自治体の予算を見てみませんか
突然ですが、皆さんは普段どこから情報を入手していますか。
「ネット」「新聞」「テレビ」「口コミ」などなど、各種手段があると思いますが、このなかに「自治体の予算」を年に1度くらいは加えてみるのをおすすめします。
それというのも予算では向こう1年間の施策、つまり「どこにおかねをばらまくか」がつまびらかにされているからです。
企業の担当者にとって「どういうアクションをとれば助成金を交付してもらえるか」、また、個人にとって「どういう状態であれば助成を受けられるか」といった耳寄りな情報が詰まっています。
今回は、東京都の「予算ウオッチャー」をするなかで、「子育てと仕事の両立」に有益な情報を発見したので、ご紹介させていただきます。
企業の担当者向けの施策、両立しようとしている労働者向けの施策がそれぞれありますので、ご自身に関係しそうな箇所をご覧ください!
企業の担当者向け:働くパパママ育休取得応援事業
ざっくり説明すると「希望する従業員に育休を取得させた企業に助成金を交付する」というもので、中小企業を対象とした「働くママコース」と全企業対象の「働くパパコース」の2つがあります
① 中小企業対象:働くママコース
次の3つの要件を満たした中小企業に対して、125万円を助成します。
要件1:希望する従業員に1年以上の育休を取得させる
要件2:復帰に際しての支援を実施する
要件3:復帰後、3ヶ月以上にわたり継続雇用する
② 全企業対象:働くパパコース
母親が育休または産休から復帰後、父親に連続15日以上の育休を取得させた企業に対して、25万円~300万円を助成します。
助成金額は、連続15日の育休を取得ごとに25万円ずつ加算されていき、最高300万円まで交付されます。
子育てと仕事を両立したい人向け:ベビーシッター利用支援事業
ざっくり説明すると「待機児童のいる保護者がベビーシッターを利用する場合に、その一部を助成する」というものです。
具体的には次の2つのパターンを想定しています
パターン1:待機児童が保育所等に入所するまでの間に就労する場合
パターン2:1年間の育休取得後に、復職して保育所等の申請を行う場合
施策の狙いは?
「働くパパママ育休取得応援事業」と「ベビーシッター利用支援事業」は対象が「企業」「当事者」と異なっています。
しかし背景に共通しているのは「待機児童の多さ」です。
東京都では待機児童を減らすためにさまざまな施策を打っていますが、一方で保育所の需要自体も増加しており、東京都福祉保健局の調査によれば平成29年4月現在の待機児童数は8,586人となっています。
また、このうち全体の約52%を占めるのが、1歳児の待機児童です。
これは筆者の推測ですが、「1年間の育休取得後に復帰」という現在の育休制度と符合しているのではないでしょうか。
お役所の資料って難しくない?
お役所の資料というと「分厚くて」「独特の言い回しで」「読み慣れていないから」全然わからない! と思う人も多いでしょう。
しかしこれが案外親切で、「分厚くて独特の小難しい資料」とあわせて、「概要」だったり「図解」だったりというかたちで、理解しやすいように「かみ砕いて説明した資料」も公開されていたりするのです。
ちょうどこの時期はどの自治体も予算が固まっており、ウェブサイトなどで公開していると思います。
地元の予算をちらっと覗いてみてください。
案外おいしい情報があるものですよ。
<参考>
・ 「平成30年度予算」(東京都財務局)
・ 「待機児童解消に向けた取組」(東京都福祉保健局)