先月、西日本を中心に線状降水帯による記録的な大雨が各地で起こり、甚大な被害をもたらしました。
労働者の立場としては、災害により会社が休業となった場合、その間の給与がもらえるのかどうか、気がかりな点のひとつだと思います。
そこで今回は、災害により通勤および就業ができなくなった場合に、就業補償が適用されるのか調べてみました。
休業手当の適用
休業手当が支給されるケースとしては、いずれも労働基準法第26条の【使用者の責に帰すべき事由】に該当する場合です。
ただし、天災事変等の不可抗力の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はないとあります。
では、今回のような豪雨や地震によって、やむを得ず休業となった労働者には一切補償がないということでしょうか。
災害時で休業手当が適用されるケース
実際には、天災事変による休業の場合でも、休業手当が支給されるケースがあります。
上記に天災事変等の不可抗力の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はないと述べましたが、ここでいう不可抗力とは、以下の2つの要件を満たすものでなければならないとあります。
(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること
(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること
具体的には、災害等により事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていなくとも、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性等を総合的に勘案した結果、休業手当を受け取れる可能性があります。
最後に
休業手当については、原則のほか、会社により別途ルールが定められていることがありますので、まずはご自身で就業規則を確認してみてください。
また、事象主におかれましては災害が起こった際にトラブルとならないよう、あらかじめ具体的かつ詳細に、休業に関する規定を定めておくことをおすすめします。