産業カウンセラーの用いる心理テスト
- 2018/8/2
- 認知行動療法
こんにちは、産業カウンセラーの田野です。
突然ですが皆さん心理テストを受けた経験はありますか。
経験のある方のほとんどは、気のしれた友人同士や家族でワイワイ楽しく話しながらする心理テストをイメージされたのではないでしょうか。
実は産業カウンセラーも、心理テストをカウンセリングの一環で使用することがあるのです。
今回はその産業カウンセラーも用いることのある心理テストについてお話しします。
産業カウンセラーが心理テストを使う…?
心理テストはカウンセリング活動をより有効的に行うために、クライアントを理解したり、また援助や処置法を判断するための情報を得たりするため、しばしば用いられます。
心理査定(アセスメント)の一環として使われることもあります。
※ 心理査定(アセスメント)には、心理テストを用いる方法のほかにも、① 面接による方法、② 行動観察による方法、③ 記録分析による方法、などがあります。
実際に用いられる心理テスト
(1) VPI(職業興味検査)
アメリカの職業心理学者ホランドによって開発された検査方法です。
160の具体的な職業名を提示し、それぞれの職業に対する興味・関心の有無を解答させることによって、6つの「興味領域尺度」と5つの「心理的傾向」を測定するための心理テストです。
集団的に行うこともできるので、職業ガイダンス、就職セミナーなどでも利用されることもある、メジャーなものです。
(2) ロールシャッハテスト
スイスの精神科医ロールシャッハが創案した検査方法です。
10枚の左右対称の模様(インクの染み)が何に見えるかという連想を被験者に聞いて、その見方からパーソナリティを把握しようとする検査です。
反応の一つひとつについて、染みの「部位」とその「特徴」、および「内容」からパーソナリティを分析することが可能です。
他にも、SDS(うつ性自己評価尺度)、エゴグラム、PFスタディ(絵画-欲求不満検査)など、さまざまなテスト項目があります。
心理テストのメリット
カウンセリングの場面で心理テストを用いるメリットはさまざまあります。
1.それぞれ目的に応じた被験者の行動傾向や特性を客観的・科学的に診断できる
2.比較的短時間に多方面の内容を診断できる
3.投影テスト利用によっては、無意識世界の深層心理が診断できる など
それぞれのカウンセラー個人による感想や印象よりも、より客観性のある結果を得ることができます。
もちろんのこと、心理テストは完全なものではありません。
特に、被験者の気分やタイミングによって左右されやすいこともあり、また、年齢や能力によっては実施できないものもあります。
さらに、心理テストを行ううえでは、実施者と被験者の間には十分な信頼関係が構築されていることも重要です。
産業カウンセラー側については、「十分に訓練を受けていない心理テストは実施してはならない」と倫理綱領で決まりごとまであります。
心理テストを受検する側もされる側も、お互いが素直な気持ちで臨むことにより、信頼性の高い受検結果につながるのだと思います。