平成29年度 「見える」安全活動コンクール
- 2018/6/15
- 労働環境
皆さん、「見える」安全活動コンクールをご存知ですか?
このコンクールの平成29年度の結果が今年の3月に発表されました。
コンクールを知らないという方も、このコンクールについて理解し、優良な事例について学ぶことで、皆さんの事業場でも使える取り組みや工夫がたくさん見つけられると思います。
この産業保健新聞でも過去に取り上げていますが、改めてご説明させていただきますので、一緒に「見える」安全活動について学んでいきましょう。
「見える」安全活動とは
まず「見える」安全活動とはなんでしょうか。
コンクールを開催している厚生労働省は次のように説明しています。
「職場における危険性、有害性について、通常視覚的に捉えられないものがあります。
それらを可視化(見える化)すること、また、それを活用することによる効果的な安全活動を「見える」安全活動といいます。」引用元:平成29年度「見える」安全活動コンクール(厚生労働省)
職場にはたくさんの目に見えない危険がひそんでおり、それらが原因で労働災害が起こってしまうことが少なくありません。
その危険を目で見てわかるようにする、つまり「見える化」すれば、働く人たちが事業場にひそむ危険を認識でき、どうすれば安全に働くことができるかを考えられ、労働災害の防止につながると考えられます。
これが「見える」安全活動です。
「見える」安全活動コンクールとは
このコンクールは厚生労働省が年に一度開催しているもので、平成29年度が7度目の開催となります。
前述した「見える」安全活動に取り組んでいる事業場からその取り組み事例を募り、国民からの投票、安全活動優良事例選考委員会の評価、選考によって優良な取り組み事例が選出されます。
平成29年度は以下の7つのカテゴリの取り組みが募集されました。
Ⅰ.転倒災害を防止するための「見える化」
Ⅱ.腰痛を予防するための「見える化」
Ⅲ.外国人労働者、非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」
Ⅳ.熱中症を予防するための「見える化」
Ⅴ.メンタルヘルス不調を予防するための「見える化」
Ⅵ.化学物質による危険の「見える化」
Ⅶ.その他の危険有害性情報の「見える化」引用元:平成29年度「見える」安全活動コンクール(厚生労働省)
では次にこれらのカテゴリでそれぞれどのような取り組み事例があったのか見ていきましょう。
平成29年度の優良な取り組みは?
こちらで優良事例すべてをご紹介することはできませんので、すぐに取り組みができる簡単なものを抜粋してご紹介させていただきます。
Ⅰ.転倒災害を防止するための「見える化」
・ 製造業H社の取り組み
靴底のすり減りによる転倒予防のため、靴底のすり減り基準を設定。
またいつでも誰でも簡単に靴底がチェックできるよう長靴置き場を改善。
靴底が下を向く通常の置き方から、靴底が上面を向く置き方に変更した。
Ⅱ.腰痛を予防するための「見える化」
・ 建設業T社の取り組み
除草作業による腰痛予防のため、新設の電柱周囲に「防草シート」と「防草砂利」を敷設。
防草の工夫をした。
Ⅲ.外国人労働者、非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」
・ 飲食業A社の取り組み
包丁での調理作業による事故防止のため、包丁を使用する外国人労働者・非正規雇用者に向けて安全な使用方法を周知。
家庭での自己流の使い方ではなく正しい使い方を習得してもらうため、正しい方法と間違った方法を、言葉だけではなく写真で並べたシートを作成した。
Ⅳ.熱中症を予防するための「見える化」
・ 建設業K社の取り組み
休憩不足、水分不足による熱中症予防のため、1時間ごとに1回を基本とした強制的な休憩と水分補給を方針化。
きちんと休憩と水分補給ができているか毎日記録できるように夏季限定で既存のKY用紙を改訂し、記録欄を設けた。
Ⅴ.メンタルヘルス不調を予防するための「見える化」
・ 建設業G社の取り組み
単身赴任をしている従業員の心理的負担の軽減のため、従業員のご家族に「わたしたちからの通信簿」として、普段は言いづらい従業員へのねぎらいや感謝の言葉を書いてもらうよう依頼。
書いてもらった通信簿を従業員に渡し、メッセージをのぼりにして掲示をおこなった。
Ⅵ.化学物質による危険の「見える化」
・通信業E社
危険化学物質による事故防止のため、危険表示マークの化学物質製品を使用する際には従業員にスマートホン等の携帯端末で製品のバーコードを認識させ、E社のSDS(安全データシート)のリスク低減策が携帯端末に表示されるようにした。
表示されたリスク低減策を実行するよう従業員に周知した。
Ⅶ.その他の危険有害性情報の「見える化」
・ 建設業K社
通勤労働災害防止のため、現場周辺の交通事故の多い地域、死亡事故の発生場所を示した「個人用ヒヤリマップ」を作成。
新規入場者の教育時に通勤経路を「現場周辺個人用ヒヤリマップ」に記入してもらいコピーを渡すことにより、通勤経路の危ない場所を確認してもらうようにした。
いかがでしたか?
皆さまの事業場でも実践できるような取り組みもあったのではないでしょうか。
ほかにも多くの優良取り組み事例が紹介されていますので、ご興味のある方はぜひ以下のリンクからご覧ください。
また皆さまの事業場でもすでに取り組んでいる活動や、これから取り組む活動がありましたら、ぜひ今年度のコンクールにご応募されてみてはいかがでしょうか。
<参考>
平成29年度「見える」安全活動コンクール(厚生労働省)
平成29年度『見える』安全活動コンクール(産業保健新聞)
『見える』安全活動コンクール開催(産業保健新聞)
平成26年度「見える」安全活動コンクール開催(産業保健新聞)