【特別な資格不要】あなたの知識と技術が命を救います!応急対応の基本を学んで共助の力を高めましょう
- 2024/9/17
- 雑学
日本では地震や土砂崩れ、大雨・洪水などさまざまな自然災害が発症しています。
そのため「目の前で人が倒れている」といったように突然の事故や病気など救急車を呼ぶような場面に遭遇することがあるかもしれません。
こうした場面に遭遇したら、皆さまはどのように対応されるでしょうか。
「応急対応の方法がわからない」「応急対応の方法は知っているけど実施することが怖い」と感じる方も少なくないかと思います。
ただ、応急手当は特別な資格を持っていなくても行えますし、応急手当てを必要とする場面に遭遇した際に、速やかに応急手当を行うことで救命できる可能性が高まります。
そして、応急対応ができるためには、知識や技術を知っていることが大変重要になります。
この記事を通して応急対応の知識を獲得していきましょう!
応急手当の必要性
なぜ緊急の場面に遭遇した際に応急手当が大切になってくるのでしょうか。
総務省消防庁によると、2022年の現場到着までの平均所要時間は約10.3分、病院等に収容されるまでの平均所要時間は約47.2分となり、延伸傾向にあります。
一方で救命の可能性は、心臓と呼吸が止まってからの時間の経過とともに低下していきます。
実際、総務省消防庁の報告によると、2022年に全国の救急隊が搬送したすべての心肺機能停止傷病者のうち、心原性かつ一般市民により心肺機能停止の時点が目撃された傷病者で、救急隊が到着するまでに一般市民により応急手当が実施されている場合の傷病者の1ヵ月後の生存者数の割合は、応急手当が実施されていない場合の約1.9倍救命効果が高いことが明らかになっています。
応急手当の方法
では、実際に緊急時の応急手当はどのように実践していくと良いのでしょうか。
1. 119番通報をする
① 周囲の安全を確認する
傷病者が倒れている場所が、危険な場所ではないかどうかを確認しましょう。
② 傷病者に近づき、反応(意識)を確認する
両肩をたたきながら声をかけ、傷病者の反応を確認しましょう。
③ 大声で叫び応援を呼ぶ
119番通報およびAEDを現場に届けてもらうよう協力を求めます。
大声で応援を呼ぶようにしましょう。
119番通報やAEDを依頼する場合には、人を指名して、「あなたは、AEDを持ってきてください」と依頼をすると効率的に連携が取れるようになります。
2. 胸骨圧迫と人工呼吸を行う
④ 呼吸を確認し気道を確保する
呼吸の音を確認しましょう。
また、胸やお腹の動きを見て普段どおりの呼吸をしているか確認しましょう。
片手を傷病者の額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本を下あごの先にあて、これを持ち上げ気道を確保します。
⑤ 胸骨圧迫を30回行う
胸の左右真ん中にある胸骨の下半分の位置に、一方の手のひらの基部(手掌基部)をあて、その手の上にもう一方の手を重ねて置きます。
両肘をまっすぐに伸ばし、肩が圧迫部位(自分の手のひら)の真上になるような姿勢をとります。
この姿勢のまま、1分間に100回のペースで4~5㎝程度沈むまで強く押します。
圧迫を緩めている間は、胸が元の高さに戻るように十分に圧迫を解除することが重要です。
⑥ 人口呼吸を2回行う(人工呼吸を行うことが難しい場合は省略可)
呼吸をしていない、普段の呼吸ではない場合、人工呼吸を開始します。
約1秒かけて、傷病者の「胸が上がるのが見てわかる程度」の息を吹き込むようにしましょう。
⑦ ⑤⑥を絶え間なく繰り返し実施
心肺蘇生は救急車が到着するまで続けることが重要です。
3. AEDを操作する
AEDは電源を付けたら音声ガイダンスにて操作方法が案内されますので、案内のとおりに操作しましょう。
⑧ 電源を入れる
AEDの機械によっては、ふたを開けると自動的に電源が入るものもあります。
⑨ 傷病者の胸にパッドを貼る
パッドの表面に、貼る場所が図で表示されているので、図のとおりに傷病者に貼りましょう。
≪パッドを貼る際の注意点≫
・ 皮膚が濡れている:乾いた布などで乾かしてから貼りましょう
・ 湿布など貼り薬が貼られている:貼り薬は剥がし、残っている薬剤は拭き取りましょう
・ 心臓ペースメーカーや皮下埋め込み型ポートが埋め込まれている:胸に堅いコブのような出っ張りがあれば、そこを避けて貼りましょう
⑩ コネクターを指定された場所に差し込む
パッドについているコードの先端をAEDの本体と接続します。
⑪ AEDが心電図を解析、充電を行う
傷病者が電気ショックを必要としている状態かどうかをAEDが解析します。
電気ショックが必要と判断された場合、自動的に充電が開始されます。
※「ショックは不要です」というガイダンスが流れた場合は、直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を再開するようにしましょう。
また、AEDは最後まで剥がさないようにしましょう。
⑫ 放電ボタンを押す
充電が完了すると、音声ガイダンスが次の操作を指示します。
「放電してください」などのガイダンスが流れたら、放電ボタンを押しましょう。
このとき、自分と周囲の人が傷病者から離れていて、触れていないことを必ず確認してください。
電気ショックを行った後は直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を再開してください。
さいごに
より確実に自信をもって応急対応ができるようになるには、1人ひとりが知識と技術を持っていることが大切です。
消防署では、一般の方向けの救命・応急手当講習を実施しています。
ぜひ、講習会に参加して、知識と技術を身につけましょう。
また、「講習を受ける時間がない」「まずは、知識の獲得をしたい」という方は、行政のホームページなどでも、AEDの使用方法など動画や情報を発信していますので、ぜひご活用ください。
<参考>
・ 総務省消防庁「応急手当WEB講習」
・ 総務省消防庁「令和5年版 救命救助の現況 救急編」