事故は減っても1件あたりの重さは増加~令和7年労働災害動向調査のポイント~

厚生労働省では、主要産業における労働災害の発生状況を明らかにすることを目的として、労働災害動向調査を定期的に(事業所規模が100人以上では半期に1回、事業所規模が100人未満では年に1回)を実施しています。

労働災害の発生状況

令和7年(2025年)の「労働災害動向調査」によると、労働災害の発生状況を示す「度数率(100万時間働いたときに何件の労働災害が発生したかを示す指標)」は2.01となり、前年の2.10から改善し、仕事中のけがや事故は全体的に減少しました。

また、1年間を通じて労働災害が発生しなかった事業所の割合は55.9%となり、前年の53.1%を上回りました。
半数以上の職場で事故が発生しなかったことになり、多くの企業が安全対策に取り組んでいることが分かります。

一方で、第1ー1図に戻ってみると、事故やけがをした人が仕事を休んだ日数は1件あたり平均45.7日となり、前年より長くなっていることがわかります。
この結果は、事故の件数は減っていても、一度事故が起きると重いけがにつながるケースが増えている可能性があることを示しています。

職場での事故は、本人だけでなく家族や職場にも大きな影響を与えます。
「事故が減ったから大丈夫」と考えるのではなく、引き続き安全対策を続けていくことが大切です。

特に注意したい業種は?

業種別に見ると、労働災害が多かったのは農業・林業でした。

度数率は8.10で、全体平均を大きく上回っています。
そのほか、生活関連サービス業・娯楽業、サービス業、宿泊業・飲食サービス業、運輸業・郵便業でも比較的高い数値となりました。

例えば農業や林業では、機械を使う作業や屋外での仕事が多く、転倒や機械への巻き込まれなどの危険があります。
運輸業では荷物の積み下ろしや長時間運転、飲食店では滑りやすい床や包丁を使う作業など、日常業務の中にさまざまな危険が潜んでいます。

一方で、医療・福祉や卸売業・小売業では、前年より労働災害の発生率が低下しました。
職場のルールづくりや安全教育が少しずつ成果を上げているのかもしれません。
どの業種にも共通して言えるのは、「慣れ」が事故につながることです。
毎日行う作業ほど油断しやすいため、基本的な安全確認を続けることが重要です。

中小企業こそ安全対策が大切

今回の調査では、従業員数が少ない事業所ほど労働災害率が高い傾向も見られました。
中小企業では、人手不足や業務の忙しさから安全教育の時間が十分に取れなかったり、安全設備の導入が後回しになったりすることがあります。

しかし、事故を防ぐために必ずしも大きな費用が必要なわけではありません。
例えば、職場の整理整頓を徹底する、作業前に危険な場所を確認する、体調不良時は無理をしないなど、すぐに始められる対策もたくさんあります。
特に近年は高年齢労働者が増えているため、転倒防止や腰痛予防への取り組みも重要になっています。

安全対策は会社だけが行うものではなく、働く人一人ひとりの意識も欠かせません。
「これくらい大丈夫だろう」という気持ちが事故につながることもあるため、日頃から安全を意識した行動を心掛けたいところです。

安全な職場づくりはみんなで取り組むもの

今回の調査からは、労働災害は全体として減少しているものの、事故が起きた場合の影響は決して小さくないことが分かりました。
仕事中の事故は、けがをした本人だけでなく、職場全体の業務や周囲の人にも影響を与えます。
そのため、安全対策は「会社のため」ではなく、「働く人を守るため」に行うものです。

毎日の朝礼での声かけ、危険箇所の点検、体調管理など、一つひとつは小さな取り組みかもしれません。
しかし、その積み重ねが大きな事故を防ぐことにつながります。
誰もが安心して働ける職場をつくるために、会社と従業員が協力しながら、安全への意識を高めていくことが今後も求められているのではないでしょうか。

<参考>
厚生労働省「令和7年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」

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宇和野 萌株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

前職は、旅行会社に8年勤務しておりました。海外旅行が好きで、学生時代はヨーロッパの一人旅を、社会人になってからは、絶景を求めて、アメリカや南米など30か国を旅をしました。ドクタートラストへは2022年8月に入社し、産業保健分野という異業種へのチャレンジとなります。産業保健分野の経験は浅いですが、学び得たことから皆様のお役にたちそうな情報を発信してまいります。

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