2020年は、真の意味で働き方改革元年と言えたでしょう。
働き方改革という言葉自体は数年謳われてきましたが、実際に柔軟な働き方が必要とされたときに、本当に今までの準備が正しかったのか…。
それまでの成果が明確に表れたかと思います。
緊急事態宣言下での働き方について、「規程やインフラを整えていたけれども、実情に沿っておらず機能しなかった」、「なんとなく規程はできていたが内容が曖昧だったため、いざ実行の際に混乱した」などの失敗を耳にします。
4月に新年度を迎える企業も多いと思いますので、2回目の緊急事態宣言を経験下の今、コロナ禍での実際のワークスタイルを想定し、就業規則の見直しを行ってみてはいかがでしょうか?
今回は、改めて就業規則変更手続きの基本や、コロナ禍だからこそきちんと決めておきたい項目などをご説明します。
就業規則の変更手続きの基本
1.新しい就業規則の作成(一部修正)
変更したい部分の条例を修正し、取締役会などで承認を得ます。
2.就業規則変更届の作成
就業規則変更届は、とくに指定の様式がありませんが、変更箇所がわかるよう、新旧対照表を添付するのが一般的です。
厚生労働省のウェブサイトに就業規則変更届の様式例がありますので、そちらを参考にするのがおすすめです。
【厚生労働省 東京労働局「様式集」】
3.変更届に添付する意見書の作成
変更届と合わせて、労働者の過半数を代表する者の意見書も必要となります。
代表者は、管理監督者でない者の中から投票などの公正な方法で選出される必要があります。
4.労働基準監督署へ届出
新しい就業規則・変更届・意見書を労働基準監督署へ提出します。
それぞれ2部ずつ用意して、1部に受領印を押してもらい、社内の控えとします。
5.社内へ周知する
変更した就業規則は社内に周知します。
どこをどのように変更したのかがひと目でわかるように、新旧対照表を合わせて提示するとよいでしょう。
コロナ禍だからきちんと決めておきたい項目
冒頭で「コロナ禍での実際のワークスタイルを想定して」と述べましたが、はっきりと定義をしておくと「労使間のトラブルを未然に防ぐ」ということです。
そのポイントを以下にまとめてみました。
◎緊急事態下における時短勤務やフレックス勤務のへの切替に関する条件について
通常勤務を行っている従業員が、時短勤務やフレックス勤務を希望した際の、承認条件や申請方法などについて具体的に明記しておきましょう。
◎テレワークを行う際のPCおよび周辺機器の導入費用および通信費等の負担について
テレワーク時のPCなどのインフラ導入にかかる費用や、貸与の場合はその申請や管理方法などを明記しましょう。
また、通信費や光熱費の負担についても、個人と企業どちらが負担するのかも定めましょう。
(企業負担の場合は、費用の申請方法や支給方法まで明記)
◎自宅待機中の賃金について
業務が行えず、自宅待機となった期間中の賃金の有無について明記しておきましょう。
補助を受けるためにも社内整備は重要
企業が国から各種の補助金を受ける際、社内整備が整っていることが大前提となります。
2021年もまだまだコロナの影響が続くと想定されますので、新年度を迎える前に今一度就業規則の見直しを検討されてはいかがでしょうか。