6月は、雇用について考えるには絶好の月です。
なぜなら、6月は「男女雇用機会均等月間」であり、かつ毎年6月23日~6月29日までの1週間は「男女共同参画週間」とされているからです。
さらに、6月は「就職差別解消促進月間」でもあります。
就職差別解消促進月間とは
就職差別解消促進月間は、あらゆる項目での就職差別をなくし、就職の機会を均等にすることを目的として、東京都が平成12年度から開始したものです。
この活動が始まった理由のひとつに、「とある企業が採用にあたって求職者の身元調査を行ったことが判明した」ことが挙げられます。
採用にあたって身元調査を行うことは、基本的人権の尊重・職業選択の自由を保障している憲法に反するとされ、今後このようなことが起こらないように就職差別解消を推進・啓発していこう!となったわけです。
どんなことが就職差別になるのか
では、どんなことが「就職差別」となってしまうのでしょうか。
大阪労働局によると、面接時などに以下のような質問をすることは就職差別につながる不適切な対応であるとされています。
① 本籍に関する質問
【例】あなたのお父さん・お母さんの出身地はどこですか② 住居とその環境に関する質問
【例】あなたの住んでいる地域はどんな環境ですか③ 家族構成や家族の職業・地位・収入に関する質問
【例】あなたの家族の職業を言ってください④ 資産に関する質問
【例】あなたの住んでいる家は一戸建てですか⑤ 思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党に関する質問
【例】家の宗教はなんですか、何宗ですか⑥ 男女雇用機会均等法に抵触する質問
【例】結婚の予定はありますか参考:大阪労働局「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」
こう並べてみると「こんな質問しないでしょ……」と思うかもしれませんね。
しかし「○○県××市のどのへんですか? 駅から近い?」といった質問は、相手の通勤時間を心配しての質問だとしても、②の質問に抵触しているおそれがあります。
また、以前、色覚異常者の採用についても「産業保健新聞」では紹介しました。
このような身体的な問題で差別することも、もちろんしてはいけません。
公正な採用活動をするために気をつけたいこと
どんなことが、就職差別になるのかは、上記でご認識いただけたと思います。
次は、公正な採用をお行うためにどんなことに気をつければいいのかを確認していきましょう。
採用方針・採用計画
・雇用条件や採用基準をあらかじめ明確にしておく
・特定の人を排除するようなことはしない
人間にとって「就職」は人生を左右する重要なことです。
そのため、採用基準などはしっかりと決めておき、その基準にあてはまるすべての人が応募できるという状況にしなければいけません。
選考基準・方法
・応募者の基本的人権を尊重する
・合理的かつ公平な基準をもち、それを明らかにする
選考の方法には、書類選考・面接選考・学科試験・適性検査などさまざまありますが、募集している職種ごとに、どの方法が一番適切なのかを判断する必要があるでしょう。
また、一つの方法だけではなく、複数の選考方法を用いて、総合的に評価しましょう!
選考内容
・前記①~⑥に当てはまるような質問、作文は出題しない
相手のことを良く知ろうと、たくさんの質問や試験をすると思いますが、上記のような差別を生む内容は決してしてはいけません。
実施目的にあわせて検討し、業務との関係を重視した内容にしましょう。
採否の決定
・適性や能力を総合的に判断した、公正な評価か再確認する
応募者にとっても、企業にとっても、今後を左右する重要な項目です。
今一度、公平な評価をもとに出された結果なのかを確認し、選考の経過とともにいつでも明示できるよう整理しておきましょう。
ここまで、就職差別、またそれをなくすためにどうすれば良いかをご紹介しました。
応募者にとっての就職と、企業にとっての採用は、どちらも重要な事柄です。
応募者は希望した業務につけるように、企業は欲しい人材が来るように、募集要項などは明確にしていきましょう!