新年度にむけて
皆さんの会社では安全衛生計画を立てていますか?
安全衛生計画とは、労働災害を防ぐために職場で行う安全衛生管理活動の計画のことです。
法律で義務づけられたものではないですが、会社の安全衛生活動の良し悪しに大きく影響を与えるものになりますので、まだ計画書を作成したことがない、または一応毎年作成はしているけれど、毎年コピペで同じ内容……といった職場の方々は、せっかくですから以下のポイントを参考に年間計画を立ててみましょう。
安全衛生計画書3つのステップ
前述のとおり、計画書は法律で定められたものではないので、決まった形式はありません。
形式は独自に作成、また、期間についても年単位、会計年度単位など、自由に定めることができます。
1 安全衛生方針の表明
期間を決めたら、まずは計画の基礎となる安全衛生方針の表明を行います。
厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」によると、その第5条に「事業者は、安全衛生方針を表明し、労働者及び関係請負人その他の関係者に周知させるものとする」とあります。
また、 安全衛生方針は、事業場における安全衛生水準の向上を図るための安全衛生に関する基本的考え方を示すものであり、次の事項を含なければならないとされています。
- 労働災害の防止を図ること
- 労働者の協力のもとに、安全衛生活動を実施すること
- 法又はこれに基づく命令、事業場において定めた安全衛生に関する規程等を遵守すること
- 労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置を適切に実施すること
2 目標の設定
次に目標の設定を行います。
目標の設定がきちんと行われていなければ、これにつづく計画も実現性の低いものとなってしまう可能性があるので注意が必要です。
目標を立てるにあたり重要なことは、事業場の安全衛生の現状を正しく把握することです。
これには、(安全衛生)チェックリストを使うことが効果的です。
チェックリストは厚労省や安全衛生事業を行う団体等が、業種や分類別に作成したものが広く公開されていますので、それらを参考に作成すると良いでしょう。
チェックリストを用いることにより、客観的かつ整理して現状を把握することができます。
3 実施事項
目標の設定ができたなら、それらを達成するための具体的な施策・スケジュールを立てましょう。
注意しないといけないのは、チェックリストによって導き出された問題点をしっかり分析し、「なぜできていないのか」をはっきりさせることです。
原因を整理しないまま、あやふやに立てた計画はいわば「砂上の楼閣」。
一見それらしく見えても実現には程遠く、途中で頓挫してしまうリスクが極めて高くなってしまいます。
原因を特定することによって、より具体的な対応策が生まれ、効率的・効果的な計画を立てることができるのです。
最後に
安全で快適な職場をつくるためには、職場の全員で強い意識をもち、行動していくことが求められます。
そのためには、羅針盤となるしっかりとした安全衛生計画が不可欠です。
<参考>
・ 中央労働災害防止協会「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」
・ ドクタートラスト「職場巡視チェックリスト」