休むと業務が止まる」のは、個人のスキル不足ではなく、組織の管理体制の不備です。
労働生産性の低迷の背景には、こうした「誰が何を抱えているか見えない」という実態があるのです。
また、「忙しいから仕方ない」という判断こそが最大の落とし穴です。疲労が蓄積すれば、集中力は確実に低下します。
普段防げるはずのミスが発生し、そのやり直しにさらに時間を奪われるという「負の連鎖」に陥ります。労働時間を増やして成果を補おうとする行為が、結果として時間当たりの生産性をさらに押し下げているのです。
労働安全衛生法を“守る”から“活用する”へ
こうした課題を解決するツールが、実は「労働安全衛生法」に基づいた各種制度です。
定期健康診断やストレスチェック、衛生委員会の開催などは、単なる「法令遵守の事務作業」ではありません。
たとえば、長時間労働者の把握は、単に健康障害を防ぐだけでなく「どの部署に、なぜ業務が集中しているのか」を可視化するマネジメントデータとなります。
ストレスチェックの結果も、職場の負荷を客観的に示す指標です。
制度の本質は、不調者が出てからの「事後対応」ではなく、データの兆候から職場の無理を見つけ出す「予防的マネジメント」にあります。
安全衛生管理をコストではなく、生産性を高めるための「管理指標」として位置づけ直すことが改善の第一歩です。
データから読み解く、具体的な職場改善のステップ
具体的にどう活用すべきか。重要なのは、点在するデータを結びつける視点です。
自社の「健診の有所見率」「残業時間」「ストレスチェック結果」を比較してみましょう。
もし特定の部署で残業が突出しており、かつストレスチェックで「仕事の量的負担」が高いなら、そこには明確な「体制上の無理」があります。この場合、以下の組織的アプローチが必要です。
- 業務の標準化: 担当者しか分からない作業をマニュアル化し、代替できる体制(クロスチェック)を構築する
- 衛生委員会での議論: 現場の負担を数字で共有し、会社全体として解決策を話し合う
- 「余裕」の設計: 不測の事態や教育に充てる「バッファ」をあらかじめ業務計画に組み込む
生産性の数字を支えているのは、現場で働く一人ひとりの状態なのです。
まとめ:持続可能な成果への基盤づくり
「労働生産性の国際比較」という統計は、私たちの日常と密接に関わっています。その土台を支えているのは、日々の職場の安全と健康です。
安全衛生制度を適切に運用し、働く人が安心して力を発揮できる基盤を整えることは、ミスを減らし、結果として組織全体の生産性を向上させる最短ルートとなります。
法制度を「守らなければならない義務」から「職場をより良くするためのデータ源」へと視点を切り替えること。
この記事を読んでくださっている一人ひとりから始まる、企業での小さな一歩の積み重ねこそが、日本の働き方を変え、強固な組織文化を築く鍵となるはずです。
<参考>
公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2025」













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