令和7年労働災害発生状況と第14次労働災害防止計画目標からみる、「建設業」「林業」「製造業」「陸上運送事業」の労災防止対策の達成度
- 2026/7/13
- 労災

厚生労働省は、2026年5月27日に2025年(令和7年)の労働災害発生状況を公表しました。
全体の結果としては、2025年1~12月までの労働災害による死亡者数(新型コロナウイルス感染症への罹患によるものを除く)は700人で、前年比で46人、6.2%減少、過去最少となっています。
また、休業4日以上の死傷者数は135,333人で、こちらは前年比385人、0.3%減少したものの、ほぼ横ばいの結果です。
本記事では、上記の結果から、いつくか要点をまとめて解説していきます。
「第14次労働災害防止計画」とは
公表されたデータについて解説する際に重要なのが、労働災害を減少させていくための中期計画「第14次労働災害防止計画」です。
2023年(令和5年)4月1日~2028年(令和10年)3月31日までの5年間の計画で、以下に記載する8つの重点対策が設けられています。
●8つの重点対策
①自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発
(社会的に評価される環境整備、災害情報の分析強化、DXの推進)
②労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進
③高年齢労働者の労働災害防止対策の推進
④多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策の推進
⑤個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
⑥業種別の労働災害防止対策の推進
(陸上貨物運送事業、建設業、製造業、林業)
⑦労働者の健康確保対策の推進
(メンタルヘルス、過重労働、産業保健活動)
⑧化学物質等による健康障害防止対策の推進
(化学物資、石綿、粉じん、熱中症、騒音、電離放射線)出所元:厚生労働省「第14次労働災害防止計画の概要」
今回公表された労働災害発生状況のデータからは、「⑥業種別の労働災害防止対策の推進」について、現状どれくらい労災が発生しているのか、防止対策の推進により発生件数が減っているのか等を確認することができます。
なお、具体的な目標として、「第14次労働災害防止計画」終了(2028年3月31日)までに、2022年と比較して「建設業及び林業においてそれぞれ死亡災害を15%以上」、「製造業における機械によるはさまれ・巻き込まれの死傷者数を5%以上、陸上貨物運送事業の死傷者数を5%以上」減少させること等を挙げています。
これらの数値目標をもとに、近年の労働災害の発生状況を見ていきましょう。
また、「③高年齢労働者の労働災害防止対策の推進」については、過去記事でご紹介しています。
高年齢労働者が在籍している企業の担当者の方は、こちらの記事も併せて確認しておきましょう。
「業種別」でみる労働災害発生状況
ではまず、業種別の労働災害発生状況データから「建設業及び林業においてそれぞれ死亡災害を15%以上」減少の目標について見ていきましょう。
| 第14次労働災害防止計画期間 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
| 建設業 | 269人 | 256人 | 278人 | 281人 | 223人 | 232人 | 214人 |
| 林業 | 33人 | 36人 | 30人 | 28人 | 29人 | 31人 | 25人 |
参考:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」
表1は、業種別死亡災害発生状況のデータから、建設業と林業のデータのみを抜粋したものです。
2024年と比較すると、建設業は232人→214人で約7.8%減、林業は31人→25人で約19.4%減と、この1年でどちらの業種も減少しています。
では、目標の「2022年比」で見てみるとどうでしょう。
建設業は281人→214人で約23.8%減、林業は28人→25人で約10.7%減という結果です。
建設業は現時点でも目標の15%減少を達成しています。
しかも、2022年までは250人を常に超えていたにも関わらず、この3年は超えていません。
林業に関しては、もともとの人数が少ないため15%減少の壁が建設業より高いように感じますが、2025年の25人は2016年以降で最も少ない人数です。
このことから、この2業種において労働災害防止対策はしっかりと進んできている、と捉えることはできるでしょう。
建設業は15%以上のさらなる減少を、林業は目標の15%減を目指し、さらなる推進を図っていきましょう!
建設業の労働災害対策に関しては過去記事もぜひご覧ください。
「業種別・事故の型別」で死傷災害発生状況
では続いて、業種・事故の型別データから「製造業における機械によるはさまれ・巻き込まれの死傷者数を5%以上、陸上貨物運送事業の死傷者数を5%以上」減少の目標について見ていきます。
| 第14次労働災害防止計画期間 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
| 製造業 | 6,959人 | 6,209人 | 6,501人 | 6,416人 | 6,377人 | 6,114人 | 5,992人 |
| 第14次労働災害防止計画期間 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
| 陸上貨物運送事業 | 15,382人 | 15,815人 | 16,335人 | 16,580人 | 16,215人 | 16,292人 | 15,632人 |
参考:厚生労働省「労働災害発生状況」
表2は業種、事故の型別死傷災害発生状況のデータから、製造業の「はさまれ・巻き込まれ」のデータを抜粋したもの、表3は同じく業種、事故の型別死傷災害発生状況のデータから、陸上貨物運送事業の死傷者数を抜粋したものです。
こちらもまずは2024年と比較してみましょう。
製造業の「はさまれ・巻き込まれ」の件数は6,114人→5,992人で約2%減、陸上貨物運送業の死傷者数は16,292人→15,632人で約4.1%減という結果で、どちらも減少しています。
第14次労働災害防止計画の目標である「2022年比」で見てみると、製造業の「はさまれ・巻き込まれ」は6,416人→5,992人で約6.6%減、陸上貨物運送業の死傷者数は16,580人→15,632人で約5.7%減です。
どちらも目標である5%を超えていおり、製造業の「はさまれ・巻き込まれ」に関しては令和の記録の中で最も少ない人数であり6,000人を切りました。
また、陸上貨物運送事業の死傷者数はここ4年ずっと16,000人を超えていたのですが、2025年は下回っています。
このことから、どちらの事業に関しても防止対策の結果が出てきていると考えることはできますが、重要なのは発生件数が減少してきている今の状況を維持、さらに推し進めていくことです。
つまり、大事なのは2026年の労働災害発生件数だと考えます。
来年もさらに減少していれば、いま行っている防止対策等が正しく機能しているということであり、逆に増加していたら(増加幅にもよりますが)労働災害を防ぐ根本的な部分にまだ対策が行き届いていない、ということになります。
今回、ご紹介した4業種の企業さまは、ぜひこの機会に自社の労働災害防止対策を見直してみましょう。
また、7月1~7日は全国安全週間でもあります。
他業種の企業さまに関しても、自社業種のデータを確認して、労働災害の防止について改めて確認するきっかけになればと思います。
<参考>
・ 厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況を公表」
・ 厚生労働省「労働災害防止計画について」
・ 厚生労働省「第14次労働災害防止計画の概要」
・ 厚生労働省「労働災害発生状況」





















