「職場の飲み会」はどんなイメージ?コミュニケーション活性化」と「面倒、疲れる」が対立
- 2025/7/22
- コミュニケーション

2025年5月29日、株式会社リクルートの外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が、同年4月に実施した「職場の飲み会に対する期待と参加実態」の調査結果を公表しました。
本調査は、首都圏・関西圏・東海圏在住の20~69歳の男女(就業者)にアンケート調査を行ったものです。
「職場の飲み会」というと、社内コミュニケーションの場ですが従前にくらべてかなり印象や期待度は変化しています。
以下では、本調査結果をわかりやすく解説します。
「職場の飲み会」をどうとらえる?ネガティブなイメージが増加
(1)ポジティブなイメージを持っている60歳代男性と、ネガティブなイメージを持っている30歳代女性
まず「職場の飲み会」のイメージを調査したところ、ポジティブなイメージのみ19.0%、ネガティブなイメージのみ18.7%、両方のイメージ51.5%、どれにもあてはまらない10.9%でした。
2017年に行われた同調査では、ポジティブなイメージのみ16.5%、ネガティブなイメージのみ11.4%だったことから、「職場の飲み会」に対するイメージは、ここ数年で悪化していることがわかります。
性年代別でみると、ポジティブなイメージの割合が最も大きかったのは60歳代男性で、ポジティブなイメージのみ23.8%、ネガティブなイメージのみ9.8%でした。
一方で、ネガティブなイメージの割合が最も大きかったのは30歳代女性で、ポジティブなイメージのみ17.2%、ネガティブなイメージのみ23.6%でした。
(2)会話の機会vs気を使う
また「職場の飲み会」のイメージについて尋ねたところ(複数回答)、ポジティブなイメージ上位は以下の通りでした。
ポジティブなイメージ上位(単位:%) | 2025年 | 2016年 | 差 | |
1 | 普段会話しない人と会話できる | 30.4 | 36.2 | -5.8 |
2 | 上司、同僚、部下の人物理解が進む | 25.2 | 28.2 | -3.0 |
3 | おいしいものが食べられる | 24.6 | 26.5 | -1.9 |
4 | 職場の雰囲気が良くなる | 22.1 | 31.0 | -8.9 |
5 | ストレス発散になる | 18.1 | 23.4 | -5.3 |
これに対してネガティブなイメージ上位は以下の通りでした。
ネガティブなイメージ上位(単位:%) | 2025年 | 2016年 | 差 | |
1 | 気を使い、くつろげない | 36.3 | 36.4 | -0.1 |
2 | かえってストレスがたまる | 29.2 | 28.5 | 0.7 |
3 | プライベートな時間が削られる | 28.5 | 25.7 | 2.8 |
4 | 自腹で払うのは嫌だ | 21.9 | 19.8 | 2.1 |
5 | 翌日の仕事に悪影響が出る | 13.9 | 13.6 | 0.3 |
上記のとおり、ポジティブなイメージとしては「普段会話しない人と会話できる」が変わらず1位であるものの、割合は大きく落ち込んでいます。
また2016年同調査2位であった「職場の雰囲気が良くなる」は4位にまで後退しています。
ポジティブなイメージとネガティブなイメージをくらべてみると、前者については「職場の潤滑剤」として機能することを期待していることがわかります。
一方で後者については「仕事以外で職場の人と交流すること」自体に前向きではない感じが見て取れます。
開催も参加も最も多いのは「忘年会」
(1)職場の飲み会上位は「忘年会」「送別会」「歓迎会」
また、過去1年以内に行われた職場の飲み会では、「忘年会」「送別会」「歓迎会」がトップ3を占めていますが、これらの実施割合は2016年同調査の約75%から約60%へと大幅に減少しています。
特に「忘年会」は2016年60.6%だったのが2025年35.3%にまで減少、これと呼応するように「どれもない」が2016年25.1%から2025年40.1%にまで増えています。
過去1年以内に参加した職場の飲み会(複数回答、単位:%) | 2025年 | 2016年 | 差 | |
1 | 忘年会 | 35.3 | 60.6 | -25.3 |
2 | 送別会 | 22.9 | 36.0 | -13.1 |
3 | 歓迎会 | 22.0 | 35.1 | -13.1 |
4 | 新年会 | 17.4 | 28.3 | -10.9 |
5 | 達成会・打ち上げ | 8.5 | 15.2 | -6.7 |
6 | 暑気払い | 6.8 | 15.2 | -8.4 |
7 | 決起会 | 5.4 | 7.2 | -1.8 |
8 | 定期的な飲み会 | 6.3 | 12.5 | -6.2 |
9 | これといった理由のない飲み会 | 18.7 | 22.1 | -3.4 |
10 | どれもない | 40.1 | 25.1 | 15.0 |
なお、職場の飲み会自体は開催が大きく落ち込んでいるものの、出席率は87.9%と高く、一概に減少しているわけではありません。
(2)参加したい飲み会「ない」がトップ
今後参加したい職場の飲み会の1 位も23.3%で「忘年会」でした。
ただし、そもそも参加したい飲み会が「ない」56.2%が圧倒的に多いことにも注意が必要です。
今後参加したい職場の飲み会(複数回答、単位:%) | 2025年 | 2017年 | 差 | |
1 | 忘年会 | 23.3 | 41.2 | -17.9 |
2 | 送別会 | 16.0 | 23.0 | -7.0 |
3 | 歓迎会 | 15.8 | 23.5 | -7.7 |
4 | 新年会 | 12.9 | 21.3 | -8.4 |
5 | 達成会・打ち上げ | 8.1 | 12.5 | -4.4 |
6 | 暑気払い | 6.1 | 10.7 | -4.6 |
7 | 決起会 | 3.7 | 5.2 | -1.5 |
8 | 定期的な飲み会 | 5.6 | 9.4 | -3.8 |
9 | これといった理由のない飲み会 | 17.2 | 18.6 | -1.4 |
10 | どれもない | 56.2 | 42.6 | 13.6 |
「職場の飲み会」をアップデートする
今回は、「職場の飲み会に対する期待と参加実態」の調査結果を見てきました。
飲み会へのイメージなどは世代などによって大きくことなることがわかります。
「良かれと思って開催した飲み会」を「負担」と感じる人がいるのも事実ですが、一方ではコミュニケーション促進の機会であるというメリットも見逃せません。
必ずしも「職場の飲み会」を開く、開かないの二元的な考え方にとらわれるのではなく、開催態様の検討が必要なのではないかと考えます。
<参考>
・株式会社リクルート「職場の飲み会に対する期待と参加実態を調査(2025年4月実施)」