風しんの発生状況
現在、ノロウイルスやインフルエンザが流行している時期ですね。
ここ最近、インフルエンザやノロウイルスのように伝染する病気で注目されている病気のひとつが風しんです。
かつて風しんは5年に1度、春から初夏にかけて流行を起こすという認識がありましたが、定期予防接種の対象疾患となった後の1994年以降ほとんど見られなくなっていました。
しかし、2012~2013年に男性を中心に全国で流行し、厚生労働科学研究班による緊急宣言が出されたことにより一度終息したのですが、2018年に2,946人、2019年第 49週時点(12月2日~8日)で2,281人と現在もなお発症数が多い状況です。
また、2019年に発症した2,281人のうち、9割以上が成人です。
さらに男性は女性の3.6倍多く、好発年齢としては男性では30~40代が60%、女性では20~30代が64%という状況です。
特定の世代で風しんが多い理由
特定の世代で風しんが多い理由は、風しんの歴史にあります。
風しんは昔、身近な存在で5年に1度流行が起こり、近くの誰かが感染するとうつしてもらいに行くなど、子どものころに罹患して免疫を獲得していく存在でした。
1977年以降は中学女子を対象にワクチンの定期接種が開始され、1994年以降は12~90か月の男女を対象にした定期接種が行われるようになりました。
ただ、開始当初は女子のみ、副作用問題による接種率低下、経過措置の啓蒙不十分で「接種もれ」の成人の増加などの問題もあり、1979年から1987年(昭和54年4月2日から62年10月1日)生まれの人の約半数は、成人になるまで風しんの予防接種を受けていないといわれています。
また、定期接種開始に伴いウイルスにさらされる機会が減少したため、免疫持続期間が低下しているといわれています。
これらの影響より、2011年度の国の調査では、20~40代の男性の15%が風しんの抗体を持っていないこと、20~40代の女性の4%が風しんへの抗体を持っておらず、11%は感染予防には不十分である低い抗体価であり、この世代で風しん感染者が多い状況になっています。
そして、風しんが流行している背景を受け、2020年までに風しん厚生労働省は2019~2021年度にかけて、風しんワクチンが定期接種としてなく、免疫保有率の低い40~57歳の男性へ風しん抗体獲得の取り組みを行っています。
これをお読みの方のなかにも、風しん抗体検査や予防接種のためのクーポンがお手元に届いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
風しんワクチンの必要性
風しんの感染力は非常に強く、1人の患者から6~7人にうつすといわれています。
しかし、風しんは感染しても明らかな症状がないまま免疫ができてしまう人が15~30%程度もいるといわれており、症状のないまま多くの人へ感染させてしまうという怖い特性があります。
他者への感染で怖いのが、免疫のない妊娠20週未満の女性に感染をさせてしまうことです。
妊娠初期に風しんに感染をすると、出生児の目や耳、心臓などに障がいが生じる可能性があります。
風しんは、ワクチンにて予防をすることができる病気です。
上記のような状況を防ぐためにも風しん抗体検査・ワクチンのクーポンが手元に届いたら受けるようにしましょう。
クーポンが手元に届いたら
風しんクーポンの対象は1962年4月2日~1979年4月1日生まれ(57~40歳)の男性です。
2019年より配布が開始されましたが、2019年に配布対象となっているのは、そのなかでも、1972年4月2日~1979年4月1日生まれ(47~40歳)の男性です。
そのため、1962年4月2日~1972年4月1日生まれ(57~47歳)の男性には現在クーポンが配布されておらず、来年度に配布される予定ですが、希望すればクーポンが送られてきますので、妊娠期の女性が周囲にいる男性は接種をお勧めします。
クーポンが手元に届いたら、まずご自身に風しんの抗体があるかどうかの検査をします。
ここで注意してほしいのは、風しんかどうかの診断は、インフルエンザのように診断キットがあるわけではないのということです。
そのため、風しんと診断されても実は風しんではなかったということがあるので、クーポンが届いたみなさんに抗体検査を受けていただくことをお勧めいたします。
現在健診機関でも風しん検査をすることが出来るところが増えていますので、健康診断ついでにぜひ受けてください。
結果は1~2週間程度で出てきますので、抗体がなかった場合はワクチンを接種しましょう。
感染してしまと、自分だけではなく子どもの先天性の障害を引き起こす可能性のある風しんはワクチンで予防できます。
風しんのクーポンが配布されていることの機会に利用して風しんゼロを目指しましょう。