毎年見直しが行われている最低賃金。
今年も40県が1～3円の引上げとなりました。
最低賃金は、毎年8月頃に新しい金額が発表され、金額の改定は10月、最低賃金は都道府県ごとに定められています。
全国平均は右肩上がりに上昇していますが、毎年必ず上がるというわけではなく、東京や大阪など7都道府県は、新型コロナウイルスの影響などを考慮し、金額が据え置かれました。

最低賃金制度について

1.最低賃金制度とは

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき最低限支払わなければならない賃金の下限額を定め、使用者にそれ以上の賃金を支払わなければならないと強制する制度のことです。

2.最低賃金の種類

最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。

・　地域別最低賃金
地域別最低賃金とは、冒頭に述べたように47都道府県すべてにおいて定められており、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。
・　特定最低賃金
特定最低賃金とは、都道府県によって対象となる業種、労働者が異なりますが、たとえば「鉄鋼業」や「金属加工機械製造業」など、地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定されています。

3.最低賃金の適用される労働者の範囲

最低賃金は、常時、臨時、パートタイマー、アルバイト、嘱託などの雇用形態や呼称にかかわらず、すべての労働者に適用されます。

派遣労働者の最低賃金の考え

47都道府県ごとに定められている最低賃金ですが、次のような状況の場合、最低賃金はいくらになるのでしょうか。

（例）
埼玉県在住のＡさんは、千葉県の派遣会社から東京都にあるオフィスに派遣されて働いている

3つの都県がでてきました。
2020年度の各都道府県の最低賃金は、下記の表のとおりで埼玉県が928円、千葉県が925円、東京都が1,013円です。

答えは、派遣先の事業場の所在地である「東京都」の最低賃金が適用されます。
Ａさんは、千葉県の派遣会社からお給料が支払われますが、派遣会社は派遣労働者に対して、派遣先の事業場に適用される最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないからです。

まだまだ厳しい最低賃金

年々上がり続けているとはいえ、まだまだ最低賃金の時給では生活が厳しいと言えるのではないでしょうか。
時給1,000円で1日8時間、週5日働いても月16万円程度、年収にすると192万程度です。
これは俗に言うワーキングプア、「働く貧困者」と言えるでしょう。
正社員とアルバイトでは、必ずしも同一労働とは言えない場合が多いとは思いますが、同一労働同一賃金に向けて今後も最低賃金の上昇は進んでいくことでしょう。