緊急事態宣言が延長されるなど、未だに収束の兆しが見えない新型コロナウイルス。
以前、産業保健新聞でもご紹介しましたが、とある調査では全体の約3割の人がコロナ禍で睡眠の質が低下したと回答しているという結果が出ています。
今回は、食事と睡眠の関わりについて、セルフケアの観点からお話ししたいと思います。
皆さん、朝食きちんと食べていますか?
突然ですが、本記事をご覧いただいている皆さんは、朝食を食べていますか?
令和元年に厚生労働省から発表された「国民健康・栄養調査」の報告によると、
・ 全体の11.8%が朝食を欠食している(何も食べない・菓子・果物・錠剤などのみの合計)
・ 「何も食べない」割合が高かったのは男女ともに20代で、男性が16.7%、女性が21.4%
ということが分かっています。
特に若い世代の朝食欠食が多いという結果ですね。
加えて、同年に農林水産省から発表された「食育白書」によると、朝食を食べていない人に朝食を食べるために必要なことは何か聞いたところ、「朝早く起きられること」が20~30代の男女ともに最も多く、50%以上となっています。
このことから、朝に十分な時間を確保できないことが朝食欠食の一つの大きな要因となっていることが伺えます。
しかし、実はその朝食が夜の睡眠にとって重要な鍵を握っていることをご存じでしょうか?
朝食は夜ぐっすり眠るための準備になる!
睡眠には「メラトニン」というホルモンが関わっており、覚醒と睡眠を切り替えるという非常に重要な役割を担っています。
別名「睡眠ホルモン」と呼ばれる所以ですね。
そんなメラトニンは、食品に含まれるタンパク質の一種「トリプトファン」を原料として日中に脳内で生成されたセロトニンを経て、夜になると合成されます。
したがって、朝食でメラトニンの原料となるトリプトファンを十分にとることがより良質な睡眠へと繋がります。
また、体温が低く、脳が十分に機能できない状態である朝一に、体温を上げて脳を働かせるエネルギーとして、炭水化物(ごはんやパン、麺類など)を併せて摂ることも大切です!
朝食に取り入れたい!快眠に役立つ食品
ぐっすり眠り、日々の疲れをとるために重要な役割があるメラトニン。
その原料となるトリプトファンはどんな食品に含まれているのでしょうか?
ずばり肉類・魚類・卵・大豆製品・乳製品などのたんぱく質です。
朝が和食派という方は、炭水化物である白米に、納豆や出し巻き卵などの卵料理を組み合わせたり、味噌汁に豆腐や卵を加えることでたんぱく質を増やすことができておすすめです。
また、朝が洋食派という方は、炭水化物であるパンと一緒にスクランブルエッグやゆで卵、チーズ、ヨーグルト、牛乳などを組み合わせると良いでしょう。
用意できるメニューとして、スライスチーズをのせたパンも良いでしょう。
もし、朝は食欲がなくてそんなに食べられない…という方は、無理せずに食べられるものを一口でも口に含んでみて、少しずつ習慣化していくことを目指すのはいかがでしょうか。
ぜひ明日の朝の参考にしてみてください!
<参考>
・ 令和元年度厚生労働省「国民健康・栄養調査」
・ 令和元年度農林水産省「食育白書」