仕事よりも余暇を重視したい人が過去最高に~日本生産性本部「レジャー白書2025」からわかること

2025年7月15日、公益財団法人日本生産性本部は「レジャー白書2025」の速報版を公開しました。
本資料は、2024年における日本人の余暇活動の実態を詳細に分析したものです。
全国15~79歳の男女3,467名を対象としたインターネット調査により、108種目の余暇活動について参加率、希望率、消費動向などを包括的に調査しています。
以下では、主な調査結果をわかりやすく解説します。

主要な調査結果

1.「余暇重視」が過去最高に

最も注目すべき結果は、「余暇重視派」が67.8%に達し過去最高を記録したことです。
特に「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」人が37.8%と、2021年以降継続的に増加しています。
この傾向は女性(69.1%)が男性(66.5%)を上回り、若年層(10~30代で約7割)でより顕著です。

2. 余暇時間・支出のゆとり感指数の変化

一方で、実際の余暇環境には課題が見られます。
余暇時間のゆとり感指数(余暇時間が、前年より「増えた」と回答した人と「減った」と回答した人の割合の差分)は2024年に0.4と大幅に低下し(2023年は3.1)、理想と現実のギャップが拡大しています。
余暇支出のゆとり感指数(余暇支出が、前年より「増えた」と回答した人と「減った」と回答した人の割合の差分)は1.4でプラスを維持しているものの、前年(5.5)から大きく減少しています。

3. 余暇活動参加率ランキング

2024年の余暇活動参加率上位10種目は以下の通りでした。

1. 国内観光旅行(48.3%)
2. 動画鑑賞(37.0%)デジタル消費の定着を反映
3. 外食(35.6%) ※日常的なものを除く
4. 読書(33.8%)
5. 音楽鑑賞(33.3%)
6. ウォーキング(31.6%)
7. 映画(30.5%)
8. ドライブ(30.2%)
9. 複合ショッピングセンター(28.6%)
10. SNSやデジタルコミュニケーション(25.9%)

なお、このうち1位の「国内観光旅行」は、10年以上連続1位ではあるものの、コロナ禍前の54.3%(2019年)からは減少しています。
また、2位に動画鑑賞がランクインしているのは、デジタル消費の定着を反映しているといえるでしょう。

4. 潜在需要の大きい分野

希望率と参加率の差(潜在需要)が最も大きいのは以下の通りです。

1. 海外旅行(17.6%)
2. 国内観光旅行(15.8%)
3. 温浴施設(11.8%)
4. 動物園・植物園・水族館・博物館(11.2%)
5. 遊園地・テーマパーク(11.0%)

5. 長期トレンドの変化

さらに、過去10年間のデータからは、コロナ禍で「巣ごもり型」需要(動画鑑賞、SNS等)が急伸していること、2022年以降、対面型・外出型活動が徐々に回復していることがわかります。

調査結果からわかることは?

1. 価値観の変化と現実のギャップ

余暇への意識は過去最高レベルに高まっているにも関わらず、実際の余暇時間や活動種目数は増えていないという矛盾が浮き彫りになっています。
働き方改革の必要性や、経済的制約、時間的制約の存在を示唆しているといえるのではないでしょうか。

2. デジタルとリアル体験の二極化

動画鑑賞やSNSなどのデジタル系余暇が定着する一方で、旅行や温浴施設などのリアル体験への潜在需要が非常に大きいことが明らかになりました。
「手軽なデジタル消費」と「特別なリアル体験」への二極化が進んでいるといえるでしょう。

3. 消費者行動の変化

余暇活動参加率ランキングからもわかるように「無理のない範囲で楽しむ」傾向が強まっており、コロナ禍を契機とした価値観の多様化と、現実的な制約への適応が同時に進んでいます。
今後のレジャー消費が量的拡大よりも質的向上を重視する方向に向かうことが考えられます。

さいごに

本調査は、日本人の余暇に対する意識の変化や現実の課題、そして今後の消費行動の方向性を示すものでした。
特に余暇の質的向上に向けた具体的な支援や、デジタルとリアルのバランスを考慮した政策の重要性が浮き彫りとなっています。
これらの示唆を活かし、余暇がより充実したものとなるよう取り組みが進むことを期待します。

<参考>
・公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書2025」(速報版)

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蜂谷未亜株式会社ドクタートラスト 編集長

投稿者プロフィール

出版社勤務を経てドクタートラストに入社。産業保健や健康経営などに関する最新動向をいち早く、そしてわかりやすく取り上げてまいります。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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