差別していませんか?色覚異常に正しい理解と採用を!
- 2018/12/6
- 労働安全衛生法
皆さま、突然ですが「色覚異常」という言葉をご存じでしょうか。
色覚異常には、先天色覚異常と後天色覚異常があり、先天性色覚異常は日本人男性の5%(20人に1人)、日本人女性の500人に1人(0.2%)いるといわれています。
色覚異常の症状を伴う、他の病気による後天色覚異常も加えると、決して珍しい症状ではないのです。
わたしは、医療職ではないので、症状について詳しいことは記載できないのですが、人事に身を置いている立場から色覚異常の方への採用・対応について書いていきたいと思います。
中途採用はもちろん、これから活発化する新卒採用の参考に少しでもなればと思います。
色覚検査の義務は廃止されている
厚生労働省は平成13年7月に労働安全衛生規則の一部改正を行い、雇入時の健康診断の項目から色覚検査を削除しています。
もちろん、これは色覚検査を禁止するものではないので、色覚が重要視されるお仕事がある企業様では今でも実施しているかと思いますが、ほとんどの企業は実施していないと思います。
(かくいう弊社も健康診断で色覚検査はありません)
色覚検査の義務が廃止すでに17年ちかく経っていますので、以前はしていたという事実を知っている方も少ないかもしれませんね。
なぜ廃止された?
それでは、なぜ色覚検査は廃止されたのでしょうか。
理由については、厚生労働省の資料に以下のように記されています。
1.趣旨
(1)色覚異常についての知見の蓄積により、色覚検査において異常と判別される者であっても、大半は支障なく業務を行うことが可能であることが明らかになってきている
(2)事業者において、色覚検査において異常と判別される者について、業務に特別の支障がないにもかかわらず、採用を制限する事例も見られる引用元:「職場における色覚異常についての正しい認識の促進について」(厚生労働省)
要約すると、
色覚異常がある人も、異常のない人同様のパフォーマンスができるのに採用が制限されてしまっていた → 「差別」や「不利益」につながる
ということですね。
採用する際に、企業が気をつけることは?
通常のオフィス業務の場合は、そもそも採用時に特に記載せず、通常通りに採用活動をすれば良いと思います。
ですが、業務上どうしても検査が必要な場合は、下記の点に注意する必要があります。
<求人について>
・「色覚異常は不可」などの条件をつけるのは危険です。
色を使う業務内容を詳細に明記することが必要です。
<検査について>
・労働者に対して色覚検査を含む健康診断を行う場合は、業務内容との関連と必要性を十分に検討・説明したうえで、労働者の同意を得て行いましょう。
・色覚検査は現場における職務遂行能力を反映するものではない旨、注意と理解が必要です。
この記事の最初に記載した通り、色覚異常を抱えている日本人は案外たくさんいます。
もしかしたら身近にいる人もそうかもしれません。
ですが、何度もお伝えしますが、そのたくさんいる色覚異常の方々は異常がない方と同様にお仕事ができるのです。
どうかこれからも差別などはなしに、皆でお仕事頑張りましょう!
<参考>
・「職場における色覚異常についての正しい認識の促進について」(厚生労働省)
・「雇入時健康診断における色覚検査の廃止等について(回答)」(厚生労働省)
・「色覚検査の廃止」(厚生労働省)