従業員を守るために~企業の防災対策で必要なこと~
- 2024/9/19
- 災害
日本は世界有数の地震大国で、これまで多くの地震や津波による災害があり、甚大な被害を受けてきました。
2024年8月8日には、宮崎県で震度6弱の揺れを観測し、初となる南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」が気象庁より発表されました。
これを機に防災対策への意識が高まり、自宅に防災リュックや備蓄品を用意し、地震に備えている方も増えていると思います。
ただし、地震はいつどこで発生するかわからないため、自宅以外で被災した場合の対策についても考える必要があります。
ここでは、勤務中に地震が発生した場合について、従業員を守るために企業としてどのような備えが必要か、「地震」「津波」「火災」の3つに分けて考えます。
地震に備える
① 防災備蓄品の準備
「全従業員に食料品が行き渡らない」「防災用品がひとつもない」という事態にならないよう、前もってオフィス内に防災備蓄品をそろえておくことが重要です。
停電や断水に備えて、非常用照明器具や発動発電機、飲料水や食料(1人3日分を目安)などを準備しておきましょう。
また、東京都総務局が出している東京備蓄ナビでは、各家庭に合わせた備蓄品目と必要量のリストが表示されます。在宅勤務を取り入れている企業は、こういった資料を共有し、自宅でも準備をするよう呼びかけることも大切です。
② 避難経路を確認する
社内で避難訓練を実施したことはありますか?
従業員が混乱することなく適切な行動がとれるよう、日頃から実践的な防災訓練を行うことが大切です。時間が経つにつれ薄れていく防災意識を高めるためにも、避難訓練は定期的に実施しましょう。
③ 社内外の安全化
南海トラフ地震では静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。
従業員が仕事をしている場所や業務継続のために重要な場所などから耐震補強を図り、安全空間を確保することが必要です。
・建築物、工作物の点検と補強
・オフィス家具類の転倒・落下・移動防止対策
・危険物の点検と安全措置
・火気設備等の点検と安全措置
など
津波から命を守るために知っておくべき事
南海トラフ地震では太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。そのため地震の揺れがおさまっても、
津波が来ることを想定して行動しなければなりません。事業場が、津波による避難が必要な場所か確認してみましょう。
① ハザードマップの掲示
自治体のホームページで掲載されているハザードマップや国土交通省ハザードマップポータルサイトで身の回りの災害リスクが検索できます。できる限り安全な場所を頭に入れておくと、災害発生時すぐに行動できるので、オフィスに掲示するなどして、従業員に事前に共有をしておくといいでしょう。
② 津波避難ビルの事前確認
ハザードマップを確認し、事業場に津波が来襲する可能性がある場合は、災害発生時に近くの津波避難ビルや高台に避難する必要があります。
自治体のホームページに津波避難ビルの一覧が掲載されていますので、確認してみましょう。事業場からどこに避難すべきかを従業員に共有しておくことも大切になります。
津波標識の種類
津波注意標識:津波が来襲する危険が想定される場所に表示する標識。
津波避難場所標識:津波が発生したときに避難する安全な場所及び津波避難場所までの誘導を表示する標識。
津波避難ビル標識:津波が発生したときに避難する安全なビル及び津波避難ビルまでの誘導を表示する標識。
火災対策
大規模地震発生時には、火災が同時に多くの場所で発生するおそれがあるため、消防力が不足することで消火活動が困難な状態となり、住宅密集地などでは大規模な火災につながる危険性が高くなります。
また、近年の大規模な地震発生時においては、電気に起因する火災が多く発生しています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災における本震の揺れによる火災では、原因の特定されたもののうち過半数が電気に起因したものでした。
地震発生後にも2次災害を防ぐための行動が重要となりますので、社内で火災対策についても共有をしておくといいでしょう。
① 火災警報器や消火器の設置
② 避難するときはブレーカーを落とす
③ 停電中は電化製品のスイッチを切るとともに、電源プラグをコンセントから抜く
地震がいつ発生しても、従業員一人ひとりが慌てず適切な行動をとることができるように、事前に知識を増やし、いざという時のために備えましょう!
<参考>
・ 東京都「東京都防災ホームページ」
・ 内閣府「防災情報のページ」
・ 東京都消防庁ホームページ「災害が起きる前に(会社・職場編)」
・ 総務省消防庁「地震火災対策について」
・ 気象庁「南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ」
・ 一般社団法人日本標識工業会「津波標識ガイドライン」