2021年も気付けばもう4月ですね。
4月といえば、桜舞うなかでの入学式、入社式などが想起され、新しい何かが始まる月、ワクワクする月だと思います。
しかし今年の雇用環境は、去年から猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響で有効求人が大幅に減り、2021年卒の学生の就職内定率も減少するなど、これまでとは大きく異なってきています。
筆者も採用担当として日々業務を行っていますが、「なかなかいつも通りにいかない」と思うこともあります。
今回は最近の採用動向について、2021年3月15日に帝国データが公表した「2021年度の雇用動向に関する企業の意識調査」をもとにわかりやすく解説します。
正社員雇用は低水準に
「2021年度の雇用動向に関する企業の意識調査」によれば、正社員(新卒・中途入社)の採用状況について、2021年度(2021年4月~2022年3月)に「採用予定がある」と回答した企業は、前回の調査から3.9ポイント減少して55.3%となり、3年連続で減少しました。
やはり「業績の見通しが不透明」「売上が伸び悩んでいる」といった新型コロナウイルスの影響が大きいとみられ、2012年度の54.5%という数値以来の低水準となってしまいました。
さらに「採用予定がある」と回答した企業を規模別にみると、「大企業」は79.3%、「中小企業」は50.2%で、それぞれ前年調査より3.4ポイント減少しており、正社員採用に関しては企業規模にかかわらず慎重になっているようです。
街中のシャッターが増えていくのを見ると、業種によっては本当に大変な状況なのだろうと推察できます。
一方で「他企業が採用を控えている現状が、中小企業にとっては人材を集めるチャンス」「将来のことを考えると、人材を確保し教育訓練をしておく必要がある」など、コロナ禍でも積極的な採用を検討している企業や、苦しい状況を踏まえつつも、これからを考えて採用を行う企業もあるようです。
「産業保健新聞」を運営するドクタートラストは幸いにも新型コロナウイルスの影響をあまり受けない事業だったため、どちらかというと後者の考えに近いですが、やはり多少は慎重に選考・採用をするようになったと感じます。
新卒採用と中途採用
正社員の採用状況について、新卒で採用するか中途で採用するか尋ねたところ、「新卒新入社員(新卒採用)」が39.1%、「中途社員(中途採用)」が45.0%でした。
企業規模別にみると、大企業は新卒新入社員の割合が多く、中小企業は中途社員の割合が多い傾向です。
特に、中小企業が中途採用に偏る傾向にあるのは、即戦力を求めるためと考えられます。
非正社員雇用も大幅減少
ここまで正社員の雇用状況についてお話してきましたが、ここからは非正社員雇用についてです。
非正社員(新卒・中途入社)の採用状況について、2021年度に「採用予定がある」と回答した企業は、前回の調査から7.4ポイントも減少し、36.8%となりました。
2012年以来、9年ぶりの3割台です。
加えて「採用予定がある」割合の減少とともに、「採用予定はない」と答えた企業の割合は大きく増加し48.2%とほぼ5割でした。
正社員雇用とくらべると、非正社員雇用のほうが変動が大きい印象ですね。
しかし、「採用予定がある」と答えた企業を業種別にみると以下のとおり、個人向けの業種に関しては「巣ごもり」効果もあってか、非正社員の採用意欲は高いようです。
飲食店:73.1%
スーパーマーケットを含む各種商品小売:69.6%
家具類小売:66.7%
コロナ禍の採用活動・雇用状況は、企業規模というよりは業種によって大きく変動した印象ですが、どの企業も多かれ少なかれ影響は受けているものと思います。
「人手不足だけど新しく人材を雇用する資金がない」などの悩みがある企業に関しては、新型コロナウイルスの影響を受けた企業を対象とした助成金など、支えとなる制度を政府が整備していますので、下記記事も参考にしてください。
また、「2021年度の雇用動向に関する企業の意識調査」では70 歳までの就業機会確保への対応についてもまとめられています。
今回は、主に採用に関することを説明したので割愛しますが、気になる方は以下記事を参照ください。
<参考>
株式会社帝国データバング「2021年度の雇用動向に関する企業の意識調査」