新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が1月7日に1都3県に、1月13日には11の都府県にも発出されました。
緊急事態宣言が発出されたことで、急遽テレワークになった、もしくはテレワークが増えた方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省より「これからのテレワークでの働き方に関する報告書」が2020年12月25日に公表されました。
報告書には前回の緊急事態宣言(2020年4月7日)を機にテレワークが広まったが、緊急事態宣言が解除されるとテレワークを取りやめてしまう企業も増えてしまったことから、ウィズコロナの時代を見据えテレワークを定着させていくことが重要であることが述べられています。
また、テレワークを実際に行った方の大半はテレワークを継続したいと望んでおり、テレワークをしたことがない方もテレワークしてみたいという意見が多かったようです。
気になるテレワークについての調査結果
以下では、「これからのテレワークでの働き方に関する報告書」をご紹介してきます。
テレワークを導入している企業・業種の特徴は以下のことがわかりました。
・ 企業規模が大きいほどテレワークの導入率が高い
・ 業種は医療・福祉では導入率が低く、情報通信業が高い
一方でテレワークの未導入の企業からは、以下の理由があがっています。
・ 業務的に難しい
・ 情報セキュリティ対策が難しい
・ 資料が電子化されていないから
また、テレワーク導入によるい効果は以下のとおりです。
・ 通勤による心身の負担が減った
・ 隙間時間ができ、時間の有効活用ができるようになった
・ 自然災害やその他感染症の流行時に事業継続性を確保できるようになった
・ 仕事と家庭の両立ができ、従業員の離職防止につながった
・ 出社しないとできないと思っていた仕事が実はテレワークできたということに気づけた
・ 出張や外出の心身の負担や、費用の負担が減った
・ 管理職や経営層の間でテレワークの理解が深まった
しかし、以下のような課題も浮き彫りになりました。
① 同僚や部下、上司とのコミュニケーションが取りにくい
② 在宅勤務可能な業務が限られている
③ 非正規雇用者のテレワーク率が低く不公平感を生んでいる
こうしたデメリットへの対策は以下の取り組みがみられます。
① 出社と組み合わせてコミュニケーションを行う
② 「テレワークができない業種なので、テレワークは行わない」と安易に結論づけず、経営者の意識を変えること、業務の見直しを行うことが望ましい
③ 雇用形態に関わらず、またテレワークに限らず、あらゆる待遇について不合理な差を設けないよう留意する必要がある
また、企業が行政に求めるテレワーク支援策としては以下があがっています。
・ テレワーク費用の助成
・ テレワーク導入に関するマニュアルやガイドラインを提供してほしい
・ テレワークの導入による好事例が知りたい
さらに、テレワーク実施に際して評価の課題も以下のとおりあるようです。
① 出社した従業員と違い、成果を生み出す過程を把握しづらく、評価をしづらい
② テレワークを行う労働者は人事評価についてどのような評価基準なのか把握しづらい
③ チームへの貢献度が見えづらい
これら課題の対応としては以下があげられました。
①、②に関して:人事が評価に関する具体的なルールを決め、労働者に明確に説明することが望ましい
③に関して:メール等により、チームへの情報提供を行うなど、具体的行動が評価対象の一つになることを示す、評価者に関しても適正な評価ができるよう訓練を行う
そのほかにもテレワークと出社の人事評価方法を変える場合は、誰もがテレワークを行えるよう留意して設定する必要があるとしています。
また、テレワークを行う際、企業と従業員のどちらがどのように費用を負担するか、あらかじめ労使で話し合い、就業規則に盛り込んでおくのが望ましいとされています。
そのほかテレワークでの注意点
このほか、テレワークにおける注意点をご紹介します。
プライベートの確保
労働時間等が同一企業でバラバラになることにより、プライベートを侵害しないようなしくみを構築することも重要です。
インターバル制度の活用
長時間労働にならないよう、インターバル制度をとり入れることも有効とされています。
健康状況の管理やメンタルヘルス
オンラインで双方向のコミュニケーションを取ることにより、職場の上司、同僚、産業医等に相談しやすい環境づくりが重要です。
作業環境についての懸念
例えば産業医が職場巡視で行うような証明の照度やパソコンの配置等は従業員が簡単に行えるようなチェックリストを作成し、労使が協力して改善を図ることが望ましいとされています。
まとめ
政府は今後もこれからの新しい生活様式「ウィズコロナ」「ポストコロナ」に対応したテレワークという働き方を推し進めていく方針です。
企業の労務担当者はテレワークを行う際、上記の点に留意し、ガイドライン等を活用していきましょう。
<参考>
厚生労働省「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」