西日本豪雨の傷跡がまだ癒えぬまま、日本列島は観測史最高の猛暑の日々を迎えています。
暑さ自体がもはや災害といわれ、各所で熱中症の防止を呼び掛ける声が聞かれますが、ここ近年増加している集中豪雨による都市型水害についても、日頃から対策を練っておく必要があります。
都市型水害とは
都市では、地表がアスファルトやコンクリートで覆われているため、雨水は地中には吸収されず、すべて側溝や下水管道に流れ込みます。
しかしゲリラ豪雨などで排水処理量を超える水が流入した場合は、地表に溢れて洪水となります。
その他、都市部の河川は整備で直線化されているため、氾濫した場合都市へ水が一気に流れ出してしまい、都市が浸水してしまうケースも考えられます。
豪雨の目安は1時間に50ミリ
水害発生の雨量の目安は1時間に50ミリといわれています。
地階や地下街に雨水が流れ込んだり、マンホールから水が噴出します。
1時間に80ミリ以上の雨になると、地階や地下街で死亡事故が起こるような災害が発生するおそれがあるといわれています。
また、1時間に80ミリ以上の雨量になると、雷を伴う降雨になることが多く、水害のほか停電や電車等の運行中止などが発生し、都市機能がマヒします。
地階や地下街に水が流入してきた場合、水深30センチでも歩けなくなります。
外開きのドアも水深30センチで開かなくなり、部屋に閉じこめられてしまいます。
都市型水害に備えて普段からできること
普段から災害に備えておくことで被害を小さく収めることができます。
以下に企業としてできる対策の一部を挙げてみます。
地階等の備え
地階や地下駐車場、地下街等は浸水経路や形態を把握し、浸水時の安全を確保できるかどうかを点検しておく。
地下室に通じる出入り口等に土のうを置くスペースを確保しておく。
「雨水ます」が詰まると道路冠水や浸水の原因になるので、こまめに清掃をしておく。
避難誘導体制の備え
地階からの避難・誘導体制を確立する。
緊急連絡網、指示系統を確立する。
備蓄・調達
半地下車庫等の浸水被害が増えているので、土のうや止水板を準備しておく。
自家発電施設の燃料の保管状況や補給方法、排水ポンプ等非常用設備を点検しておく。
水害が発生したら
避難勧告・指示は自治体の災害対策本部から出されますが、危険を感じたら、勧告・指示の有無にかかわらず、自主的に避難をはじめましょう。
水害にはいち早い避難がもっとも有効とされています。
会社としては、交通機関がストップする前に迅速に社員へ帰宅指示を出すことも重要です。
また、避難の際はエレベーターが停止する場合も考えられますので、移動・避難の際はできるだけ階段を利用するよう呼びかけましょう。
情報収集をしっかり行い迅速な判断を
最後に、危機管理トレーニングの場で提唱されているプロアクティブの行動原則とをご紹介します。
① 疑わしいときは行動せよ
② 最悪事態を想定して行動せよ
③ 空振りは許されるが見逃しはゆるされない
水害は震災とは異なり、比較的対応する時間に余裕があります。
普段の備えと迅速な判断で、被害を最小にとどめましょう。